思い出とサバと(8)
「あーはっず、私も真っ赤だなこれ」
とりあえず釣りの準備してこよ。
着替えて荷物を持って釣りスタイル。
これから電車乗って海だ。
蜜の家の前で待っていると同じく制服から釣りスタイルにチェンジした蜜が出てきた。
「待たせたな」
「あれ、もう顔赤くない」
「うるさい」
意識しない様にしてるのか。
「ほら、行くんだろ」
「いくいくー」
今から釣りしてもまあ二、三時間ぐらいだけど今日家に誰もいないから夕飯として調達してこないといけない。
今日行くのはたまに行く堤防だ。
堤防に着いて六時半ぐらい。
仕掛けは簡単。
「ロッド、リール、サビキ針、あと一番下にカゴ」
「ああこれか、覚えてるぞ」
蜜とも何回かやってる。
サビキ針は一本のラインに数本のラインが結んであり下のカゴに入れたコマセと呼ばれる水中で散らばる餌を上下に動かし水中に散らばらせて寄ってきた魚にエビに似せた針を食わせるって感じだ。
初心者でも出来る、というか初心者向けだろうか。
楽にいっぱい釣れるし楽しいっちゃ楽しい。
一般的にテレビとかマンガで見る様なグイッという引きは無いけど。
「よっしゃやろう」
「よしってもう大分暗くなって来てるけど平気か?」
「まあ多少はね、一応暗くなっても出来る釣りはあるよ」
まあ魚が水中でコマセを見てるのか知らないけど。
匂いを感じてるとかいう説もあるけど本当かなあ?
そう思いながら仕掛けを落として水中で上下していると何分と待たずして蜜の方に当たりが来た。
「お、来た来た」
「あ、ちょっとまってバケツ用意してない」
忘れてた忘れてた。
というかこんな早いと思ってなかった。
自分の仕掛けをあげて素早くバケツに水を汲みあげて蜜の所へ。
蜜が仕掛けを上げるとビチビチと暴れる小魚が三尾。
「これは……型は小さいけど鯖だね」
「お、早速夕飯調達だな」
「やるねえ」
小さい針からヌルッと魚を外してバケツへ。




