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思い出とサバと(4)
「あーそうだ、飯田も一緒に食べる?」
「えっ」
二人で食べても三人で食べても同じだし。
「い、いやいいですいいです」
なんで敬語なんだ。
「女が嫌いなの?」
「そ、そうじゃないけど、昼は食べる友達いるから!じゃ、じゃあね!」
そう言うと鞄を持って立ち上がる。
勢いをつけすぎてバネの様に私の胸に手が当たった。
「んごっごっごめんなさい!!」
「いや、平気だけど……」
「本当にごめんなさい!」
いつも暗い飯田から出たとは思えない大きさの声で謝って教室から出ていってしまった。
「別に痛くなかったしいいんだけど」
「胸を触った事を謝ったんだろ」
「あーあそっちかぁ」
女慣れしてないんだろなぁ。
昼を蜜と過ごし午後の授業を終えて後は帰るだけになった。
部活は帰宅部。
釣り部を発足しようとしたら人集まらなくて不成立だった。
「みーつ、かえろー」
「ん」
倦怠期の夫婦かって。
何気なく飯田の席を見るともう既にいなかった。
「なんだ、飯田が気になるのか?」
「気になるというか、今まで殆ど話してないから人柄を知らないじゃん?」
イラストちらっと見えたとき凄くうまく見えたから見せて貰おうとしただけ。




