ハイドラとバスと(15)
奥の方から手のひらに収まるぐらいの小瓶をいくつか取りだし私達の前のテーブルに並べた。
色とりどりの瓶達をタリアさんと二人で覗き込む。
「全部とは言えませんけど助けて下さったお礼です、四本だけ持って行って下さい」
「あ、くれるの?ありがとう、ところでこれなに?」
タリアさんが瓶の一つを手に取る。
ラベルにはこの世界の言葉と動物のイラストが描いてある。
ニーサの手書きだろうか。
「これは動植物の魔力、生命エネルギーを瓶に詰めた物です、きっとお二人のお役にたつと思います」
そんなの日常でどうやって使うんだ。
今タリアさんが持ってる瓶にはウサギのイラストが描かれている。
飲むの?
「ああなるほど、これは便利そうだ」
そう言って持っていたウサギの小瓶と亀の小瓶を手に取った。
何がなるほどか。
「いやいや、これが何かわかったんですか?」
「大体な」
ほんとかよ。
優しく微笑むニーサに文句も言える訳もなく私も瓶を取るけど。
「え、えーっと、じゃあ……」
無言の圧力とも言う。
全くわからない。
まあでも動物達も生き抜く為に進化して来た訳だしそういう能力が凝縮されてるとかそういうアレかな。
猫の瓶使ったら猫耳が生えるとかだったらしばくぞ。
手元にあった蛇の小瓶を取る。
まあハイドラと適合しちゃったしとりあえずこれ。
あとは魚っぽいのということでこのクジラみたいなイラストのやつ。
「じゃあこれ貰っていくね」
「はい!それぞれ瓶の効果はこのサイズで十分程度だと思っておいてください」
残りの瓶を後ろに戻した。
ニーサの店をあとにして下宿先に戻る。
「あの若さで店を持つなんてすごいですね」
「まあ、親からもらったとかそんな感じじゃないか?」
まあ普通に考えたらそうか。




