ハイドラとバスと(11)
「ん!タリアさんあそこ!」
木と土が抉れる様に一本の道が出来ている。
まるでデッカイ鉄球でも通過した様な形だ。
「あの先か!」
多分これを辿っていけば声の主もいるだろう。
木は途中でひらけたが抉れた土は目測にして数百メートル続いていた。
その先で逃げる女性を発見、そしてそれを追う巨大な蛇、頭がいっぱいある。
「な、なにあれ!?」
「あれは……ハイドラだ!」
「あれが!?」
ハイドラに近付けば近付く程胸が熱くなっていく気がする。
なんだこれ。
タリアさんがハイドラの頭の一つを蹴って前に出て私を太い木の枝の上に放置して女性を拾い木の上に帰って来た。
「あ、あ、あ、あなた達は?」
突然地面から離されて驚いただろう。
女性は私達を見るなり呼吸も整わないまま投げ掛けてくる。
「私は通りすがりの高所恐怖症」
そう、何を隠そう私は木に捕まり足は今プルプル震えている。
なんで木の上に降ろすの。
やだこわい……。
「なんだお前高い所ダメだったのか」
「水辺の女なので……降ろして……」
学校の屋上は下を見なければギリ平気だったけども。
「それよりなんであんな化け物に追われていたんだ」
そんな私を無視してタリアさんが女性に聞く。
確かになんでこんな事になってるんだ。
たすけて……。




