ハイドラとバスと(7)
三角州の一番広い所に杭が何本か刺さっている。
漁か何かで使うのかな。
大体魚ってのはああいうポイントにいる事が多いのでとりあえずそこを狙ってワームをキャスト。
目測で杭まで大体二十メートルぐらいだろうか。
着水と同時にスルスルとワームが沈んでいく。
「ジグヘッドちょっと重かったかな」
水の流れはちょっと強め。
ジグヘッドの重さは今回一,五グラム。
底に着いたのを確認してからちょいちょいシャクリながら巻く。
巻くと浮かぶのでクイクイ、スーっとまた沈んでいく感じだ。
クイクイ、クイクイと繰り返してる内にワームが手前まで来た。
「お?」
さっき見えた影ど同一だかはわからないがワームが陸に上がる寸前まで追ってくる魚影がいた。
水が綺麗な事もあり視認出来る。
「もうちょいだったかー」
反転して深い所へ帰っていくのが見える。
もったいない。
気を取り直して二投目。
再び杭の近くへ。
着水と同時に波紋を作って少し流される。
ベールを倒しクルクル。
ベールとはスピニングリールの構造を見ればわかるが輪っかの部分の事だ。
巻き始めて三、四メートルぐらいでクンッとラインが引っ張られる。
というか止まった。
「ん!……ん?根掛かりか」
根多いのかな、もしくは石かもしれない。
大体こういう時は下手にグリグリ暴れるより真っ直ぐ手前に引っ張った方がいい。
引っ掛かってる場所にガイドを真っ直ぐ向けて手前に引く、巻く、また引く、巻く、あとは取れるまで繰り返すのが取れやすい、と思う。
もちろん適当にあっちいったりこっちいったりしたら取れる時もあったりする。
しかし今回はどうだろう。
根掛かりかと思って引いたらなんか糸の先が移動してる気がする。
「……つーか釣れてるじゃん!」
あーあるある。
釣れてるかと思ったら根掛かりかと思ったら釣れてるやつ。




