ハイドラとバスと(6)
深さ一メートルもないが魚はしっかりいるようですぐに浮きにアタリが来た。
アタリというのは釣れてるのではなく魚が餌をツンツンして吟味している合図だ。
浮きが小刻みに上下する。
竿先を浮きに向けて深く沈むのを待つ。
しばらくツンツンされた後で浮きがクンッと沈んだ。
「はいここ」
竿を上げるとメダカみたいなクチボソみたいな小魚。
「あれ、こいつ角が生えてないな」
体の真ん中に黒いラインが入っている。
この世界の魚独特の魔力角とやらが生えてない。
小さいからかな。
自然エネルギー吸収しなくても平気なのかな。
まあ私も自然エネルギー吸収してないけど。
全長五センチといったところか。
本当に小魚。
よくあの川虫食べれたな。
しかしこのサイズしか釣れないんじゃちょっとな。
ちょっと移動しよ子。
メダカとクチボソの間の子みたいな魚略してメボソをリリースしてちょっと下流へ。
目が細い訳じゃないけど。
町からちょっと離れちゃうけどまあそこまで遠くにいくわけじゃないしね。
しばらく移動して三角州を発見したのでそこで川底を覗くとチラリと四十、五十近いサイズの魚影が見えた。
「あ、この合流してる川ってカマス釣った川かなこれ」
細いのべ竿だときついかもしれない。
それにさっき見えた魚影は私のイメージが間違ってなければ皆大好きアレなのでちょっと釣具を変えないといけない。
俄然やる気出てきた。
まずはリール、これはスピニングだ。
ラインはフロロカーボン。
そんでロッド。
ちょっといいやつ。
ルアーは……。
「とりあえず様子見でワーム」
サルカンを付けずに直接ラインにジグヘッドを装着。
スライム持ち合わせがないな。
その辺にもいなさそうだし。
まあこれは仕方ないか。
自分の世界からもってきたと思わしきワームをブスリ。
そういえばさっきのミミズが残ってたけど後で使ってみるか。
とりあえずこれで準備はオーケー。




