ハイドラとバスと(4)
「死ななかったとはいえ劇薬飲まされたのに怒らないネ」
「まあ世の中結果が全てだから、死んでたら呪ってたかも」
「ふん、食えない奴ネ」
え、怒った方が良かったかな。
くるりと反転してガシャンガシャンと再び荷物を揺らしながら来た道を歩いていく。
「ま、また会ったらその時は何か買うネ、客じゃない奴に興味ナシ」
そう言い残し人混みに消えていった。
素直だ。
「リリー大丈夫?」
コクンコクンと頷いているが私の裾を強く握って恐怖心を抑えている様だった。
なんかやばいもんでも見えたかな。
ダメエルフが一向に帰って来ないがプラプラしてても暇なのでリリーに案内してもらって近くの水場を教えてもらった。
仕事しないで遊んでばっかのダメなやつってか。
ロッドケースとタックルボックスを持っていざ出陣。
食料には困ってないし余程の事がなければリリースのつもりなのでクーラーボックスは無しだ。
「この辺かな」
リリーの話では大きな二本の木が生えてる辺りという事ですぐに木は見つかったが川幅が狭く割りと浅い、どちらかというと川というよりは用水路に近いものを発見し、覗き込むとメダカやタナゴの様な小魚と、小さいカニの様な生物を見つけた。
いや、ザリガニかなアレ。
わからん。
ザリガニというよりは尻尾の生えたカニだけど。
胴体が丸い。
なんとも説明しづらい。
これもまたこの世界特有の生物だろう。




