ハイドラとバスと(3)
気になる。
私はいったい何を飲まされたのか。
「この後どうするかぁ」
タリアさんの処遇を。
「む?おやおや誰かと思えば騒がしい旅人ネ」
「むむっこの胡散臭いしゃべり方は」
ガシャンガシャンと大きく荷物を揺らしながら薄目のチャイナ服が人混みの中から現れる。
「行商ちゃん」
「おひさしネ、まーだ王都に着いてなかったアル?」
「今はちょっと休憩中っとっと?リリー?」
行商ちゃんを見るなりリリーが私の後ろにスッと隠れた。
「こっ怖い」
胡散臭いけど怖いかな?
「失敬な娘ね、まだ何もしてないヨ」
「リリーは敏感だからね、何か悪いオーラでも出てたんじゃないの?」
「お前さんも失敬ネ」
相変わらず胡散臭いさの塊だわ。
「まあいいネ、ワテクシは今王都から帰って来た所ヨ、またすぐ次の町に出るネ、何か欲しいなら今のウチヨ」
まあ特に今困ってはいない。
いや、丁度よかったかもしれない。
「ちょっと聞きたいんだけどさ、タリアさんが前買った液体について」
「ん?ああ、アレお前さんが飲んだノネ、どおりで適合してる訳ネ」
「適合?」
テトテトと私の目の前まで歩いてきて私のシャツの右袖を上げた。
上腕二頭筋から肩にかけて痣みたいなものが蛇みたいにウネウネと走っていた。
「ああこれ?最近出てきちゃってさ、痛くもないし、覚えてないんだけど」
「何言ってるネ、こいつはハイドラの紋章ヨ」
「ハイドラ?」
「まあでっかい蛇の王ネ、お前さんが飲んだ液体はハイドラの血、普通の人間には劇薬だけど耐えたらすんごい力と魔力が手に入る、筈ネ」
筈って言われても全く記憶にない。
飲んだ時は凄かったけど。
もしかしてカマス上げた時も一瞬軽くなったのアレそうだったのかな。
「適合出来なければ毒素と呪いでのたうち回って死ぬ筈ネ」
あのエルフなんてもん飲ませてんだ。
と言うことはこれがこれが私の能力って奴の力なんだろうか。
「力の出る条件とか知らない?」
「そんなの知らないネ、まあ大体そういうのは感情の爆発とか、一定以上力が入るとかそういうのネ」
まあ私の力になった以上は有効に使わせてもらおう。
適応なのか適合なのか知らないけど。




