スライムとサーモンと(完)
「タリアさん、この世界だと生魚って食べないんですか?釣りも一般的じゃなさそうだし」
今の今まで私達以外に釣りをしてる人影を見てない。
そしてさっきのリリーの口ぶりだと魚を食べた事が無いわけじゃなさそう。
「そうだなぁ、基本焼くんじゃないかな、人間も生で食べるとはあまり聞かないな」
まあ寄生虫とか考えたらもちろん火は通した方がいい。
揚げ物の文化があるかは知らないが干物とかは無さそうかな?
もしかしたら保存してあるかもしれないけど。
「釣りもお前みたいに娯楽としてするというよりは港の漁師がやる感じかもな、あとは網で一気に捕るのは一度見たことがあるぞ」
じゃあ娯楽とかどうしてるんだろうこの世界の人達。
「まあ基本的に川の周辺とかは危険が多いしな、子供もあまり近づかないんだ、所謂モンスターも多いし」
まあ確かにあんなナマズやカマスに川に行く度に出会ってたら命がいくつあっても足りない。
「そんなもんかぁ、環境はいいのになぁ」
川は綺麗だし。
魚は大きいし。
「誰もが誰もエナの様に娯楽に命を掛けてないという事だよ」
まあ確かに釣りは命掛けな時もある。
そんなこんなを話しているとリリーがトコトコと小走りで帰って来た。
小動物みたいだ。
「行くなとは言わないけど死なない様にね」
聞かれていたのか心を読まれていたのかは知らないけどそんな事を言われた。
出会って間もないのにいい子だなぁ。
「さて、じゃあ町を案内してもらおうかリリー」
タリアさんが立ち上がりリリーの頭をナデナデ。
コクリと頷いて親指を立てた。




