スライムとサーモンと(11)
「スライム使えるなぁ、ちょっと捕獲していきましょうか」
「まてまて、まだやることがあるだろう?」
「え、なんだろう」
最初のスライムの保管とか?
「私が釣りをしてないだろ」
あ、やりたいんだ。
その後スライムをワームにして何度かキャストするが大したヒットも無く泣く泣く移動。
まあ食べる分は確保してあるしね。
次の村までまだ距離があるが向かいながら道中のスライムを狙う。
最初のスライムは全部は無理だったので持てる分だけ切り取って持っていくことにした。
タリアさんが偶々持ってた小瓶に入れた。
エルフ便利~。
なんだか最初よりだんだんと硬くなっていってる気がする。
「なーんか案外いませんねスライム」
「ん、ああ、もう少しいてもいいんだがな」
そういえばこの世界に来てから今回のスライムが初スライムだった。
地球でいう所のタヌキとか野良猫とかみたいな感覚だろうか。
それならそれこそもっといてもおかしくない。
そうして何だかんだスライムを探しながらも小瓶からちょっと出しワームにしてちょくちょく釣りもしながらかなり時間をかけて人間の村とやらに到着。
エルフの集落やドワーフの村は家の集まりといった感じだったがこの人間の村は木製の大きな柵に囲まれていた。
この世界でもっとも文明を感じる。
いや、一番文明を感じたのは包丁かな?
「入り口ってどこですか?」
「えーっと、向こうかな」
タリアさんの案内で柵の入り口を目指す。
その先に一人槍を持った門番の男性がいた。
「あのー、入りたいんですけどー」
「……なんの用だ」
「私達旅の者でー」
あれ、困ったな、なんか許可証的なものがないと入れないか?
それは聞いてないぞ。
「村長の許可がない者は通せない決まりになっている、許可はあるか」
「ある訳ないだろう旅人だぞこっちは」
タリアさんの偉そうな態度で門番が少しムスッとした。
この人は交渉とかには向いてないな。
無駄に年だけ取りやがって。




