表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それでも私は釣りに行く!  作者: naoてぃん
268/272

平行世界とリュウグウノツカイと(5)

「じゃあはい」

お手のポーズ。

「なによ」

「いや、電車賃ください、チョンボも出来ますけど一応無一文なので」

不服そうな顔をしてポケットをゴソゴソすると千円札が一枚と小銭が何枚か。

「これあげるから後は自分で増やすなりなんなりしなさいよ」

「いや流石に流石に……まじ?」

「まじよ、犯罪はするんじゃないわよ」

いやでも千円ちょっとあれば切符だけならなんとかなるか。

往復する訳でもないし。

「あーあ、お父さんは優しそうな人なのに」

「は?なんの話よ」

「昨日の夜、いや今朝、部屋に来てちょっとだけ話たんですよ、先代ですよね?」

目が点になって一瞬考えた。

でも顔は似てねえな。

整形かな。

「お父ちゃんは……いや、なんでもないわ」

「いやそこまで言ったら言ってよ」

「あんたには関係なーい、行くなら行く!」

確かに私にも時間はそんなにないけど。

慌てても仕方がないから釣りしてたけど。

渡されたメモとお金を持って回れ右、やむを得ない、とりあえず向かうか、弟の所へ。





「いや足んねーし!生臭坊主め」

指示されたルートでまっすぐ下山して指定された駅に到着し、言われた駅までの運賃を調べる。

五百円ぐらい足りない。

くっそ半端野郎め。

お金を複製しようと思えば今すぐにでも出来るけど、偽札だしなぁ。

いや本物だけども。

まあ坊主見てないしいいか?

「お?なんだあれは」

近くに商店街入口があり、そこで何やらワイワイやっているのが見える。

「えーーっと、腕相撲大会?優勝賞金十万?まじ?」

参加費千円と書いてある。

「いやぁ私の為にそんな大会開いて貰っちゃって悪いねえ」

なんて独り言を言いながら近づく。

ムキムキの男達が十人並んでいた。

「あのぉ、参加したいんですけどぉ」

近くの長机で受付と書かれた場所に座るおじさんに声をかける。

「ありゃあべっぴんさんだねぇ、参加費千円だよ、女性コースだね、優勝したら五万だよ、あっちの……」

「ちょっとちょっと、性別でコースとかあるんですか?」

「まあ、流石にお姉ちゃんにあのムキムキマッチョ達の相手は無理でしょ」

指さした方は黒光りのブーメランパンツの男達。

まあ転移前の私なら無理だっただろうが。

「因みに女性コースは?」

「あっちだよ」

その黒光りの男達の後ろ、ボディビルのお姉ちゃん達が同じく十人並んでいる、ビキニで。

「ほら、それでも十分凄いでしょ、ちょうど今挑戦してる人も負けたみたいだよ」

金髪の男が腕を押さえながらトボトボと退場していく。

折れてるんじゃないかな。

「ま、そういう事だから頑張ってね、まだ男性コースも女性コースも誰も突破してないけど、十人に勝ったら賞金だよ」

まあ、五万でもカメの所いく分には十分過ぎるか。

いくら力が強いとは言え簡単な方がいいに越したことはない。

おじさんが司会みたいな人に合図すると係の女性に案内されてステージに上がらさらる。

「おーっとここで飛び入り参加だぁー!こちらの美人のお姉さんは果たして何人を突破出来るのかぁ!意気込みをどうぞ!」

マイクが向けられたのでそれを貰う。

「あーはい、男性コースも連チャンでやるんで十五万貰えます?」

会場がどよめいた。

「おっとー?これは強気だー!でも見た感じトレーニングとかしてなさそうに見えますが、どうです?」

「まあ、はい、トレーニングはしてないですね」

でも余計な脂肪みたいなのは付いてないだろう。

なんたっていらんもんは分解してるからな。

乳はアイデンティティなので。

「ではこちらへどうぞー!」

誘導されながらシュシュを右手に作り髪を纏める。

流石に私のロングはこういう屈む動きには不向きだ。

私よりちょっと身長低めのお姉ちゃんが来てギロリと睨まれた。

「あんた、モデルかなんか?」

「え?ああ、まあ前に少しグラビアを」

「ちょっと顔とスタイルがいいからって調子に乗んなよ」

えへっ誉められちった。

左手で台に付いてる棒を持ちお互いの手を握り腕相撲の姿勢。

「こんな筋肉も付いてない女に私が負けるわけないだろ」

確かに私の手はそんなムキムキではないが一般成人女性並みだと思うけど。

司会のお兄さんが私達の手の上に手を置いて。

「それでは、あーお姉さんお名前は?」

「あ、えーっと、エナって言います」

「それでは改めて、エナさん第一回戦、チトセさん!よーい」

チトセさんっていうのか。

相手の手に力が入るのを感じる。

本気で潰しに来るのか、大人げない、というかそういうイベントなのか?

「のこった!」





「快進撃が止まらなーい!なんと緊急参戦のエナさんがとうとう十人目に挑戦です!」

「へへっあんた結構やるじゃねーの、私の出番は無いかと思ってけどようやく仕事させてくれるんだな」

連続して最後の十人目だ。

なんてことはない、最初のチトセさんから力を見ようと思ったけどハイドラの力の前にただ筋肉を鍛えただけの人間など無力。

途中イカサマとか八百長とか言われた気もするけど腕相撲のイカサマってなんだよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ