魔女とヒラメと(6)
「まあまあ仲の宜しいことで、お疲れでしょう、森を抜けて来たんですものねぇ、どうぞおもてなししましょう」
お・も・て・な・しやん。
なにが?
「じゃあお言葉に甘えて、お邪魔しますね、行こうヴィヴィ」
「へいへいほー」
本当に地球産まれじゃないのか?お前。
案内を受けながら村を回る。
普通の村だ。
至ってふつー。
ただ村の奥に謎の建物があった。
「ここは?」
「ここは教祖さまの家でねぇ」
はいビンゴォ。
とりあえず挨拶だけでもしとくか。
隣のヴィヴィがジーッと私の顔を見つめてくる。
「あんた喋らなきゃ美人なんだから黙っとけば?話は私がしてあげるわよ」
「喧嘩売ってる?」
「迷ったら暴力で解決する女がよくそんなこと言えるわね」
「暴力は全てを解決する」
ギョっとしたおばさんが会話に割ってはいって来る。
「こらこら、暴力はいけないよ、とはいえ教祖様はいい人だし余程失礼が無ければ暴力沙汰なんて起きないよぉ」
「その教祖様ってどういう方なんですか?」
「どういう、ねぇ、若い男性でねぇ、なんでも近くの都市の権力者の息子?だとか」
ははぁ、それがなんで森の魔女に恨み?
よくわからんなぁ。
「その人が来てから森に住んでる凶悪な魔女を討伐してくれてねぇ、まだその娘がいるんだけど、昔はその魔女もたまに協力したりして仲良く暮らしてたんだけど悪さし始めてねぇ」
おっとそれは初耳だねぇ。
「突然村の子供を誘拐したり、村に悪い事が立て続けに起こったり、それが教祖様が来てから収まってねえ、魔女が悪いって言って退治してくれてねぇ」
むむ、アーヤから聞いた話と食い違いがあるな。
とりあえず本人から聞いてみるしかないかぁ。
「その教祖様って今いらっしゃいます?」
「ああえっと、今日は確かいない日だった気がするねぇ」
いやいないんかーい。
タイミング悪い。
「いつなら居ます?村を救った人に挨拶したいんですけど」
「確か明日には都市の方から来るんじゃなかったかねぇ、待つかい?」
「あ、そしたら私達森でキャンプして待ちますね、森の中が好きなので」
「あらぁ、若いのに変わってるねぇ」
変わってるかな。
なんちゃらキャンみたいなアニメも人気あるぐらいだし普通じゃないのかな。




