魔女とヒラメと(3)
………………
「なるほど、貴女の話しはわかりました、こんな立派なテーブルも出して頂いて」
「いえいえ、あのままだと完全に強盗だったのでこのぐらいは」
「これ、どうやって出したんですか?」
一番広い部屋、殺風景なリビングに通されて全員で座っても余るサイズの椅子とテーブルを構築した。
「まあ、魔法というか魔法は魔法なんですけど私の世界の科学と融合した魔法というか」
「なに、そうだったのか」
なんでタリアさんが知らないんだ。
何ヵ月の付き合いだと思ってる。
ちなみにタリアさんは私の右隣に座ってヴィヴィは左にいる。
ジロは後ろで壁に背中をもたれ腕を組んで見ている。
「おいアーヤ、こいつら信用するのか?」
「ケンリー、この人達が本気ならもう私達は死んでるよ、初対面だし何か利用しようとでもしてないとこうやって話し合いの場を設けるのも相手からしたら手間でしょ」
「む、そうだが……」
相変わらずふわふわと彼女の隣を飛ぶ?いや、泳ぐヒラメだ。
「私の名前はアーヤ、この森に代々住む魔女の末裔です、こっちの生物は私の使い魔、ケンリーって言います、口は悪いですけど根はいいやつってやつです」
根はいいやつねぇ。
とはいえヒラメだしねぇ。
黙って聞いていた私の方にヒラメの目がギロリと睨む。
睨む?でいいのだろうか。
ゾクゾクする……。
「おいやめとけ使い魔、お前の同族はこいつに何千何万と調理されてきてるんだぞ、お前も包丁を出すな」
そんな目で魚に見られたら……。
見られたら……。
さ、さば、さばいていきたい……。
うっ発作が。
「なんの事を言ってるのかは知らないがそんな女にやられてるほどウチの種族は軟弱じゃねぇいってえ!ぶつことないだろ!」
私の頭にタリアさんのチョップが入るのと同タイミングで向こうもチョップが炸裂した。
「お客さんだよケンリー、失礼しました、そういえば全員でお空から降ってきたと思ったのですが、何か乗り物に?飛行船かなにか」
「ええ、でももう修理も終わってるのでお気になさらず」
窓の外に見えているそれを指差す。
銀色のコンテナにしか見えないが今はとりあえず中身の機能だけ完全に修理して家の外に設置した。
モイラは中でデータの破損等がないかチェックしている。
「そういえば使い魔って?」
「ああ、魔女の使い魔といえば一般的に黒猫とかカラスだが、中には見たこともない様な生物を使い魔にするやつもいるらしい」
「いやだからそうじゃなくて使い魔ってなに?って話なんですけど」
「ああ、まあ魔力を共有するペットみたいなもんだ」
魔力を共有するペット、ねえ。
地球のデータベースにもゲームとかの所に使い魔の項目もあったけど大体認識通りかな。
「あぁ!?誰がペットだぁ!?」
気性が荒いな。




