魔女とヒラメと(1)
「ぎゃああああ!!!」
「ごめんなさいごめんなさい!わざとじゃないんです!事故なんです!いやある意味事件ですけど、魔王モースが悪いんです!私達は悪くはないんです!」
優雅にカップを持って本を読んでいた少女、の家の天井を突き破り瞬時に緊急形態のコックピットから脱出してフライング土下座。
まあ土下座という文化が私にしかないから私だけ。
コックピットがブッ刺さった衝撃で砂埃が凄い。
「なに座り込んでるんだ」
「これは土下座という私の世界の謝罪方法です」
「なるほど」
タリアさんも私の横に並び土下座、ヴィヴィ、ジロも見様見真似で横一列。
「なんだなんだ!何事だ!」
びっくりして固まっている少女の横に空中浮遊する物体が接近する。
オッサンみたいな声だ。
「わ、わかんない!なんか急に!」
「もしかして、村のやつらか!とうとう本格的に来たか!」
視界が晴れると一瞬見えたカップと本を持った少女の横にヒラヒラ浮いてるそいつは。
「ヒラメやんけ」
えんがわ!
「お前ら!そこまでして魔女の血族を滅ぼしたいのかよ!」
このオッサンボイスがヒラメなのか。
ヒラメがしゃべった。
まあもうそのぐらいじゃ驚かんよ私は。
巨大な鯛がしゃべるんだから。
「ノーノー!事故!事故!私達悪くないです!」
「問答無用!アーヤ!やるぞ!」
「え!?う、うん!」
アーヤと呼ばれた少女が持っていた物を捨てて私達から距離を取った。
「来るぞエナ、構えろ」
タリアさんが立ち上がりナイフを抜く。
「だ、ダメですよ!悪いのは私達ですよ?」
「ヤられるぞ!」
「そんなバナナ」
「聞いてなかったのか、相手は魔女だぞ、それも魔界に住む、本物の魔女の血族だぞ」
そうは言われても誰だってじぶんち壊されたら怒る。




