ヴァンパイアとタツノオトシゴと(7)
………………
…………
城内。
「じゃあ姫様、呼ばれるまでここにいてくださいな」
モジャ男がゾンビを後ろに二体従えて軽く敬礼をして部屋の扉を閉めて出ていた。
通されたのは石造りの部屋で本棚と机、あとゴミ箱とクローゼットがある。
お姫様を通すにしては随分と殺風景な場所だ。
「外観もマンガなら内観もマンガだなぁ、洋風なお城って感じ、昔見たゲームでこういうステージあったなぁ」
弟のカメがやってるのを後ろで見てただけだけどね、寄生虫に操られたホラゲーのやつ。
敵の頭を撃ち抜くと確率でウネウネが出てくるらしい。
「この格好もちょっと慣れないなぁ、恒例のコスプレタイム終了でいいか」
呼ばれたらまたこの格好になろう。
サラシを分解、ドレスを分解、着るのはいつものジーパンとTシャツ。
「うむ、これこれ」
ヘアゴムを構築してポニーテールに縛る。
これが一番動きやすい。
一番搾り。
は?
(おい、これからどうするつもりだ)
「あ、起きてたんですね」
(お前の中から見ていたがこの城を破壊するのか?)
「いえ、あのお姫様がなんで逃げて来たか確かめたいんでちょっと探ります」
(む、そうか、なら妾はまた寝る、おやすみ)
私の中からの声がスッと消える。
「そんなすぐ寝るなら起きなきゃいいのに」
(寝過ぎると寝れなくなることお前達人間もあるだろう)
あ、まだ起きてた。
「まあ、私はもう人間じゃない様なもんですけどねぇ~
おやすみなさーい」
この声の主とも本当はもっと話さないといけないけどそれはまた落ち着いた時にしようコミュニケーション。
「さて、まずは本棚かな」
この世界の言葉だから読めない。
その設定まだ生きてたんだ。
適応とはなんだったのか。
早く字ぐらい学習してくれ。
いや誰に言ってるんだ私自身だ。
言葉とか環境に適応してたのは無意識に身体を最適に作り替えてたんだろうな。
シンプルな暗記は苦手だ。
だったらお馬鹿巨乳キャラで売ってヘラヘラしてる方が楽は楽。
それはいいけど本を一冊一冊取り出してパラパラ捲る。
何もヒントになりそうな物はない。
本棚の奥に秘密の扉もない。
次は机かな。




