サキュバスとアンコウと(8)
「共生って、どんな?」
アンコウとサキュバスの接点ってなんだ?
「サキュバスは精神世界、夢に閉じ込めて精気を吸う、このアンコウはその残った残骸を食う事で腹を満たす、アンコウはサキュバスの催眠の力を補助する力があるらしい、どうやるかは知らないが、というかバラバラになった今確かめる術はもう無いな」
「それを知ってるって事は、誰かそれをやられて生存した奴がいるのか?」
アンコウをぶつ切りにして私が出した鍋にタリアさんが放り込みながら聞く。
というか提灯アンコウってアンコウとして食えるのかな。
「さあ?俺も人伝に聞いたことがあるってだけだからな」
指パッチンで長ネギを無から生成した。
指パッチンする必要もないけど本当は。
それをジロに渡して切るように指示する。
鋭い爪でそれをバラバラにすると全て鍋にぶっこんだ。
鍋ちょっと小さかったな。
「あとは味噌と……こたつでも出すかな」
大きめのテントを張りそしてガスコンロ。
セットして火を付けて待つだけ。
「あ、あと人参と水菜かな?」
適当にボンボンぶちこんだ。
溢れた。
「お、おい、いいのかこれ」
「鍋は溢れるぐらいが美味いんですよ、タリアさんは心配性だなぁ」
まずは毒無効の私が毒味しよう。
強火で煮続けるとすぐに出来上がった。
いい匂い。
「ほんじゃ味見~あひあひ、あふあふあふ」
「マザーってやつも熱いのには弱いのか?」
「べふに猫舌じゃないれふ」
はふはふしながら食べるのがいいんでしょ鍋なんて。
こたつも暖まって来たし。
『ママ~』
「ん?食べさせたいのは山々だけどモイラは食べられないでしょ」
『そうじゃなくて、さっきの人達みんな逃げてくよ』
モイラの指差す方を見ると飛んで逃げてくサキュバス達が見える。
シャコってパンチでアクリルを割るって話だけど巨大なそれを喰らった割には元気だな。
魔族って奴のタフさよ。
『いいの?』
「いいよ、無理にトドメさすこともないでしょ」
「いいのか?」
「いいんですよ、どうせ私に勝てるのなんて魔王ぐらいしかいないんですから、何人呼ばれても変わんないですって」
下手な事したらゴブリンの二の舞にしてやろう。
出来た鍋を人数分取り分けて頂きます。
 




