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スライムとサーモンと(5)
「数回投げただけで諦めるようなせっかちさだからこの年まで独身なんですよ」
「あ?」
「ひぇっ」
一瞬青筋立った。
地雷だったか。
「いいか?まず私はエルフの中では」
耳だけ傾けて再び大体同じ場所にキャスト。
静かにしてくれないかな。
「だから私はまだ全然若い方で」
一瞬ぬらっと魚影が見えた、大きい。
真っ直ぐスライムに向かっていく。
「そもそもエルフというのは」
「来た!」
全く無視してリールを巻き続けると大きい魚影が確かに食いついた。
ラインがピンと張り水面でバチャバチャと暴れる。
「あー!これは……」
この竿でこのラインでやるにはデカすぎる気がする。
ぐいぐい引いてくる。
前回のカマスより断然でかい。
というか太そう。
右に左に走る走る、そうして暴れてる内にラインがブツッと切れた。
「えー、あー、うそー」
勿体ない。
今のは相当デカかった。
針ごとスライム持ってかれた。
「人の事をいきおくれとか言ってるからだぞ」
「まだその話してたんですか」
もう終わったと思ってた。




