魔界とマダイと(1)
『そろそろ着陸しまーす』
ビデオが終わるのとほぼ同タイミングで姿が見えないモイラのアナウンスが入った。
いつの間にホログラム消してたんだろう。
熱中しすぎた。
「魔界とやらに着いたの?」
『ダメでーす、だからこの先は徒歩でお願いしまーす』
「え?は?」
モニターに外の映像が写し出された。
平地だ。
ちょっと行った所に荒野が見える。
ベースからタリアさん、ヴィヴィと三人で降りる。
「なんも無いですね、草がちょっと、木もちょっと」
「ああ、上から見た感じだと暫く荒野みたいな感じだったな、しかしなんでここで降りたんだ?」
『はいはーい、解説のモイラちゃんでーす、なんかあの荒地になってる所にベースで侵入出来なかったんですよねー、空間が歪んでるのかなんだか、元の場所に戻されちゃって、だから境界線の調査をお願いしまーす』
つまり投げたんだな。
まあでもそれがさっき言ってた結界って奴の効力なんだろう。
進まないんじゃどうしようもない。
「ベースとモイラはどうすんの?」
『私の端末を搭載した車を出すから後はよろしくお願いしまーす、ベースは宇宙に退避』
ベースからピンクの光が私達の近くに射したかと思ったら銀色の車、車は詳しくないけどジープってやつかな?
軍事映画に出て来るような四角いゴツいやつ。
『カラーリングは適当だけど頑丈さを優先してデータベースにあったやつを構築したよ、運転は私のAIにお任せ!』
便利な世の中だ。
いや、特注も特注だけど。
その車を見ていたらベースがゆっくりと上空に上がって行った。
あの船は陸海空宙全部ござれだ。
なんだったら地中もいける。
じゃあ車でいく必要ないんじゃ?
声のする車に乗り込むとカーナビが勝手に起動してモイラの顔が写し出された。
『私の本体はベースの中だけどここにいる私は分身みたいなもの、性能は基本的に変わらないし本体と通信してデータを共有してるよ』
なんでもありだな。
ヴィヴィとタリアさんも車に乗って来た。
とにかく出発準備は完了だ。
上空のベースが遠くにかなり小さく見えている。




