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スライムとサーモンと(3)
「お前本当に釣りの事になると頭の回転が早いな」
暗に釣りの事しか考えてないなと言われているんだろうか。
そうだよ。
ドワーフの村から未だに大して離れておらず丁度川沿いのまま歩いていたので目の前は川だ。
仕掛けは簡単
スピニングリール、ルアーロッド、PEライン、サルカン、スナップ、ジグヘッド、そしてスライムだ。
カチャカチャとロッドを組み立ててスライムを針に付ける。
「そうだ、尻尾も付けておこう」
スライムワームの尻の方を指でコネコネ、一般的なワームの尻尾と同じ形を作る。
「さーて何が釣れるかなっと」
運命の初キャスト。
丁度近くに葦の様な植物が生えているのが見える。
その足元近くを狙ってぽい。
スライムは硬度を保ったまま着水、数秒してジグヘッドが底に着いた感じがした。
「お、ボトム、ちょっと深めかな?」
大して離れていないしまたカマスが釣れるかもしれない。
スライム水中で溶けてないだろうな。
「釣れたのか?」
「いえ、まだです」
せっかち。
波紋が消えた辺りでぴょんぴょんと竿先をしゃくりながら巻き始める。
川の流れは緩やかだ。




