地底とシャコと(完)
『むむ、でもデータベースのある魔術で多少なんとかなるかも?ちょっとやってみるね』
モイラの周りに魔方陣やら古びた本やらが展開される。
「すぐ終わる?」
『ちょっとかかりそうだよ』
「じゃあビデオ見てるね」
モニターの端をタッチして地球から持ってきた記録を引っ張り出す。
「びでお?なんだそれは」
ここまでこの船に居て今さらそれを聞くか。
「私の恥ずかしい昔の映像記録見ましたよね?ああいう感じのやつです」
「なるほどな」
ここで私のお気に入りを出そう。
「釣り釣りマロン観よ」
釣り釣りマロン。
マロン原という売れない芸人が釣り初心者の状態から色々な釣りをさせられて成長していくドキュメンタリーだ。
ドキュメンタリーか?
釣り番組だ。
お気に入りで殆どの回を録画してあるしリアルタイムでも見てる。
「実は私が出てる回もあるんですよ、えーっと、記念すべき四百回目の放送でですね」
私が半タレント業を始めて割りとすぐだった。
マロン原と一緒にテレビ出れて感動したのを結構覚えている。
「まあまあタリアさん見てくださいよ、ヴィヴィも」
モニターに栗みたいな形の頭をした芸人が映し出された。
魔界とか結界とかそういうのはとりあえずモイラに任せといていいだろう。
独特なオープニング曲と共に見知った堤防が映る。
そうそうこれこれ。




