地底とシャコと(10)
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『って感じでみっちゃんとラヴィさんは王都まで送り届けましたー、ついでに魔王軍の飛んでるやつらも何体か倒して来たよ、褒めて褒めてー』
数分して地上に戻ったらこれか。
いないと思ったら。
「よしよし、じゃあそっちは二人に任せて私達は魔王軍の方に向かいましょう」
「私は構わないが、ヴィヴィはいいのか?」
「へ?いいわよ、と言うか私の意見いる?」
まあ勝手に決定して後でゴネられてもアレだけど。
「ヴィヴィはまあ、半分戦闘員じゃないし、無理しなくてもいいよ」
単純な戦闘力で言えばタリアさんの半分もないかもしれない。
数値化なんて出来ないからなんとも言えないけど。
「やーね、私だってこのメンバーでやってきた仲間じゃない、今さら仲間外れは嫌よ」
確かに、私達はいつだって三人でやってき……三人でやって……。
「いや、三人で冒険したの最初の船の中だけでしょ、モンゴウとかいうイカが襲ってきた時の、その後すぐタリアさん居なくなっちゃうし、合流したら王都で暮らしてるし、その後はラヴィさん居たし」
この三人ってのは無かったはずだ。
「うるさーい、とにかく私もいくのー!持ちつ持たれつの仲でしょー!」
まあここでサヨナラバイバイも薄情か。
サヨナラノウイング。
「じゃあ決定だな、では行くとしよう、その雲の先、魔王がいる魔界へ」
「魔界かぁ、また新しい単語が出て来たなあ」
「ん?言ってなかったか?魔界は私も数回行った程度だが禍々しい所でな、邪悪な気が満ちているんだ、境界線では面白いぐらいその差を感じられるぞ……どうしたヴィヴィ」
話を聞いていたヴィヴィがいつの間にか難しい顔で腕を、もとい翼を組んでいた。
「い、いやぁちょっと、魔界で思い出した事があってね」
魔王の所に行くって言ってたのに魔界だとは思ってなかったのかな。
「幼なじみがね、そう言えば魔界に行った奴がいたなーって」
「へー、どんな人?」
「私と同じセイレーンなんだけど……癖がちょっとね」
癖が強いセイレーンならヴィヴィと同じじゃん。
 




