スライムとサーモンと(2)
ワイヤーについたスライムの残骸を手で拭ってスライムを指でツンツンする。
動きがない。
というか。
「あれ、すごい固い」
ぷにぷにしていた身は粘土のような固さになり指で押した場所はへこんだままだ。
「じゃあ締めるの成功したのかなぁ」
人差し指と親指でつねるようにもぎ取るとそれこそ本当に粘土の様にちぎれた。
両手でコロコロしながら棒状に伸ばす。
「おい、大丈夫なのか?」
「うーん、動かないし大丈夫だと思うんですけど」
不思議な物体だ。
私の世界で売ってるデロデロのアレと名前こそ一緒だけど全く別物。
青い半透明の姿のまま形状だけ変えていく。
「はい、スライムのワームの完成」
棒状のままいい太さになるまで伸ばしてミミズの形に。
「ワーム?私の知ってるワームは巨大な芋虫の事だが」
「えっキモっ」
エルフは芋虫の事しか頭にないのだろうか。
というかそんな生き物がいるんだこの世界。
やば。
「ワームじゃないですワームです」
「だからワームだろ」
「いや、そうじゃなくてワームで……私が言ってるワームは音が一定なんです、タリアさんが言ってるのはムで下がってるでしょ、イントネーションが違います」
発音がアレすぎる。
しかしこの世界で長々旅してたらそんなでっかい芋虫に会う日も来るかもしれない。
早く帰りたい。
「どうでもいいがそれどうするんだ?」
言われて手に持ったワームと一瞬にらめっこ。
タックルボックスを漁りジグヘッドを取り出す。
「これはジグヘッド、こういうぶにぶにしたワームっていうルアーを付ける為の針です」
ぶっとい針がフック状になっている。
その先に重りの頭が付いてあとはここにワームを通すだけだ。




