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それでも私は釣りに行く!  作者: naoてぃん
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昔とフナと(8)

「暴力はダメだよ」

「やり返すのに筆箱にミミズ入れるのはいいのか?」

「ミミズじゃないよイソメだよ」

「どっちでもいい」

まあこいつが一般人と違うところは精神面だろうか。

嫌がらせの仕返しにした嫌がらせが原因で職員室に呼ばれても驚かないレベルだし女子も泣く。

その内弁当にミミズ入れるとかやりかねない。

勘弁して欲しい。

守る方の身にもなれ。

あ、そういえばエナが一般人の女より優れている点はもう一つ、釣具とか荷物を持ちすぎて腕力だけはゴリラ。

巨乳のゴリラ。

笑える。

ともかくあたしはエナを教室に残して文句を言いに来た先輩の所に向かって行った。

近付くや否や舌打ち。

「どうかしました?二年の教室に来て」

「どうしたじゃねえだろ、お前先生と寝たのか?」

「いやいや、無いですから」

先生って普通にオッサンだし。

筋肉質だから確かにスポーツマン好きな人は好きかもしれないけど。

「お前またレギュラー選ばれただろ」

「ええまあ、天才なので」

自分の才能が怖いわ。

「あんま調子乗んなよ」

「いやいや、先輩達より能力あるだけですから」

確かこの先輩の一人はレギュラー手前であたしが入ってしまったから弾かれた人のはずだ。

あたしのが優れてるんだから仕方ない。

「お前!」

見え見えの張り手があたしの顔面に迫るものの何てことない。

あたしが優れてるのは単純に運動神経だけじゃない。

動体視力が世界レベルなのだ。

そんなゆっくりな張り手が当たる訳もなく宙を切る。

「避けんなよ!」

「そんなだからレギュラー外されるんですよ、こういう時間を使って練習でもした方が有意義ですよ」

「お前いい加減にしろよ!」

激昂したパイセンの後ろにパイセンと同じく三年の男が立ってそのパイセンの手を掴んで止めた。

「やめなよ、後輩に、みっともない」

一般的に見てイケメンという奴だろうか。

線と細いというか、アイドルっぽい感じだろうか。

背も高い。

「や、山本くん」

手を解放されたパイセンは顔をほんのり赤くしてその山本と呼ばれた先輩を見つめた。

好きなのかな。

「ごめんね、ちょっとカリカリしてただけみたいだから」

「はぁ、そうですか」

どっかで見た事あると思ったら確か男子剣道部の主将だ。

爽やかな笑顔で真っ直ぐに見つめられる。

なんやこら低身長見下しとんのか。

「山本先輩は、何かご用で?二年の教室に」

「ううん、ちょっとこの人達がチラッと見えたから何してるのかなーと思ったら手をあげてたからさ」

「ふぅん、そうですか」

わざわざご苦労なこった。

なんやこら低身長見下しとんのか。

「お前、山本くんに対してなんて態度を!」

「いや、興味ないし」

おっと口から出てしまった。

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