飛行船とサンショウウオと(11)
炎が消え一瞬で液体金属も消えたかと思うと船の正面で球体で再び現れて槍の様に細くなりオオサンショウウオを貫いた。
頭から胴体、尻尾にかけて刹那で移動して再び船の前に戻り球体になった。
「な、なんだその攻撃は、エグいな」
「あれが攻防一体のこの船の武器です、けど」
ズズズと音を立ててダウンしたオオサンショウウオが水の様に崩れて再びオオサンショウウオの形を形成した。
『あーあれは物理攻撃効かないタイプだね』
「そんなこと言われても、なんとかならないの?」
こっちも液体だったけど向こうも液体だったか。
まだモニターに見えてるさっきまでいた村に被害は無さそうだから良かった。
ビームとかミサイルとか無かったっけこの船。
付けてない気がする。
「おいバカ、出番じゃないのか」
「え、私一人行かせようとしてる?」
「この三人にお前の能力を教えるいい機会だろ」
確かに私の能力ならまあ。
「まじかあ」
「モイラ、こいつを射出しろ」
『はーい』
蜜が言うや否や船からオオサンショウウオの目の前に向けて強い光が射す。
これは外から人を回収したり乗客を出したりするエレベーターみたいな物だ。
空中に投げ出されたらキレてた。
「タリアさん、ヴィヴィ、ラヴィさん、見てて下さいね」
竿を置いて私だけ外に出る。
「あんた達がどれ程エナを理解しているかは知らないがな」
モニターにエナが映し出された。
サンショウウオの目の前だ。
「あいつがどんな化け物だろうと、せめて嫌いにならないでやってくれ」
そのエナがサンショウウオに触った瞬間に触れた所からサラサラと砂になるように消滅していく。
「ああ見えてさみしがり屋だからな」
「そうか」
エルフの女がモニターから目を離さずに耳を傾ける。
「あいつの能力、いや魔法の本質は物質の分解と再構築、あいつの思うがままに行うそれには質量保存の法則は介在しない」
つまり生かすも殺すもその意思一つ。
「その何でも生み出せる能力から地球では最後にマザーと呼ばれていた、地球で最初に魔法に覚醒した女であり、最強の魔法に覚醒した女だ」
その強大な力故に恐れられ、全てを託された女でもある。
そしてその力こそ私達の今回の任務に最も重要な能力でもある。




