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それでも私は釣りに行く!  作者: naoてぃん
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飛行船とサンショウウオと(8)

「お姉ちゃん達に拒否権はないって、俺の友達もいるからさ、楽しいことしようぜ」

そう言って指差す方に似たような人種達が数人、じゃあこのあんちゃんが声かけて来たのは罰ゲームか何かか。

全員で来い。

いや来られても好みじゃないけど。

「何度も言わせるな、さっさとあっち行け、あたし達は人を待ってるんだ」

「いやさぁ、だからぁ……あ?なんだてめえ」

言ってるそばからあんちゃんの後ろに見知った顔。

「おお、飯田、早かったね」

「エナさんおはよう、蜜さんも」

多少女慣れした飯田だ。

女慣れというか私達慣れかな。

下着屋連れてったらキョドってた。

私達のオモチャだ。

テヘペロ。

あとその飯田の隣にいつぞやのイケメン君。

えーっとえっと、サッカー部の部長君?

「うっす、ども、悪いけどお兄さんさ、この二人は俺達の連れだから」

イケメン君は流石に女に対する慣れがあるな。

あとチャラ男慣れか。

ラフな格好だが着こなしてる感ある。

イケメンはそういう所からイケメンなのか。

飯田はチャラ男相手には役にたたないだろう。

「はー?何だよ痛い目にうごっ」

チャラ男のあんちゃんが言い切る前に蜜が立ち上がってあんちゃんを押し退けた。

私の腕を引っ張る。

「だからお前は好みじゃないって言ってるだろ、鏡見てから来い」

「てっめぇ!ちょっと顔がいいからって調子乗るなよ!」

蜜が可愛いのは認めるけどちょっとじゃなくてかなりだよ改めろ。

あんちゃんを無視して四人でファミレスの入り口に向かう。

軽く会計を済ませて出ると店の出入口を出た所で再びあんちゃんとその仲間に囲まれた。

営業妨害でしょこれ。

「エナさん、美人すぎるのも問題だね」

「お、飯田ったら口が上手くなったね」

蜜に小突かれた。

なんで。

ヤンキーの兄ちゃん達は指をパキパキ鳴らして威嚇してくる。

魔法貰ってないのかな。

それ骨膜ガスっていうらしいよパキパキ鳴るの。

指に良くないらしい。

「いい加減にしろよ、あんまバカにすんなよこっちはなぁ!」

あんちゃんが言い切る前に蜜が懐からオモチャの剣を取り出してあんちゃんの喉元に突き付けた。

パーキングで売ってる男子中学生が買っちゃうやつね。

ドラゴンが巻き付いてるやつ。

なんでこんなの持ってるかというと我が家には男子中学生が一人いるからね。

「ははっ!そんなオモチャでどうす」

蜜の手が一瞬で本物の刃が伸びてあんちゃんの首を掠めた。

ツツーーッと血が垂れた。

ヒッというか細い悲鳴と共にあんちゃんが尻餅をつく。

「白兵戦では飛び道具より刃物の方が速い、覚えときな」

「くっくそ!」

後ろのヤンキー達も急接近して来るが更に蜜は懐からオモチャの鉄砲を出した。

駄菓子屋にあるやつね。

蜜それわざわざ駄菓子屋行って買ってきたの?

どう見てもちゃっちい造りのピストルが一瞬にして本物と寸分違わない外見に変わった。

それがあんちゃんの足元に向けて駅前の広場に似つかわしくない発砲音を奏でた。

「あたしの能力は偽物を本物にする能力だ、逆もまたしかり、つまり本物」

その本物をあんちゃんの額に押し付けた。

「ひっやっやめっ殺さないでっ」

「バン!」

「ひぎゃあ!」

ヒビリまくってるあんちゃんの横を四人でスルーする。

やっぱりどんな暴力よりも銃が強いのだ。

囲んでたヤンキー達も道を開けた。



四人でカラオケに入った。

「ダ、ダブルデートみたいだね!」

「なんだお前達男二人で出来てたのか、おめでとう」

絶対そうじゃない。

「まあでも、俺は蜜ちゃんも好きだけどな」

おっとここにもチャラ男がいたぞ。

蜜の隣に自然に座ったイケメン君が額に銃を突き付けられて両手を挙げて下がっていく。

「いや、そうじゃなくて、今日二人に来て貰ったのはさ」

「うん、わかってる、魔法についてでしょ」

そう言って飯田をケータイの画面を私達に向ける。

そこには例のM氏の事が出ていた。

「魔法の事はいいけど蜜さん、マジ発砲はやばいって」

「不可抗力不可抗力、というかお前達は魔法貰ってないのか?」

「あーうん、僕たちはちょっと抵抗あって触ってないんだ、今日本で魔法の力に目覚めたのは大体二万人、そしてそれのせいで起こった犯罪は確認されてるだけで千件ちょっと、さっきみたいな軽いのも入れたらもっと多いだろうね」

何人か死んでるなこれ。

地球人そういう異端技術手に入れるとすぐ調子乗る。

というか魔法ないのにヤンキーに絡んだの。

勇気ある。

「そう言えば蜜さんの魔法はわかったけどエナさんは?というか二人はそういうの興味無いかと思ってたけど」

「あーいやー、不可抗力かな、ちょっと訳ありで」

ほぼ強制だったからな。

「ふーん、エナさんの魔法は?」

「え、えーっと、結構危険だからあまり使いたくは無いかな」

「そうなんだ、まあエナさんなら大丈夫だと思うけど」

蜜が遠慮しなさそうだから私がしっかりしないとな。

殺しはさせるわけにはいかない。

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