飛行船とサンショウウオと(3)
「とまあ冗談はここまでにして」
タリアさんが離れて仕切り直す。
「私達にも彼女を紹介してくれ」
「え、ええ、彼女は蜜、私の幼なじみで……」
蜜に腕を持たれてぐいっと引っ張られて立ち上がる。
「永遠の愛を誓い合った仲だ」
「この船の管理者を任せてます、愛は誓い合ってないです」
「私の幼なじみは照れ屋でな」
照れ屋とかそういう話ではない。
「え?あんた冗談抜きに同性にいけるの?人間ってそういうのあんまりだと思ってたんだけど、セイレーンは男ってもんがないから人間襲うか女同士になるけど」
セイレーンやべえな。
サキュバスの間違いじゃないの?
「同性いけるっていうかなんていうか」
ただ流されてるだけと言えば流されてるだけとも言うけど。
『ママは女が好きなんじゃなくてみっちゃんが好きなんだって、みっちゃんが言ってた』
まーた余計な事吹き込んでるな。
モイラは純粋だからすぐ蜜の言うことを信じる。
と言っても世話とか話し相手とか任せてるから仕方ないと言えば仕方ないけど。
「ま、まあその辺の話はまた今度で、昔の話ですよね、えーっと四、五年前のぉ~」
タリアさんに肩を掴まれた。
「な、なんですか」
「私とは遊びだったのか」
「言い方」
私が一体何をしたと言うんだ。
帰って来るんじゃなかった。
せめて一人で帰ってくるんだった。
「とにかくその話はまた後でしますから!昔話させて!」
渋々といった顔でちゃぶ台に戻るタリアさんと勝ち誇った顔の蜜。
しばきてえ。
「えーっと、いいですか?」
「ああ」
二百年生きた女がそのぐらいで不機嫌になるな。
「モイラ」
『はーい』
モイラが手で四角を作るとそこからモニターが生成されて空中に映像が映し出された。
それをフワッと投げるとタリアさん達の前でピタッと止まる。
「うお、凄いな」
「まあこれはこの世界の魔法と地球の科学の融合で出来てる事なんですけどね、これについても説明します、あれは四、五年前の事ですけど」
四、五年前っていうのこの短時間に三回目なんだけど。
漸く話進むよ良かっためんどくせえな。




