ゴブリンとドジョウと(完)
「でもね」
でも。
「あいつの選択はあいつにしか出来ないのよ」
生意気な鳥だ。
「確かにそうだな、じゃあ今夜はガーリックチキンソテーも追加だな」
「なんでよ!今私いい話してたでしょ!」
「私より精神年齢高そうな会話をするな」
「理不尽にも程がある」
確かに私がエナ離れ出来ないと、奴が帰れる条件が揃った時に気持ちよく帰れないしな。
「ま、その内、な、心の準備をしておこう」
「そうよ、そう……」
ヴィヴィの視線が私の頭上にスーッと向いて言葉が途切れた。
「どうした?」
釣られて私も見る。
鳥の群れか、ドラゴンか、何か珍しい物でもあるのか。
「……なんだアレは……」
生物ではない。
私達の頭上をすっぽりと覆い被せる程、どころではない。
この山丸々一つ覆う程大きい銀色の船。
小屋からエナが勢いよく出て来て叫ぶ。
「んげぇ!来ちゃった!」
「な、なんだ!知ってるのか!?」
続いてサラとラヴィも出てきた。
「え、えっとー、そのー、あ、あははは」
もしかしたら最近の私達に秘密にしてる何かかもしれない。
「正解はCMの後!」
CMってなんだ。
人差し指を立てたエナの頭上に、その船からの光が強く射した。
『ママ!こんな所にいたのね!』
山全体に響くような拡張された声が轟く。
全員の視線がエナに注いだ。
「「「「「ママ!!?」」」」」




