ゴブリンとドジョウと(9)
「この臭いは硫黄系かな、わからないけど、ゴブリンってのはそのぐらいはやれる知恵があるんだ」
当のゴブリン達は何とも無さそうな所を見るとゴブリン達から出てるのかな、おなら?んなわけないか。
ゴブリン達も次第に何ともない私に気付く。
タリアさんとラヴィさんを襲う前に私を鎮圧しようと思ったのだろうか、標的を私にして一斉に飛び掛かってきた。
子供もやばそうだし早めに決着つけよう。
「悪いけどね、今の私はゲームで言ったらバッドステータス無効パラメーター上限と更に特殊能力持ちだよ」
記憶を取り戻した私が敵に回った時点でゴブリンに勝ち目なんてないのだ。
「……ん……んぁ……ああ!?ここは!?」
「ああタリアさんお寝坊さんですね、ナマズ戦の後と逆みたいになりましたねこれ」
次の日の朝、朝日と共にタリアさんが目を覚ました。
日差しが眩しい。
あの時は私が寝すぎた。
今思えばこの世界と同期していたのかもしれない。
「エナ、あの子は?というかゴブリンは?」
「あの子は無事ですよ、怪我も治して……治りました、ゴブリンはまあ、どこかに行きました」
「何か隠してるのは兎も角嘘つくのが下手くそ過ぎるだろ……ここは、川の近く?」
怪我を治した、というより修復した子供も近くにいてラヴィさんも直ぐ側で寝てる。
二人の毒も抜けてる筈だ。
「ええ、夜も明けたのでビンドウの回収をしちゃおうかなって、確かこの辺に……あった」
ゴブリン達にイタズラとかもされてないみたいだ。
岩にくくりつけてある紐を辿ると私が投げたビンドウがジャバジャバと水音を立てながら出てきた。
中で小魚が暴れている。
これこれ。
「なるほどな、そうやって捕れるのか、いつもそうしたら釣りも楽だろ」
「なんで楽しい事を楽しなきゃいけないんですか、横着ばっかしてると横着星人になりますよ」
「なんだそれ」
引き上げて中を見ると貝が数個、小蟹が数匹、小魚が数匹、大型の魚はいないな。
餌で使ってた蟹の残骸は殆ど残ってない。
ちょっと大きい殻があるぐらいかな。
「やっぱり昨日見えた通り、メインはドジョウになりそうですよ」
「ああ、小さいやつか」
「そうそう、というかエルフって魚捕ったりしないんですか?」
「種類とかまで気にしてない」
賢そうな顔して言うことか。
その辺日本人と感覚違う所だろうか。
それともタリアさんだけが気にしてないのか。
 




