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それでも私は釣りに行く!  作者: naoてぃん
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ダークエルフとカニと(7)

この水路が集まったり散ったりしてたまに太い川になったり用水路みたいな細さになったりを至る所でしている。

不思議な土地だ。

丁度私達が落ちた地点は太い川だった。

「ここをこのまま真っ直ぐいけば港の離れの洞窟に出ます、崖の所なのですが、隠し通路的な物で昔少し使われていたと聞いたことがあるのですが……」

もう何年も人の通った跡はない。

ラヴィさんの一族だけが使っていたのだろうか。

それにしてもゴール地点が分かってるなら何も怖がる事はない。

後はタリアさんとヴィヴィの心配をするぐらいか。

まああの二人なら大丈夫だろう。

しばらくラヴィさんの手の火を頼りに無言で歩く。

気まずい。

何か喋ってくれ。

「……復讐に囚われた悲しい女と笑いますか?」

喋った内容が重いってば。

「いいんじゃないですか?あの瞬間あの一瞬、何が普段クールなラヴィさんを突き動かしたのかは私には理解出来ませんけど」

まあ一族の復讐なんて私は経験無いからなんとも言えないな。

「私はさ、ほらどちらかと言うと感情に正直なタイプだから、やりたくない事はやりたくないし、今だって釣竿あったらこの川で釣りしたいと思うぐらいに自分勝手で自由な方だから、本当にラヴィさんが復讐したいと思うならその気持ちは否定しませんよ、タリアさん辺りは脳ミソダイアモンドな部分あるからもしかしたらそんな事しても誰も喜ばないとか言いそうだけど」

全体がダイアモンドな訳じゃないけど。

「確かに昔一族の事は忘れて自分の為に生きろと言われた事もありますね」

「うん、タリアさんはそう言うでしょ、でも私的にはやりたいならやったらいいんじゃない?復讐ってさ、やられた人達の為にやるものじゃなくて残された人達が無念を晴らす為にやるもんじゃない?経験無いけど、なんて、イジメられたら机にイソメ入れるタイプの女が言ってみたり、にひひ」

そのイソメで釣りに行くぐらいの度胸を見せられる女になってくれ。

撃っていいのは撃たれる覚悟があるやつだけだ。

「なるほど、王都に来てからのエナ様を見てきましたが、タリア様が御執心なのも少しわかります、貴女は少しズレているのですね」

「え?ズレてる?ほんとに?」

「ええ、そう感じます」

暗くてよくわからないが笑った、そんな気がする。

「じゃあラヴィさんの胸の内を一つ聞かせて貰ったお礼に私も一つ聞かせてあげますね」

世の中等価交換だ。

ラヴィさんも復讐なんて他人に聞かせるような話じゃないような事を言ってくれた。

「え、はい、なんでしょうか」

「実は最近になってこの世界に来る直前の事を少し思い出したんですよ」

何が切っ掛けか、もしかしたら勇者君に接触した事か。

それはわからないがこれはいい傾向かもしれない。

「実は私、来る前に……ん?あれ」

暗闇の中、ビヨヨンピョンピョンと作られた様な効果音を出しながら接近して来る真っ白な物体を見つけた。

私が指差す方にラヴィさんも釣られて見る。

「……なんだろうあれ」

「あれは……タリア様の使い魔!」

そんなの今までいた?

ピョンピョンいいながらその物体は淡い光を放ち私達の前でピタッと停まった。

ウサギだ。

「ああ!瓶の!」

私のベーコンや蒲焼きの様にタリアさんはウサギとカメの瓶を持ってたはずだ。

ピョンピョンと私達の前で反転して着いてこいと言わんばかりに横道に入っていく。

「あんな所に道あったんだ、気付かなかった」

「行きましょう!」

なんでタリアさんのってわかるんだ。

魔力ってやつかな。

というかこういうシチュエーション以外どういう時に使うと使い魔なんだろうか。

ウサギねえ。

名前勝手に付けたら怒られるかな。

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