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それでも私は釣りに行く!  作者: naoてぃん
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勇者とウナギと(12)

「あのね、イーマも別にエナさんが嫌いな訳じゃないの、勇者の事が好きだから反発してるだけで」

精一杯の声で私の耳元でそう囁く。

「だから嫌いにならないであげてね」

「うん、大丈夫だよ、私はね、ただ流石に向こうからも打ち解けてくれないと私だけじゃどうしようもないな」

結局コミュニケーションてのはキャッチボールだからこのままじゃ投げてるだけのピッチャーマシンになる。

「別に私もイーマちゃんの事嫌いじゃないよ、ただ自分の気持ちにもう少し素直になって声に出せればなって思う」

ツンデレって奴なのかな。

まあ別に勇者君の事好きでもないからお姉さんは蚊帳の外にしといて欲しい。

まあ勇者君には聞かないといけない事もあるけどね。

「じゃ、イーマちゃん探そうか」

コクンとまた一つ頷いた。




「イーマ」

「ん、ブラス……っと、どうも」

タリアさんとデオさんにも協力して貰って最終的に海が見える丘に辿り着いた。

最初の日に私とヴィヴィで野宿した所だ。

そこのベンチで未だに拗ねていた。

まだ昼過ぎだ。

タリアさんとデオさんは用事があると言うので今は私達三人だけだ。

「何か用ですか」

「んーまあ用と言えば用かな?私別に貴方達と一緒に魔王軍と戦おうなんて思ってないから安心して欲しいなって」

「……そうですか」

ブラスちゃんがイーマちゃんの隣に駆けて行って並んで座る。

人差し指でイーマちゃんの胸の辺りをクルクルと撫で回した。

「痛いの治る魔法」

「うん、ごめんね、ありがとうえっ!?」

更に反対側に座って逃がさない構え。

「好きなんでしょ、勇者君の事」

「なっなにを」

「隠さなくていいよ、本人も居ないし、批判するつもりもない」

黙って俯く。

言いたくないのか。

言えないのか。

「あのバカは鈍感だから気付いてくれないけど、といか私はアイツの背中を眺めながら一緒に旅出来ればそれでいいんです、一緒にいれるだけで嬉しい」

一緒にいれるだけで嬉しいか。

その気持ちわからない事もない。

「でも、他の女性にデレデレしてるのを見るとムカムカするし、女に甘いし、私にはそんな態度ないし」

仲間だからだろうなぁ。

「だからつい手が出ちゃうけど……」

「よし!」

パンッ!と膝を打って立ち上がる。

「私を殴りなさい!」

「は?」

「消化不良は体動かして解消しないとね」

お腹をポンポンしてドンと来いのポーズ。

「い、いや、流石に女性のお腹は殴れないですよ」

「顔でもいいよ」

「ムリムリ」

両脇を持って無理に立ち上がらせて胸に顔を埋めさせる。

「むー!むー!」

「ほら!好きにしていいよ」

無理矢理抜け出そうとするが私の方が力が強い。

後ろでブラスちゃんが羨ましそうにしてるのが見える。

涎垂れそうになってる。

ステイステイ。

「んむっぷあっちょっと!なんですか!」

「これやると落ち込んでる人大体元気になるんだけど、柔らかくなかった?」

「やっ……わからかったでしゅ」

「素直でよろしい」

ハイドラとの融合が進んでても柔らかい物は柔らかいのだ。

「……」

ちらっと一瞥くれて私の胸を揉み始める。

「ちょっと?」

「ちょ、ちらっと、ちょっと揉むだけですから」

ご利益かよ。

「イーマ狡い!」

片方ずつ両乳を二人に揉まれる。

蜜には見せられないな……。

狡いってなによ。

「元気になった?」

「べ、別に元気無いわけじゃないです、アイツが女に甘いのは今に始まった事じゃないですし」

数分揉ませているが未だに揉み止む気配はない。

なんだか変な気持ちになって来たぞ。

ムラムラ。

「そ、そろそろ止めて?」

「……はい」

男だったら通報だぞ。

抱き締めたのは私だけど。

「ブラスちゃん、ブラスちゃん!」

「えー」

揉み足りないのか渋々手を離す。

落ち込んでる相手がいるときはやっぱりこれだな。

こういう時は大きくて良かったと思う。

「あのね、話戻すけど、私元の世界、地球に帰る方法を探してるの」

「そうなんですか」

「うん、転送魔法自体は使えるらしいんだけどね、ハイドラっていう化け物の血を体から抜かないといけないんだって、それでね」

歩きながら色々考えたが結局王都にいたらダメだろう。

「私達は剣先団と戦うよ、だから魔王軍の方は宜しくね」

「えっ」

それが一番いいだろう。

剣先団を倒した先に血を抜く方法がないならそれはそれで仕方ない。

「そ、そんなの危ないですよ」

「大丈夫、お姉さん達強いから」

「でも……」

「だからね、安心して勇者君と恋愛してきな」

というか私は最初から勇者君に恋愛感情ないし。

「……死んだらダメですから」

「死なないよ」

「絶対ですよ」

「知らないの?私は死なない、帰ってきて、もしまたここで会ったら、その時はまた揉ませてあげよう」

「……はい」

モミッ。

「だからね、安心して行ってきな、偉大な勇者の仲間でしょ」

「……はい」

モミモミッ。

「いい話してる風だから揉むの止めようね」

「すみません」

モミモミモミッ。

「やめーや」

「いやこれ気持ちよくて」

私も気持ちよくなっちゃうだろ。


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