勇者とウナギと(10)
「もし私の力が暴走して取り返しつかなくなったらその時は殺して下さいね」
「自信ない」
「なんでよ」
そこは私に任せろとか言う所でしょしまらないな。
「ま、そしたら勇者君か蜜にでも任せようかな」
蜜がどういう力を手に入れたかは知らないけどイカ兵を倒すぐらいの力があるならワンチャンぐらいあるだろう。
勇者君だって地球からこっちに来てなんか特別っぽいし。
剣技で言えばデオさんも凄いらしい。
でもそんな世界を壊す様な化物と同レベルの力を止められるぐらいの力、果たしてこの王都に住む人達にあるかな。
ウツボ一匹でギャーギャー言ってちゃね。
「そうならない様に私も努力しますけどね、情けないエルフには任せておけない」
「お、言うなあ減らずマウス」
「チューチュー」
「マウス違いだぞ、さて」
クルリと反転。
「戻るんですか?」
「これ以上いたら湯冷めするぞ」
「川の水で体洗った後で野宿する人がなに言ってるんですか」
冬だったら凍死。
季節感ない世界で良かった感。
それに別段寒いという訳でもない。
「あ、そうだ、私からも言わなければならない事があった、王が呼んでたから明日城に行くぞ」
「それ忘れちゃアカンやつ」
王様の命令忘れるのはダメでしょ。
特に元でも護衛の長をやってた人が。
「確かに伝えたからな」
「はーい」
時間指定もないのか。
じゃあ昼前ぐらいにでも行くかな。
今更王様が私になんの用だろうな。
昨日思い出したけどあの王様高校の時のお爺ちゃん先生に似てる。
もしかしたらお爺ちゃん先生も王様の器だったかもしれない。
なんてね。
どうでもいい。
「さて、じゃあ私も寝ますかね、夜更かしは美容の敵ってね、まだそんな遅くないけど」
今夜は星空とサヨナラバイバイの時間だ。
本日のパーソナリティーは私、エナが務めました。
しーゆー。




