ドワーフとカマスと(11)
水中から結構引きずり出したつもりだったけどこうみると胴体の半分以上はまだ水中だった。
それにしても立派なカマスだ。
怪獣映画やロボットアニメに出てても不思議がないぐらいに大きい。
最初に釣ったカマスを解体した時にわかった事だがこの角は頭蓋骨と繋がっていた、まあ当然と言えば当然だけども。
角と頭蓋骨の中間ぐらいにはクリスタルのような物が入っていたがタリアさんに聞いたらそれは魔力を吸収して体中に巡らせる為の器官らしい。
よくわかんない。
「ふぅー、とりあえずこれで化物騒動は一旦解決ですね、あいたたっ」
しりもちが痛い。
差し出されたタリアさんの手を取って立ち上がる。
「胴体も切ってくださいよ、縦にスパッと」
「馬鹿を言うな、風の刃は消耗が激しいんだ、前回の二連射は薬の力があったから出来たんだぞ」
えぇ。
じゃあこれ手で捌くの?
こんなサイズの魚は流石にキツいぞ。
ナマズはエルフの皆さんと協力したから良かったもののドワーフの皆さんの協力仰げるかなぁ。
「ホントにやっちまうとはな」
いつの間にか水車に腰を下ろしていたスランさん。
「化物を釣り上げる、なんて発想全く無かった」
「いやぁ、まあ化物といっても所詮は魚ですよ私からしたら、食用です」
デカい魚が釣れたら捌いて食べる。
「あんた、この世界の人間か?」
「い、いえ、違います」
「異世界人こええよ」
まあ逆の立場なら私もそう思うだろう。
実際森の中でバリバリ芋虫食べるタリアさんに引いた。
エルフこええよ。
顔は美人なのに。
ドワーフは何を食べるのだろう。
「ま、まあ約束は約束だ、村に帰って特別製の包丁を拵えてやらぁな」
「その前に水源確保ですね」
倒して終わりじゃない。
水車小屋に水車の仕事をさせないと意味がない。
とりあえずこのカマスをどうにかしよう。
三人でカマスの胴体をどうにか引き上げてスランさんの持ってきた刃物で捌ける部分を捌き小分けにする。
これで多少の食料としてドワーフの村の人たちの飢えを凌げるだろう。
血抜きだけで神経締めとかしなかったけど胴体だけ暴れるとか無くて助かった。
それをタリアさんに渡してドワーフの村に届けて貰い残った私とスランさんで小屋の生きてる部分を使い修理、最低限村の方へ水路を作らないといけない。
水車小屋の仕組みはわからないが力仕事ぐらいは私でも手伝えるだろう。
休憩を挟みながらも作業をしていたら半日程でタリアさんがドワーフさん達を数人引き連れてやってきた。
後は自分達で出来るから任せてくれとの事なのでお言葉に甘えてタリアさんに寄り掛かったら臭いと言われた。
ひどい。
そのままドワーフの村へ。




