王都とウツボと(15)
腰の牛刀を抜きハイドって頭を鷲掴み。
そのまま頭を落とす。
ハイドればハイドる時ハイドろう。
ハイドるってなんやねん。
頭から離れた胴体がビチビチ暴れる。
「はっ!こうなっちゃえばただの肉塊ね!」
そう言ってヴィヴィが私の手からウツボの頭を取っていく。
「え、危ないよ」
剣すら弾くハイドラの皮膚だから私も臆さず掴んだけど素手は流石に嫌だよ。
「何が危ないのよ、死んでるでしょ?」
「まだ生きてるよ」
「はえ?」
間抜けな顔のヴィヴィは羽根をもう一枚失う事になった。
間抜けなのは顔だけじゃないな。
「なんでよ!頭だけで生きてるって有り得ないでしょ!」
ビビって頭を宙に投げるが口だけ暴れるそれを空中で一刀両断。
ハイドラの力恐るべし。
そしてスランさんの包丁結構使ってるけど未だに切れ味が落ちない。
この世界の金属凄いな。
「こいつは特に生命力ツヨシ君だからね、舐めすぎ」
「はー、私の美しい羽根に傷が付いたわ」
自業自得。
塩が欲しいけどないからこのままいこう。
ウツボの腹を裂いてフィーレの形にてクーラーボックスイン。
内臓は海にポイ。
これ食えんのかな。
「ほら、まだ動いてるでしょ」
「本当だ、ピクピクしてる」
海のギャング舐めたらあかんでよ。
「ん?」
何かに気付いた様でヴィヴィが真っ二つの頭を拾い上げる。
普通の女の子はそれすら躊躇うと思うけどな。
私は平気だけど(魚マウント)
「ねえ、こいつこの部分焦げてない?」
ヴィヴィの指すところ、普段ウツボを締める時に切る頭の部分だ。
確かに言われれば焦げたみたいな傷が付いてる。
タバコでも当てられたかな。
んな訳ないか。
今の今まで海の中に居た訳だし。
なんだろこれ。
「なんか本当にこの間のリヴァイアサンをまんま小さくしたような感じね、ラヴィが燃やした所もこんな感じだったし」
確かに……いやいや、まさかね、サイズが違いすぎる。
どっかに頭ぶつけたとかそんなのでしょ多分。
ウツボの血を海水で流して撤収の準備をしていると若い騎士が駆け寄って来た。
良く見ると最初の船で会ったあの感じ悪い騎士だ。
「げっヴィヴィよろしく」
「ええ、私だって嫌よ」
嫌嫌言うなよイジメだぞ。
「も、申し上げます!」
私達の前でビシッと敬礼。
ヴィヴィが私の後ろにささっと隠れてしまった。
小柄な奴はいいなぁ!
「え、嫌です」
おっと私も嫌と言ってしまった。
「冗談です、なんですか?」
「は、はい!お、王がお呼びです!」
「王様?」
あの王様がお呼びとあらば行かない訳にもいかないか。




