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それでも私は釣りに行く!  作者: naoてぃん
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王都とウツボと(14)

「えっと、英雄様と、そのタリアのオバハンは一体どういう……」

関係かって?

「う、うーん、友人?というか、案内役?」

腕を組んで難しい顔をされた。

「えーっと、この世界で最初に会ったのがタリアさんだったからさ!ね!流れでね!」

まあ私がタリアさんをくださいって言ったんだけど。

「なんでそんなにタリアさん嫌いなの?」

「あーえっと、嫌いと言いますか、苦手って表現の方が近いんですけどカクカクシカジカウマウママルマルありまして」

もしかして騎士団長時代のキッチリした性格のタリアさんがトラウマとかになってるのかな。

もしくは本当にお兄ちゃんっ子でタリアが仲いいから目の敵にしてるのか?

「と、とにかく私はこの辺で失礼しますね!お、おほほほほ」

そう言うとパースは私達からゆっくりゆっくり距離を取りある程度離れた所でクルリと反転してダッシュで逃げて行った。

おほほほほって。

「結局私の方が美少女ね」

「大人げない」

「馬鹿ね、美しさに大人げなんてないのよ」

「意味がわからないけど可愛いと綺麗はまた別でしょうに」

「そう、可愛さと美しさを同時に兼ね備えた私は美の女神」

誰だよ。

「じゃあ美の女神様、海に潜って魚取ってきて」

「お、言葉の意味を理解してないわねあんた」

貴女が落としたのは金のヴィヴィ?銀のヴィヴィ?いえ、受け取り拒否。



ヴィヴィもまた噴水に行くと絡まれるかもしれないからと一緒に釣りをする。

ロッドを出して同じ仕掛けで同じ投げ方をさせる。

「でね、この角度の時に指を放すわけ、そうすると飛んでくから」

「あんた投げてよ」

「お前を投げてやろうか」

そっちからやるって言って来たから準備したのに。

「その手元のハンドルくるくるするやつはやってあげる」

どこ目線やねん。

まあこれも初心者に興味を持たせるチャンスだ、我慢我慢。

「仕方ないなぁ、じゃあ投げ……おっと」

そうこうしてる内に元々投げていた方がグイグイ引いてる。

「あ!それやる!」

そう言ってヴィヴィがロッドを手に取り巻き始める。

その羽根みたいな手で器用だな。

「え、待って待って強い強いパス」

十秒ももたなかった。

すぐに受け取り引き続き巻く。

あーなるほど、確かに強いな。

なんだろこれ。

ギッグッグッとドラグが悲鳴を上げるぐらいには強い。

ドラグを締め直してゆっくりゆっくり巻く。

ドラグってのはリールの締め具合を調整する所だ。

「あー強い強い、いいね、これこれ」

ゆっくりゆっくり、それでもそんなに遠くに投げて無かったのですぐに見えて来そうだ。

しかしパワフルだけど左右に大暴れしないこの感じ、もしかして。

「あーこれ、ウツボかな」

結局あの化けウツボは食いそびれたからこれでウツボならまあそれはそれで。

切られる前に勝負に出よう。

ウツボはすぐライン切るからな。

ギッグッキャリキャリ。

グッグッグッキャリキャリキャリキャリ。

「見えて来たわよ!なんか長い!」

ヴィヴィの指差す方を見ると確かに太い蛇のようなそれが見えていた。

「よし、一気にやっちゃうか」

と、ほぼ水面に上がった所で一気に引き上げセルフタモ。

スッと掬い上げる。

路上でビチビチとウツボ大暴れ。

「でっか!これ食べれんの?」

「食べられるよ」

「なーんかこいつ、この間のリヴァイアサンにそっくりね」

アホのヴィヴィでも気づいたか。

そーっとヴィヴィが羽根を近付けるとその内の一枚がバクリと噛みつかれた。

「あ、危な!」

「あ、そいつ肉食だから気を付けてね」

「先に言ってよ!」

言おうと思ったら手出してたんだから仕方ない。


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