王都とウツボと(11)
「ところでどうしたんです?何かありました?」
「いや、近くを通っただけだが珍しい格好をしてると思ってな」
「ん?ああ、これですか」
ジーパンとシャツというスタイルが変わらないが今日はポニテにしてキャップを被っている。
特に理由はないが気分だ。
このキャップはこの世界で売ってた物じゃないがラヴィさんに言ったらパパっと作ってくれた。
あの人凄いわ。
「まあガングロエルフのお手製です」
そのキャップをクルリと外してタリアさんの前に出してから被り直す。
クルリンパ。
「ガングロって……褐色な」
「どっちでもいいでしょ、それで、近くを通ったって、この辺に何か用事でも?」
「ちょっとな、デオと待ち合わせだ」
昔の男と密会ってか。
「デオさんとタリアさんてどういう関係なんです?実際、騎士とか無しにプライベートで」
「どういうと言われても、私は奴が子供の頃から知ってるんだぞ、どうもこうもあるまい」
近所のお姉さんと少年の十年越しの再開とか、というかデオさんて何歳ぐらいなんだろうな。
私知ってるよ、おねショタっていうんでしょ。
飯田に教えられた。
そういう漫画何冊か読んだけど結構エッチなの多くてね。
いいけど。
「見た目で言えばデオさんのが年上っぽいですけどね」
「人間とエルフでは仕方あるまいて、そうさな、私の感覚では弟みたいなもんだな」
「ふーん、おっと」
ロッドの反応を感じとりリールを巻く。
今日は海辺ではあるけど前回のサビキとは違いスライム投げ釣りだ。
クックッという弱めな引きだったので一気に巻くと二十センチ程のハゼ……いや、マゴチだなこれ。
角付き。
「今日はこいつてんぷらにしようかな」
今日はこいつで二匹目だ。
一匹目もマゴチ。
「こんな所で油売ってていいんですか?デオさん待ってるかも知れませんよ」
「いいんだよ女は男を待たせるぐらいで」
「半世紀前の日本ならひっぱたかれますよ」
「時代錯誤だな、男を突っぱねるぐらい女も強くないとな」
半世紀前じゃなくてもあまり待たせてるとひっぱたかれるぞ。




