第133話:未知で満ちた道の半ばに失われていた恋
真っ白い夏服のシャツが、室内に差す朝の光を弾き、輝いている。
そのシャツが少女の体を包むと、輝きは鈍くなった。
日が雲に隠れたのだ。
シャツのボタンを留める舞の指が軽く震えている。
いつものことである。
いつものように、舞は、震える指を励ましてボタンを留め、着替えを終えると、教科書の入った学校指定の鞄を肩から斜めに下げて、部屋を出て、廊下をちょっと歩き、階段を降りた。
「早く食べないと、遅れるでしょ」
降りたところで、母の声がした。
舞に向けられたものではない。
二歳年下の妹が、母の声を聞き流して、父と一緒にテレビに向かっている。
舞は家族に向かって、行って来ます、と声をかけて、背を向けると、母に呼び止められた。
「なに? お母さん」
目の前まで来た母が、じっと見つめてくるのを、不思議そうに見返していると、
「どこか具合が悪いんじゃない? 顔が暗いわよ」
と来たので、舞は、口角を上げて、微笑んでみせた。
「どこも悪くないよ」
その言葉を無視する格好で、母の手が、舞の額に当てられる。
「熱は無いようだけれど……」
「ちゃんと測ったから大丈夫」
「え? 測ったの?」
「ううん、それは冗談」
舞が母の手から逃れるようにすると、母は心持ち強い声で、
「学校なんかいつでも休んでいいんだからね」
と言ったあと、大げさに手を打ち合わせるようにして、
「そうだ! 今日は学校なんか休んじゃって、お母さんとお買いもの行こうか。この頃、舞と出かけてなかったし。そうしよ、そうしよ!」
と目を輝かせて言うので、舞は、目を大きく見開いた。
舞が何か答えようとする前に、ダイニングテーブルの妹がすばやく反応して、わたしも休む、と言い出した。
「ダメよ。あなたはズル休みでしょう」
「えー! 差別じゃん、そんなの! お母さんは、わたしのこと嫌いなんだ! できのいいお姉ちゃんの方が好きなんだ!」
妹は、びえええん、と泣き真似をしてから、ガツガツとご飯をかっこんだ。
「ちゃんと噛んで食べなさい」
父が、具合悪いなら、お母さんの言う通り休んでもいいし、行くなら、送っていくか、と遅ればせをやったが、舞はどちらも断って、もう一度、家族に行って来ますを言った。玄関先まで見送ってくれたなお不審げな母に、本当に大丈夫だからと言って、家を出た。
天気は、晴れ渡っている。
舞の気持ちは、晴れ晴れとしたものではない。
もっともそれは今日だけのことではなく、学校に行くときはこの頃、いつもそうなのだった。「この頃」というのがいつからのことなのか、記憶を正確にたどってみれば、何のことはない、いつからも何もなく、初めからである。
中学校に行き始めた初日から、舞は、この空間に違和感を覚えた。
どこかよそよそしい。
小学校空間とは違う。
その違和感は人が新しい環境に置かれたときの当たり前の反応に過ぎないのだ、と思ってやってきたわけだけれど、三年生の夏になっても、それはいまだに消えないのだった。
舞は十字路で足を止めた。右左を確認してから、また歩き出す。
学校に行く足を重くする理由は、違和感と表現する他ないもので、具体的に何がどう嫌なんだ、と問われると、困ってしまう。嫌な人がいるわけではない。もちろん、合わない人、癖のある教師、はいるけれど、彼らから特別な嫌がらせを受けたりしているわけではないので、理由にはならないだろう。学業成績が悪いわけでもなければ――これは悪いどころか、舞は一年生から常に学年のトップ付近を維持していた――、部活動や委員会活動において、何かしら問題があったわけでもない。
ただ何となく「違う」のである。
その事実に加えて問題なのは、この感覚に関して、話せる人がいないということだ。舞には友人はいるけれど、本当の意味での友人、心許せる人というのがいない。だから、話せない。家族に話すのは論外である。ティーネイジャーとして、それは、よろしくない。友人もおらず、家族に話せないとしたら、王様の耳はロバの耳、地面の穴、すなわち地球にでも聞いてもらう場合を除けば、ネットで見知らぬ人に話すくらいしかないわけだが、自分の秘事をどこの誰とも分からない人間に話す気は、舞には無かった。
――あ、加藤くん……。
通学路を半ば過ぎたとき、クラスメートの男子の姿を見た。
駆け寄って話をするような仲ではないので――というか、そんな仲の男子などいない――そのまま距離を置こうと思っていると、彼の隣にスカートが翻った。女の子である。同性の舞をもドキリとさせるような可憐な趣の彼女は、加藤くんのカノジョだった。川名環。同級生であり、校内では結構な有名人である。才色を兼ね備えた少女。
二人は、まるで長年連れ添った夫婦ででもあるかのように、自然な様子で、歩いていた。一緒に登校しているのだろう。二人のいるところだけ、空間の色合いが、違っているように見えるのは、何の具合なのか分からないけれど、とにかく二人の歩く空間だけ淡い光を放っているかのようである。
その二人の後を、少し離れたところから、見守る格好で、舞は歩いた。
二人は時折何かを話しながら、微笑み合っているようである。
何を話しているのか、舞には聞こえない。
舞は、二人に見惚れるようにして、ふらふらと歩みを進めた。
川名環の有名と比べると、加藤くんは全然有名ではない。ルックスにもその立ち居にも人を惹き付けるものはない、どうして川名環のような子が彼と付き合っているのか分からない……と普通には思われているけれど、舞は、みんなとは少し違った評価を下している。
ひとり、不登校だった子が、学校に来るようになった。舞と同じクラスの女の子である。二年生のいつからか来なくなっていたらしいその子が来るようになったのは、加藤くんが、彼女宛てのみんなの手紙を持っていったその後のことだった。加藤くんは、単なるメッセンジャー以上のことをしたのではないか、というのが舞の推測だった。そうして、仮にそれが正しいとしたら、学校に来ない子を学校へと戻したのである。こんな奇跡はない。
二人は、穏やかに、学校の校門へと向かう坂を登り始めている。
十数歩遅れて、舞も、同じように坂を登り始めた。
同校生の声が、にぎやかである。
カレシでもいたら、この胸につかえた悩みも話せるのだろうか。そんなことを舞はちょっと考えてみた。そうかもしれない。友達にも家族にも話せないことでも、恋人ならば可能性はあるではないか。でも、どうやって作る? 舞は恋人を作ったことがない。作り方みたいなものがあるのだろうか。クッキーのレシピみたいに。それは、どこで調べればいいのか。分からない。悩みが一つ増えただけのことになってしまった。
舞は校門をくぐった。
また、くぐってしまった。
それは後悔と安堵の瞬間である。
いったんくぐってしまえば、あとは、何となく時間は過ぎて行く。
前の二人は、生徒用玄関に入ったようである。
舞も、玄関に入って、下駄箱で靴を替えた。下履きから、上靴へと。
そこで、友達の一人に話しかけられて、二人を見失った。
教室に入ると、加藤くんは席についていた。
舞は自分の席に着くと、何とはなし加藤くんを見てしまって、その視線をとらえられて、ドキリとした。
――変に思われたかな……。
慌てて視線をそらした舞は、ちょっと前に、こともあろうに、加藤くんといい感じになっているという噂を立てられたことを思い出した。その件で、ちょっと嫌な思いをして、それも一緒に思い出してしまって、苦い顔になった。
担任が来て、朝のホームルームが始まり、また、一時限目から授業が始まった。学校の授業はあまり面白くない。先生の教え方もうまくないし、そもそも、塾ですでに習ったことなので、聞かなくても分かるのである。聞く必要の無いことを聞く振りをして、たまに、当てられた問題を解いたりして六時限過ごすと、帰りの時間である。
帰る前に、掃除。
大した労働ではない。
というか、大した労働をしない、と言うべきだろう。
舞の班はみな、まともに、清掃場所である教室をクリーンにする気などなく、ただ、くっちゃべっているだけである。そういう舞も彼らの話に参加している。参加せざるを得ない。みんながふざけているときに、一人だけ真面目をやれば、どんな評価を為されるか。どんな評価を為されたっていいと、割り切ることができないわけでもないのだけれど、やればやったっていいのだけれど、面倒くさいことになりそうなので、避けていた。今だって面倒なのに、これ以上面倒な事態になったら、たまらない。本当に学校に来られなくなってしまう。行かなくたって構わない、と思い切る勇気は、舞には無かった。
不登校を選択した彼女に対して、自分の意気地の無さはどうだろう、と舞は思わないでもない。しかし、おそらくは、これは不登校に限られないことだが、ある行為が称賛に値することかどうかは、それは、その行為が自発的になされたものなのかどうかによるだろう。あるいは、こう言い換えてもいい。行ったその行為の責任を自らが負えるかどうか。舞は、どちらにしたって、今の自分にとっては、称賛される形でことは行えないだろうことを知っていた。だから、できない。
こういうことを語れる誰かがいればいいのに、と舞は願う。
こういうことを語っている人がいるのだろうか、と舞は思う。
思って、それを言葉にしてしまったのが、15分間の掃除の時間の終わり頃であった。舞の担当エリアの教室掃除の場合、最後に集めたゴミを捨てに行くことになっているのだけれど、いつものようにその仕事を行うことを申し出た男子に、わたしも一緒に行くよ、と二人目のゴミ捨て係に立候補したのである。
「二人で行くことでもないんだけどなあ」
加藤くんが言う。
「ゴミ捨てるの、好きなの」
舞は、精一杯の冗談を飛ばすと、彼が両手にしているゴミ袋の一つを自分のものにした。二人で、一つずつ、さほど大きくも重くもないゴミ袋を持ちながら、廊下を歩いているとき、
「聞いてもいいかな、加藤くん」
「うん?」
尋ねてみてから、思い出したことが一つ。確かこういう出だしで、少し前に彼と話をしたときに――そのときも、ちょうどこの掃除のゴミ捨て時――彼の不興を買ったのだった。まるで学習していない自分にバツの悪い気持ちになったけれど、加藤くんは気にした様子でもないし、いったん言い始めたことなので、
「その……今朝、川名さんと登校してたところみたんだけど……川名さんとどういうこと話してたの? ちょっと興味があって……」
思い切った。
「タマキと?」
「う、うん」
舞は、前から歩いてきた生徒を避けるために、加藤くんの後ろについてから、もう一度隣についた。
加藤くんは、うーん、と唸るようでもなく、静かに考えているようだった。
考えるようなことなのかな、と思ったけれど、黙っていると、
「特別大した話はしてないけどなあ。ていうか、話してない時間の方が長い」
という、答えが返って来た。
舞は、ちょっとがっかりした。
付き合っている二人が、自分には無理な素晴らしい会話をしていると思うことができれば、自分には無理だけど、どこかでそういうことが行われているんだと思うことができれば、それは心慰められることだと思ったのである。もちろん、加藤くんと川名さんがそういう話をしていないからといって、絶望まですべきことではないし――カップルは地球上にまだ無数に存在する――、「それ」は二人だけの秘めごとで、余人に話すべきことではないという判断を彼がした可能性だってある。
ふう、と失望の吐息を、礼儀正しく、内心でのみ落としていると、
「そう言えば、今朝は死ぬ時のことを話してたな」
え、と舞の顔が、加藤くんを見た。
加藤くんは、進行方向を見ながら、確かそうだったな、と誰にともなくつぶやいてから、
「死ぬ時のことを話してた」
もう一度言った。
「し、死ぬ時?」
「ああ」
「ど、どういうこと?」
「死ぬ時に、何を後悔しそうかっていう話」
「…………」
朝っぱらから何を話しているんだろう、と呆然としてしまった舞の頭は、しかしすぐに回転を始めた。
今すぐ死ぬ、というのはあまり現実感が湧かないから、たとえば、不治の病か何かで余命三カ月になったとしよう。そのときに、どういうことを後悔しそうか。これはいろいろありそうだった。まず、これは、後悔というより、残念なことだが――同じことかな?――したいことがたくさんある。海外に行ってみたり、お酒を飲んでみたり、男の子と付き合ってみたり……。それから、したくないことをやめなかった、ということも後悔になるかもしれない。たとえば、そう、それは……。舞は、軽く首を振るようにした。
「そんなこと話しているんだ……すごいね」
想像の外の話題である。
「別に何もすごくない。ただの思考実験だよ」
「しこうじっけん?」
「頭の中だけで、あれこれ考えてみること」
「そういうことを話せるっていうことがすごいと思う」
加藤くんは、軽く首を傾げるようにしている。
「わたしにはそんなことを話せる人はいないから……」
舞は、ハッとしてしまった。
そこまで言うつもりはなかったのに、つい言ってしまったのは、これは、加藤くんのせいだろう。彼の身にまとう穏やかな雰囲気が何だか話をしたい気分にさせてしまうのだ。
「何でも話せる人がいるってステキだと思う」
舞は、さらに一歩踏み込んだことを言った。
毒を食らわば皿まで。
「何でもっていうのはどうか分からないけどなあ」
加藤くんは、はっきりとした声を出した。
そこで、廊下から渡り廊下に降りて、外へと出た。
焼却炉は、真夏の昼の光の下にあって、飛び石を伝ってそこまで歩いていくとき、日差しに目を細めた。再び、廊下に帰って来たあと、
「清少納言って知ってるだろう?」
加藤くんが唐突なことを言った。
「……え?」
「清少納言だよ」
舞はうなずいた。受験生として知っていなければならない名前である。平安時代の才女で、時の中宮に仕えて、「枕草子」という随筆を書いた。その和歌は、百人一首にも取られている。
「清少納言っていうのは、本名じゃないって、知ってるよな」
授業で習ったことである。確か、清というのは、彼女の姓である清原から来ており、少納言というのは、父親か夫の官位だったはずだ。つまり、清少納言というのはあだ名なのである。
舞は混乱した。
どうしていきなり清少納言の話が始まるのか、分からない。
「あれってどうしてあだ名なんだ?」
「……え?」
さっきから、「え?」を連発して馬鹿みたいだ。
どうしてか、と言われれば……そう言えばどうしてだろうか。先生はそこまでは説明してくれなかった。
「あの時代、本名が知られるということは、知られた相手に支配されるという信仰があったんだ。男性よりも体力的に劣る女性には、よっぽどそういう信仰が深くて、本名を知られるということは一種のタブーだった」
「へえ……」
始めて聞く話である。
「史書に名を残さなければいけない高位の女性は別だけどな」
「あの……加藤くん?」
「今は、名前は公開されているだろう?」
「う、うん」
「じゃあ、どうやって、他人から支配されないようにすればいい?」
「え?」
――また!
「本名を隠すことによって、他人の支配を免れることができないとしたら、他のもので自分を守る必要がある。それは何なのか」
これも、彼の言う思考実験だろうか。
舞は考えることは嫌いではない。
名前を知られないことができないとしたら、じゃあ、何を知られないことができるか、つまりはそういうことだろう。
廊下を歩く足取りが、心持ち、ゆっくりになる。
知られないことによって、自分を守ることができるもの、それは何か。
逆に考えると、知られてしまうことによって、自分を支配されてしまうこと、それは何か。
随分長い間、舞は考えていた。
そうして、クラスにあと二十歩ほどというところで、理解した。
「本心……?」
加藤くんは何も答えない。
本心、すなわち、自分の本当の気持ち。
自分の本当の気持ちを知られたら、自分が支配されてしまうのではないか。
――待って……。
もしもそうだとしたら、本心を話さないことが、自分が他人に支配されないようにできることだとしたら、話さないこと、話せないことは肯定的な価値を持つ。さっきは、というかこれまでは、本心を話せる友達がいたらどんなによかろうかと思っていたが、そうではない。少なくとも、そうではない考え方もできる。
そこで、教室に到着した。
加藤くんは何事もなかったかのように、教室に入った。
舞は、自分のどこかが新しくなったような気がしていた。
そうして、この人はなんていう人だろう、と、席についた加藤くんを驚きの目で見た。ずっと思い悩んでいたことをまたたく間に解決してくれた。そんなことってあるのだろうか、と思った。しかし、事実、これまで感じていたあの嫌な感じは消えているのだ。本音を言い合える人が欲しいという願望は薄らいだ。
帰りのホームルームを終えて、ふわふわとした心持ちで家まで帰る途中、ずっと、加藤くんとの会話を反芻していた。そうして、自分が得た結論が、やはり正しいもののように思えて、
――本心を他人に話さないことのいいところ……。
そんなものがあったなんて。
思いもよらなかったことである。
死角をつかれた気分だった。
つかれた部分から、自分が新しくなったような気がした。
家に帰った舞は、母から変な顔を向けられた。
「何かいいことでもあったの?」
「え、え、どうして?」
「だって、楽しそうな顔してるから」
「そ、そお?」
「男の子に告白でもされちゃった?」
「え、ええっ!?」
母は、良識がある人で、ティーネイジャーにぶしつけなことはしない。それなのに、あえてしたということは、よっぽど娘がおかしな様子だったので、心配になったのだろう。
そんなことないよ、と舞は慌てて言ったけれど、慌てて否定すると本当らしく見えてしまうようで、母を誤解させたかもしれなかった。
夏の夜である。
夕食を取り、勉強を終えたリラックスタイムに、舞は、ふと考えた。
それでも、本心が話せる人がいたら、それは特別素敵なことだろう、と。
その人には自分が支配されてもいいということだろうから。
こういうことを話せる人のことを、好きになりたいと舞は痛切に思った。そう思った途端に、舞の中で、加藤くんの像が鮮やかになったわけだけれど、ああ、しかし……そうだ、彼には恋人がいるのである。舞は、落胆した。なんて運が悪い……。
いや、違う。運が悪いんじゃない。なにせ、彼とは二年生のとき一緒のクラスだったわけで、彼がカノジョと付き合い始めたのは、三年生になった頃からであるハズである。その少し前から付き合っていたとしても、舞にだって十分にチャンスはあったことになる。そのチャンスに気が付かなかった。それは自分の鈍感さだろう。
鈍感さゆえに彼の価値に気が付かず、気が付いたときには、時すでに遅し。
知らないうちに恋を失っていた。
舞はがっかりした。チャンスを逃したのだという事実と、そんな事実があったということまで突きとめてしまった自分自身に。がっかりはしたのだけれど、そのがっかりはすぐに回復した。それだけ、今の気分は素晴らしかった。
明日からは、新たな目で、周囲をよくよくと見よう。カレシ探しのためというわけではない、もちろん――それも含めたっていいのだろうけれど。自分の周囲は、自分が思っていたほど明るいわけではなくて、ところどころに暗闇がある。その暗闇に、思いもかけないものがある。あるハズである。周囲は、つまり自分の中は、未知で満ちている。そうして、発見されるのを待っている。
ベッドについた舞に、眠りは速やかにやってきた。
久しぶりの安眠だった。