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悪魔に転生してました。  作者: ぐっちょん
悪くない? 支配地編(仮)
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更新遅くなりまして、

すみせんでしたm(__)m

今回は少し短めで申し訳ありません。


更新が遅くなったので、

前回までのあらすじを簡単に。


迷宮主のグウに悪魔くずれを依頼されたクローに、凶魔(悪魔くずれ)討伐に迷宮に乗り込んできたセイル率いるクルセイド教団。


だが、見習い聖騎士を連れたセイルたちは、迷宮内の転移トラップにかかりバラバラになってしまった。


何だかんだで、色々あったけど、今は聖騎士の一人。ソートが大ピンチ。


一方のクローは、悪魔くずれに襲われていた見習い女聖騎士を何だかんだで、契約してしまったが、その後は悪魔くずれを順調に処理していた。


そして、ようやく邪魔の存在を確認したクローだったが、逃げられてしまった。トホホのクロー。


こんな感じです。








『くそ、くそ、くそ……何だよ。あの悪魔は……なんであんなところに……しかも俺様の正体に気づいた。なぜだ。なぜ分かった……』


 自我を失った下級悪魔くずれに憑依した邪魔のカスボーンは動かしていたその足を止めた。


『回収した黒水晶もあるんだ……この場さえ逃げきれば、もう一度やり直せると思ったのに……もう、いっそのこと全て俺様の力に……』


 そう言って悪魔くずれがかぶりを振った。


『いや……俺様の力が溢れて奴らに気づかれたら怖……じゃなくて、警戒され集団で向かってこられたら面倒だ……ぁん?』


 そこで、ふと落とし穴の中に、腹部あたりを大きなトゲで貫かれ絶命しているハンターを見つけた。


 間抜けにも悪魔から逃げる時に足でも踏み外したのだろうが、そんなことカスボーンには関係ない。

 カスボーンが、美味しそうな血肉だと意識した時には、憑依している悪魔くずれから涎が滴れていた。


『くくくっ。ヤブキリじゃないが、うまそうだな……』


 気づけば悪魔くずれを操り、串刺しになったハンターがいる落とし穴の中に飛び降りていた。


 飛び降りた拍子に悪魔くずれの両脚は鋭いトゲで貫かれいるが、憑依して首根っこに捕まるカスボーン自身には痛覚がなく、何ら問題はなかった。


『しかし、あの強い人族もこいつみたいに簡単にくたばっちまえば、俺様がこんな苦労を……ん? 人族……』


 ここでカスボーンははたと気づく。この人族に憑依して逃げ場のない、この迷宮から抜け出せばいいのでは? と……


『さすが俺様……』


 にやりと悪魔くずれの口元が弧を描く。


『よっと……』


 カスボーンの憑依した悪魔くずれは下級とはいえ、力は人族の比ではない。

 ガタイのいいハンターの身体を簡単に引き抜くと、軽く肩へと担ぎ上げ、一気に迷宮の通路上まで跳躍して戻った。


『ふぅ……この下級悪魔は案外操り易かったんだがな……』


 カスボーンは、面倒くさそうにハンターの身体を地面の上にどさっと放り投げると――


『……邪魔法、憑依』


 カスボーン唯一の魔法、邪魔法を唱えた。


 悪魔くずれの身体が黒く光った途端にガクリと崩れ落ちると、今度は倒れていた男ハンターの身体がムクリと起き上がり、ハンターの首根っこに小さな骨がしがみついた。


「かぁー、弱い。何てひ弱な身体なんだ。やはり人族なんて憑依するもんじゃねぇな」


 そう言いつつも、傍に落ちていたハンターの手荷物から取り出した布切れを、貫かれてグロテスクな腹部に巻きつけた。


「これなら、そう簡単に、俺様だって気づかれないはずだ」


 だが、迷宮の出入口に向かうカスボーンに予想外のできごとが起きた。


「あなた! ハンターの方ですね?」


「はあ……」


「私は、クルセイド教団でフロント教区を任されたセイルと申します……」


 ――――

 ――


 入り口の方に駆け出すラーズを横目にホッとしたのも束の間、ソートが意識を凶魔へと向けた時には、瞬く間に距離を詰めてきた凶魔の鋭く尖った鉤爪がすぐ目の前に迫っていた。


『グケケッ』


「なっ!」


 咄嗟に避けられないと判断しソートは、せめて致命傷を避けようと、迫る鉤爪に合わせるように聖剣突き出したはいいものの、握りの甘いソートの聖剣など、あっさりと弾かれ左肩から脇腹にかけて熱いものが走った。


「ぐあぁぁっ」


 だが、さすが悪魔と死闘を繰り広げてきたAランクの聖騎士だけあって、素早く動くことができないなか、身体を咄嗟に捻り転げるように倒れこむことで即死は免れたが、それでも負った傷は深く、砕けた聖騎士の鎧の隙間からおびただしい量の赤い液体を周囲に散らした。


「がぁっ……はぁ、はぁ(こ、ここまでか……)」


 状況は最悪だった。運良く倒れて避けた形になり即死は免れたものの、ソートにはもう、即座に立ち上がり構えを取るどころか、指一本たりとも動かす力が残っていなかった。


『ニグフフ……』


 二本の鉤爪に付着した赤い液体をベロベロと貪り舐めては、やっとありつける肉を目の前に、興奮した凶魔の口元が歪む。


『グケッ、グケケッ……』


 鼻息が荒く、歓喜に酔いしれる凶魔はガクガク、カタカタッと全身を震わせ、壊れたロボットのような異様な動きで倒れているソートの目の前まで足を運ぶと、一度だけ、真っ赤で細長い舌が飛び出し口元を舐めた。


『ゲハハッ、ニグッ……ダァ…』


「はぁ、はぁ……(みんなあとは頼む……)」


 容赦なく突き出される四本の鉤爪に、為すすべなどないソートが死を覚悟したその瞬間――


「ソートさんっ!」


 聖力を込め、大きく広げた聖盾に前に突撃してきたアクスがソートと凶魔との間に割って入り、激しくぶつかりその動きを受け止めると――


「くらえぇっ、聖剣術その弐、聖魔双断!」


 アクスの後を追従してきたガラルドが凶魔に向かって、光り輝く二本の聖剣をクロスに振り下ろした。

 これは、聖剣を聖力の力によって薄く鋭い聖刃と変貌させるもので、悪魔両断に特化した聖技だった。


『グゲッ……!?』


「ぐうっ! くそ硬てぇ……んだよっ!」


 硬い外骨格に覆われていた凶魔の身体を切断するまではできなかったが、それでもガラルドには外骨格を突き抜け内側へと到達した感触に笑みを浮かべた。


「はぁ、はぁ。けっ、俺をナメるなよ、くそ凶魔!」


「大丈夫ですか!」


 入れ替わるようにガラルドが前面に出てくれたお陰で、アクスはすぐにソートへと駆け寄ることができた。


「いま回復魔法をします」


 アクスがソートに回復魔法を施す。時間が足りないため、完全にとはいかないが、それでも出血が止まり危機的状況は乗り越えた。


「……あ、アクス……それに、ガラルド……いったいどこから……」


「どこからって、あそこの扉から……あれ、消えた?」


 アクスが指した先はソートたちが入ってきた入口とは反対の位置だったが、そこは一方通行の扉だったらしく、安全部屋の中からでは、その扉の存在を確認することができなかった。


「ぐぅっ、お、おい。アクス。何をやってる、早くこっちを手伝え!」


 二本の聖剣で辛うじて凶魔からの鉤爪を捌くガラルドには余裕がなかった。


 外骨格を突き破り手応えを感じたガラルドだったが、それもすぐに再生してしまい、いまは四本の腕から繰り出される鋭い鉤爪を弾くだけで精一杯だった。


「(くそおぉ、は、早すぎて捌ききれねぇ)」


「ガラルドさん、あと少し待ってください」


「ぐぅっ!」


 ――――

 ――


『ん。クローやった。もう悪魔くずれいない』


 パキッ!


 俺が悪魔くずれの黒水晶を踏み砕いていると、グウからそんな念話が聞こえてきた。心なしかその念話は弾んでいる。


 ――『はあ? ちょっと待てグウ。邪魔は? 悪魔くずれにひっついていたと思うが、俺は奴を倒していないぞ?』


『グウ分かんない……』


 ――そんなはずはない。


 そう思い、俺は迷宮内の気配を探ってみるが、俺たち以外の気配をまったく感じない。

 先ほどまで感じていた聖騎士たちの気配もいつの間にか、感じなくなっていた。


 ――迷宮の外に、逃した……のか?


 背中に嫌な汗が流れた。


 ――こ、これって……やばくないか……


 悪魔神からは、邪魔も必ず処理するよう伝えられていた。

 それはつまり、命令されたも同然のことなのではないかと気づいた俺は、だんだんと気分が悪くなってきた。


 俺は後目にしょんぼりと肩を落としている見習いの女聖騎士を見た。


 ――聖騎士の隊長たちの気配もない。とりあえず迷宮の外に連れて行けばいいか……安全だろうし……


 幸い奴の気配は覚えている。そう思いとりあえず、迷宮の外を目指し、全力で気配を探ってみることに決めた。


 ――『グウ。俺はこのまま一旦迷宮の外に出て『あ、安全部屋……』


 俺の念話を遮り、いま思い出したかのように、グウから気の抜けたような念話が届いた。


 ――『安全部屋?』


『う。安全部屋。人族のプライバシーを守る部屋。迷宮規定に大事ってあった。グウ、ちゃんと従ってる。エライ』


 ――『そ、そうだな。グウはエライな……ところでその部屋は何が違う?』


『人族は、安全部屋がないと来なくなる。安全部屋意外に重要、だから十部屋ある』


 ――『あ、いや、そうじゃなくて。その部屋にいると気配はまったく探れないのか?』


『人族のプライバシー見る。可視モード切り替えるのに不純物ポイントいる。だからいまは無理』


 ――『あー、もう。俺が不純物を出してやるから、その十部屋を見てくれないか?』


『おお……』


 急に張り切り始めたグウに、言われるがまま不純物を出してやった俺だったが――


『不純物、いっぱい』


 一つ、大きな不純物を出すごとに感嘆のため息をつくグウがあまりにもおかしくてつい出し過ぎてしまったのは言うまでもない。


最後まで読んでいただきありがとうございます^ ^


私事で間が空いてしまったので、リハビリを兼ねて少し短めになってしまいました。

すみませんでしたm(__)m

次回は早めに更新したいです。

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