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悪魔に転生してました。  作者: ぐっちょん
悪くない? 支配地編(仮)
91/114

閑話〜妻たちとの日常セリス2〜

遅くなってました。


興味のない方はお手数ですが

スルーしてください。

すみません。


84話に割り込み投稿したつもりが失敗しましたΣ(゜д゜lll)


「出たな悪の組織ウェル団のコゲニック! この私が成敗してくれる!」


 にゃんこバスターに変身したセリスが声高らかに叫んで……ポーズをとりたいらしい。


 そのポーズはブレイブレッドの名乗りを真似たようで男性ヒーローだけあってその動きは激しいものなのだが――


 ――……よく覚えたな……


 ブンッ! 

 たゆん、たゆん……


 ブンッブンッ!! 

 ぶるん、るんるんっ!


 ビシッ!!  

 たゆーん、ゆんゆんゆん……!


 キレッキレの動きに逆らうかのように暴れまわるセリスのおっぱい。


 本人はカッコいいと思ってやっているのだろうけど……


 ――ふむ。悪くない……どころじゃない。最高だな。


 思わずにやにやと笑みが溢れそうになるけど、口元をぐっと引き締めて我慢。


 それでも笑みが溢れそうになってしまうので、両腕を組んで見えないところで身体をつねってなんとか誤魔化している。


 ――いててっ……捻り過ぎたか。


 でもセリスは、これを真剣にやっているからまた可愛いんだ。


「どうだ驚いたかコゲニック。私がバスターだっ!」


 ――おっと、また笑みが……気をつけねば。


 俺のにやにやが気に障ったりして、この名乗りポーズをやめられても、それはそれで残念かなと思うんだよ……ほら、見てる分にいいんだよ?


 ちなみにセリスが声高らかに指差した相手、コゲニックとは悪の組織ウェル団から、よくワラワラと大人数で襲ってくるザコ子分のことで、ひょろっと細っそり痩せこけ、もやしのような牛人(ミノタウロス)を、全身真っ黒くしたようなやられキャラ。フモー、フモーとしか喋れない。


 そのコゲニックは、セリスからの合図があるまで大人しく待機している。


 ようやく満足したセリスがバスタードソードをコゲニックに向けて構えた。


「さあ、こい!!」


 フモーフモーッ!


 待ってましたとばかりに上げた雄叫びは気の抜けるような弱々しいものだったが、五体のコゲニックは慌てた様子とでも言うのか、わたわたしながらセリスを取り囲んだ。


 フモーッ、フモーッ!!


「ふふ、それで勝った気か。行くぞコゲニック!はあっ!」


 なぜか言葉が通じ合っているセリスがいとも簡単に蹴散らしていく。


「たあっ!」

 フモーッ!


「はあっ!」

 フモーッ!


「てやぁっ!」

 フモーッ!!


 バスタードソードを構えているのに、なぜか蹴りや片手パンチで応戦しているのはなんでだろうと思うが、そのたびに暴れるおっぱいと、くっきりはっきり見えているセリスの身体のラインがたまらない。


 ――ふむ……我が妻ながら惚れ惚れする……


 あまりにも色っぽく見えて俺自身がウェル団の大首領。

 ギュウ=ブリット大首領、略して牛ドンになって押し倒したい衝動が襲ってくる。


 まあ、セリスは俺の妻なのでその気になれば、いつ押し倒してもセリスは喜んで受け止めてくれるんだけど……楽しそうだからもう少し見ていよう……


「うむ。ウォーミングアップもそろそろ終わりにして、次は斬り込み隊長と言われていたサラミ=ソウクルとでも戦ってみるか……」


 セリスが倒れて動かなくなったコゲニックを満足気に眺めながらそう呟いている。


 ――――

 ――


「セリス、ちょっと来てくれ。面白いものを用意してみたんだ」


「主殿どうしたのだ」


 戸惑うセリスの手を引き屋敷から出てきた俺は、敷地内の一角に造った施設を指差した。


「あれだ、あれ。きっとセリスも気に入ると思うぞ」


「……?」


 セリスは疑問符を頭に浮かべると、俺に振り返り首を傾けた。


「これはまた、大きな建物のようですが……」


「なんだと思う?」


 毎日妻たちに癒されている俺は、たまには妻たちにも癒してあげたいと思っている。


 だからいつも「欲しいものはないか」と尋ねてはみるんだが、これがなかなか俺の求める返事が返ってこない。


 決まって妻たちは「満足している」「もう貰っている」「クロー(主殿)がいれば……」とこんな感じだ。


 そこで俺は考えた。もうサプライズでもいいんじゃないかと……ダメだった次を考えればいいんじゃないかと……


 だってここは俺の使用空間だから、ちょっとくらい建物を増やしたところで人族から目をつけられる心配や面倒事なんて起こりえない。


 そこで俺は、セリスだったら多分喜んでくれるんじゃないだろうか、と思うものの一つ、トレーニング施設なるものを出してみたわけだ。


 これはもちろんただのトレーニング施設ではない。

 設置した五体の形状記憶型液体人形コピーゴーレム、略してコーレムくん。


 こいつは登録したものに姿を変え、仮想対戦相手となって戦ってくれる。優秀なゴーレムくん。


 安全装置が付いているので致命傷になりそうな攻撃の場合は当たる寸前で液体に戻るように設定している。


 だから俺ここのコーレムくんたちにセリスの大好きなアースレンジャー。その悪の組織ウェル団に登場する全ての悪役キャラを登録してやったのだ。


「む。主殿、あの銀色の大きな人形はゴーレムですか!?」


「そうだ。まあ、まずはこっちに来てくれ」


 俺はトレーニング施設の入口付近にある設定ルームにセリスを案内した。

 ガラス張りなので、ここからでもコーレムくんの姿が見えている。


「これだ、これ」


 そのルームには大きな画面が埋め込んであり、その画面にはタッチパネルで操作できるようにしてある設定画面をセリスに見せてやった。


 これはニワの迷宮にある大画面のタッチパネルをそのままイメージしてみたらできてしまった。


「こ、これは!」


 その大画面には――


 設定画面からキャラを選んでタッチしてください、と表示され、その文字の下にキャラ名がずらりと表示されている。


【悪の組織ウェル団】

 ギュウ=ブリット大首領

 ステキ=ヤケテル中首領

 カルビ=オイスイ小首領

 ロース=テイバン

 タン=イケル

 ハラミ=ソウクル

 ツラミ=ソッチカ

 ・

 ・

 ・

 コゲニック


「こ、これは悪の組織ウェル団……」


「そうさ。必要ならまだまだ登録できるが、今はその中からセリスが選択すれば、中央の部屋に見えているコーレムたちの姿が、決定した姿に変わりそいつと対決できる。

 もちろん強さも設定できるし、強くし過ぎたとしても安全装置を備えつけてあるから安全だ」


「な、な、なんと……こんなことが……」


 セリスが一生懸命、画面とゴーレムとを見比べている。


「ああ、使ってくる必殺技や仕草も登録しているから、なかなか楽しめるとは思うんだが……」


 ――まあ、アースレンジャーのDVDをただ読み込ませただけなんだけど……


「なんと! 使用してくる技に仕草までも……」


「ふふふ、ものは試しだ。ほら一番下にあるザコのパネル、ほいっ」


 俺が試しにザコ子分であるコゲニックのパネルにタッチすると、中央トレーニングルームの奥に一体ずつ離れて立っていた五体のゴーレムが一度ドロっと溶け、シュッと一瞬にして固まった。


「こ、コゲニック!」


「そうだ。あ、そうそう。このパネルを押すときに魔力を消費するからそこだけ気をつけろよ」


「魔力?」


「そうさ、アイツら魔力で動くんだ。まあ、セリスの魔力量なら……」


 まじまじとセリスの身体を眺める。少し照れくさそうにするセリスがまた可愛い。


 ――我が妻ながら、けしからん……じゃなくて惚れ惚れするな……

 あれ、また魔力が増えてる……まあ、原因はわかっているけど……いいことだな。


「……十回くらいは大丈夫そうだな」


「な、なんと私の魔力量で十回も……ということは、あのゴーレム五十体分はあるということなのか……」


 俺はセリスの大げさにもみえる一挙一動を見て楽しんでいた。


「ああ、それであってる。なるべく魔力消費を小さくしてみたんだが、さすがに0にはできなかったな……すまん」


「と、とんでもないです。こんな優れたゴーレムを私だけの魔力で、五十体も……クルセイド教団で開発されているヴァルキリー、一体動かすのでさえ、その魔力消費量は司祭クラスと聖騎士数人は必要だったはずなのに……」


 セリスは少し興奮した様子で首を振っている。


「……まあ、深いことは考えずに、どうだセリス、気晴らしにアイツの相手してみるか?」


 俺が笑みを浮かべて指差してみると――


「やる! やるぞ主殿……ふふ、ふふふ、ついに私もバスターとして……」


 セリスが嬉しそうに快諾してくれたまではいいが、後半はぶつぶつ何やら変なことを呟いていて、俺は少し心配になった。


 ――だ、大丈夫だよな……?


「ま、まあ。あの中央に立って準備ができたらコーレムに合図を送れば襲ってくるから、遠慮することなくやってみてくれ。

 形状記憶型液体人形ゴーレムだから何をやっても壊れない」


「ふふふ、それは楽しみです」


 ――――

 ――


「主殿、これはすごいです……それで……」


 セリスが興奮しているのかチラチラ上目遣いで物言いたげにしている。


「いいぞ。斬り込み隊長と言われていたサラミ=ソウクルと戦ってみたいんだろ?」


 セリスがなぜ分かったのか、という表情とでも言うのかな。驚きその目を見開いている。


 ――いや、さっき呟いていたよね。


 結局、セリスは十回目に魔力切れを起こして倒れた。よほど嬉しかったらしく数えることを失念していたようだ。


 俺は倒れたセリスにクリーン魔法をかけてやると……


 あ、これは別にセリスが汚いとかじゃなくて汗をかいていたから。

 ほら、そのままにして風邪を引いたら俺が嫌だったからであって、セリスは甘くていい香りをしてました。

 基本的に俺の妻たちは甘くていい香りしかしないんだ。


 その後、抱っこして部屋のベッドへと運んで寝かせてやった。


――――

――


「ん? もう俺の部屋にいるのか?」


 トレーニングルームから戻り執務室で仕事をしていると妻たちの声が俺の部屋から聞こえてきた。


「ねぇねぇ、セリスさん今日はどうでしたか?」


「お、お姫様抱っこされたのだ」


「「ええ!」」


「いいないいな……」


「セリスさん、ど、どうやったんですか?」


「聞きたい、聞きたい」


「う、うむ。不覚にも魔力切れで倒れてしまってな……」


「ええ、それは……セリスさん。身体の方は大丈夫なのですか?」


「うん。魔力切れはキツイもの、ねエリザ」


「ええ」


「うむ。問題ない。聖騎士時代はしょっちゅう倒れていたのでな、すぐに気が付いたのだが……」


「クローがすぐ傍で抱っこしてくれていたのね」


「そ、そうなる」


「わぁ、いいな」


 今日も俺の部屋では妻たちの会話が盛り上がっている。

最後まで読んでいただきありがとうございます^ ^

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