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ブックマーク、評価ありがとうございます。
仕事が忙しくて更新が遅くなりました。
やっと落ち着きましたが、
今回は短めですみませんm(_ _)m
「ニワの迷友か……では尚更だな。何度も言うが、俺は悪魔だ。悪魔の俺に何か依頼するとなれば対価が必要になる」
「対価のぅ……うむ……それは、今のワシとお主のような関係でも良いのか?」
少し考える素振りを見せたニワだったがすぐに、そう切り返してきた。
「そうだな……俺としてはその方が有難い」
そうなのだ。せっかく今は、好き勝手に過ごせているのだが、シュラルの奴があんなこと言うから、みんなの格が気になってしょうがないんだ。
――早めにみんなの格を上げて……あれを導入すれば、気がねなく海に行けるんだよな……
ちなみにあれとは、人族の〈願い声〉に至る、昂ぶった感情を一時的に抑えてくれる代行悪魔を派遣してもらう悪魔代行システムのこと。
その内容も、3日から10日ほど先延ばしにするだけという、一時しのぎにしかならないのだが……
でもな、ほら、あれだ。この先ずっと〈願い声〉の対応に追われていたら完全な休みがないだろ? そんなの辛すぎると思わないか?
――ん? あれ? ひょっとしてブラック?
今さらその事実に気づいた俺は、思わず拳を握りしめた。
――ぐぬぬ……
ただ、この悪魔代行システムを導入するには、支配権を行使するくらいの感情値を消費する。結構割高。
そのため、支配地持ち悪魔に不人気のシステムらしいが、導入さえしてしまえば、あとは都度精算のお手頃感情値で利用できる。初期投資さえクリアできるなら是非とも導入するべきシステムなのだ。
俺は完全な休みがほしい。そしてみんなで海に行く。
「うむ。そうか、そうじゃのう。ちょっと待っておれ……」
「? ああ」
そう言うが早いか、何もないニワの目の前に、半透明のモニターがいきなり現れた。
――おぉ。
その不思議なモニターに興味を惹かれ、覗き込んでみたが意味不明な記号が並んでいるだけで何が書いてあるのかまったく理解できなかった。
「変な記号だな、これはなんて書いてあるんだ?」
変な記号を指で差しつつ尋ね見たニワの顔はドヤ顔だった。ドヤ顔でにまにま口元を緩めている。
「なんじゃクロー? お主には読めぬか? かーっかっかっ。そうか、そうかお主は読めぬのか」
満面の笑みを浮かべたニワは、きな粉まみれの手のままモニターに触れると手早く操作を始めた。自慢したいだけで教える気はないらしい。
ものの数秒で、その操作を終えたニワが、そのままモニターを眺めていると、すぐにピコンと何かを知らせる効果音が聞こえてきた。
「うむ」
ニワが再びモニターに触れ何やら確認している。
「……喜ぶがよい。グウはワシと同じように、感情値とやらを提供する程度なら構わないそうじゃぞ」
――ほう、僥倖だな……
「ニワありがとな」
「うむ」
すまし顔で軽く返事をするニワだが、なぜか嬉しそうにしている。ニワのツインテールがピョコピョコ動き耳まで真っ赤になった。
「……それで俺はどうすればいいんだ?」
「……そうじゃの。ワシがお主を迷流便の迷宮魔法で送ってやるのじゃ。帰りはゲートとやらを使えば問題ないじゃろ?」
「なるほどね……」
――上手くことが運べばだろうが、まあ、何か問題があっても転移魔法で戻って来れるし、大丈夫だろう。
「……分かった。それで……その迷宮魔法はいつでも使用可能なのか?」
「う、うむ……そ、それがじゃのぅ……迷宮魔法の使用には……迷宮ポイントがじゃのぅ……その、のぅ……」
急に自信をなくしたように俯いたニワが、何やら呟いているが、その声が小さく聞き取りづらい。
「ん? よく聞こえないが……ポイント? 迷宮ポイントが足りないのか?」
「ギクッ……」
身体をビクつかせたニワがさらに身体を小さくした。どうやら正解らしい。
ニワに何かあれば感情値が入らなくなって俺が困ると思い、結構な量の不純物を定期的に送ってやっていたのだが……
――いったい何に使ったのやら……
「おかしいな。ニワには結構な量の不純物を送ってやっていたと思うが?」
俺がそう尋ねれば、分かりやすく身体をビクつかせたニワがあたふたしながら、口を開いたり閉じたりと繰り返している。
「……そ、それは……そうなのじゃが……」
ニワがこちらを気にしてちらちら見ている。その様子は俺の顔色を窺っているようにも見える。はっきり言って子どもだ、悪さした子どものようにしょんぼりとしている。
――ぷっ!
「……のぅ……むむむ……」
ニワのその反応が面白く、しばらく何も言わずに眺めていると、ニワは観念したのか、渋々といった感じで重い口を開いた。
「……実はじゃのぅ……」
なんと迷宮主は気に入った物を主端末に登録吸収させると迷宮ポイントを消費して登録した物を再現することができるそうだ。
「ふむ。登録と再現ね……それで……」
その際、ポイントを消費するそうなのだが、いくら消費するのかまでは頑なに答えようとしなかった。
でもまあ、ニワの「ひ、秘密じゃ」と言いながらも焦った表情を見ればかなりのポイントを消費するだろうことは容易に想像できた。
――どうせ、俺の出したお菓子を、後先考えず登録しまくり、再現して食べていたのだろう。はぁ、これ以上問い詰めても何もならないか……
「分かった、分かった。ハの迷宮に不純物を出しといてやるから準備ができたら教えてくれ」
さっさと不純物を入れてしまおう。
「おお!! そうか、そうか、すまぬのじゃ」
先ほどまで身を小さくしていた姿はどこへいったのやら、機嫌になったニワは、素直に嬉しそうな表情を浮かべていた。
「いいかニワ。間違っても今度のポイントは和菓子に換えたらダメだぞ」
「心配するでない。ちゃんと迷宮魔法が使用できる分くらいは取って置くのじゃ」
――こいつ……否定しなかった。
やはり今までのポイントはお菓子になったようだ。
「まあいい。たしか不純物をポイントへと変換するにはしばらく時間がかかるんだったよな? 準備ができたら教えてくれ」
「分かったのじゃ!」
安心したのか、元気よく返事するニワの顔はすでにテーブルに置いてあるわらび餅に向けられていた。
「終わったカナ? それじゃ次はこっちを食べるカナよ」
「おお。そうじゃのぅ……」
マゼルカナが取り分けるのを待ち、わらび餅を嬉しそうに眺めているニワは無邪気な子どもにしか見えない。
「ふふふ、ニワちゃん、考えてることが全部顔に出てるから可愛いですね」
「うんうん」
隣に控えていたエリザが、そんなニワを見て笑いだすと、その隣にいたマリーも釣られて笑みを浮かべていた。
要らぬ仕事が増えた俺は、妻たちを先に外へ行かせると、ゲートのある部屋へと向かった。
――――
――
「よし! ……これくらいでいいだろう」
迷宮主の部屋、半分ほど埋め尽くす量の不純物を適当に出した俺は、さっさと妻たちが待つ庭の方へと向かった。
今日は妻たちの魔法の確認をするが、模擬戦もする。
「ふふふ……」
妻たちとたまにする模擬戦は楽しい。まだ数えるほどしか手合わせしていないが……
――もっと早くから相手をしてやっても良かったな。
今や模擬戦は俺にとって、ご褒美の時間へと変わっている。
きっかけは些細なことで、俺との模擬戦に力み過ぎ妻たちの身体をほぐしてやろうとおっぱいを触ったのが始まりだった……
今では妻たちの攻撃を避けつつ、隙がある時や、力の入り過ぎている妻たちの身体を触る。肩や手足、あとは……おっぱい? たまに頭やおなかの肉、お尻、太ももなど……
――ふむ。
妻たちも触られるのは自分に隙があるからと自覚しているから、俺が触るたびに顔を赤くしている。恥ずかしいのだろうな……
さすがに無理をさせても危ないから息が上がったら交代させているのだが、残念ながらいつも三巡目するころには、妻たちは息を弾ませ立ち上がることすらできなくなる……
――少しハード過ぎるのかね……おっ!
屋敷から外に出ると、魔法を放っている妻たちがいたので、猛ダッシュで側まで駆け寄った。
「「「クロー!!」」」
「待たせてすまないな。さっそく始めようか」
――――
――
「はぁ、はぁ、も、もう……立てません……」
「わ、わたしも……はぁ、はぁ……」
「あ、主殿、はぁ、はぁ、私は……もう一戦……」
エリザと、マリーは欠かさず自主訓練を頑張っていたようで、魔法の球体(魔球)をスムーズに発動できるようになった他に、俺がやった小剣タイプと短剣タイプの魔法剣までも発動できるようになっていた。
魔力の扱いをまったく知らなかった当初からすれば、なかなかの進歩だろう。
セリスに至っては魔球を四つ発動できるようになっていた。
さすがセリスだと思ったが、セリスはそれだけで満足していないらしく、その魔球から何やら他の属性魔法を発動できないかと試みているようだ。
だが――
その妻たちも今は、顔を紅潮させ大の字で倒れている。
――張り切りすぎたようだ。
すぐに終わってしまった模擬戦に後悔しつつ、息を弾ませている倒れている妻たちを眺めた。
――うむ。
その姿が妙に色っぽく、なんとも言えない高揚感を覚える。
「マリー下着が見えてるぞ」
「クロー……はぁ、はぁ……お願い……」
「ああ、いいぞ(さわさわ)……よし」
「……ありがとう」
マリーは色っぽい下着が見えていたが、それを戻す余力も残ってないようで、俺が代わりにスカートを戻してやった。ついでに太ももを触ったのはご愛嬌だ。
「エリザと、セリスは……」
エリザはミニドレスの胸元から溢れ出て、セリスは金属ブラがずれて、二人ともきれいな生ぱいが顔を出している。
「クロー……はぁ、はぁ、今は、動けないの……」
「主殿……すまぬ……」
「うむ。任せろ」
にやけそうになる顔を必死に抑え、エリザへと手を伸ばす。
(ぷにぷに、むにゅむにゅ)
――うむ。
「……ぁん……」
「エリザはこれでよし」
ちょっと触り過ぎが、エリザの溢れ出ていた生ぱいをミニドレスに押し込んだ。
「クロー、ありがとうございます」
「気にするな。次はセリスな」
(ぷにぷに、むにゅむにゅ)
――うむ。
「んん……」
「セリスも、これでよし」
セリスも顔を出していた生ぱいを金属ブラに戻してやった。
「主殿、すまない」
「気にするな……ケガはないようだから、しばらく休んでいるといい……ん?」
妻たちの近くに腰を下ろし休んでいると――
「クローさま、戻ったよ〜」
「クロー様、戻ったぜ」
願い声の対応を済ませたナナとライコが人界から戻ってきた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
閑話〜マリーとセリスが間に合いませんでしたm(_ _)m




