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悪魔に転生してました。  作者: ぐっちょん
なんてこったの支配地編
82/114

76

ブックマーク、評価、誤字脱字報告ありがとうございます。


更新遅くなりました

すみません。

 悪魔神殿は街から離れ、何もない平野に俺の屋敷より大きな建物がポツンとあった。


 ただ周りには数千体ほどの獣を模した悪魔像が外壁の役目を果たしているかのように、ビッシリと設置している。


 ――ん? こいつら……


 悪魔獣像だと思ったものは本物の悪魔獣だった。


 その鉱物のような悪魔獣が俺とセラに視線だけを向けている。


 その悪魔獣は大型(10t)ダンプ? それくらいは優に超えている大型の悪魔獣であり、マントヒヒのような顔をしていた。


 それにサソリのような鋭いハリがあるシッポに、剣歯虎のように大きな上顎犬歯がサーベル状に飛び出ている。


 ――体毛まで鉱物っぽいな……


 俺は当然に、その銅像のように動かない悪魔獣を無視して、セラに案内された悪魔神殿の入口らしき場所に降り立った。


 ――どこに入口があるんだ?


 入口らしき場所というのも、パッと見た感じでは、この悪魔神殿の入口らしきものが見当たらなかったからだ。


「クロー様、こちらです」


「ああ」


 そう言ったセラは、悪魔神殿の周囲に並び立つ、二体の悪魔像に近づき頭を少し下げた。


 ――こいつら悪魔か……気配がまったくないな。


 その悪魔神殿に並び立つ悪魔たちは、全て同じ見た目で、黒を基調とし赤い紋様が入ったプレートアーマー姿の悪魔だった。


 ――人族の顔のよう……ん?


 図体は俺の二倍ほどあるが、その鎧に描かれた真っ赤な瞳が一斉にこちらを向く。


 ――なるほど……あの不気味な鎧自体が悪魔なのか。


 よく見れば、一体一体の描かれた鎧の紋様が、微妙に違う。気がする。


 ――あいつ、叫んでいる人の顔に見えるな。


 俺がそんなくだらないことを考えている間にも、話をつけてくれたセラの目の前の壁に真っ赤な魔法陣が浮かび上がっていた。


「クロー様。こちらの魔法陣から契約の間に転移します」


「……便利だな」


「いいえ。そうでもありませんよ。目的の部屋以外には、入室できないようになっているだけです」


「……」


 俺が口にしなかったことを、セラがさらりと口にした。少し不安になりセラの方に視線を向けてみると――


「誰でも分かることですからご心配は無用です」まるで俺の心のうちを読んだかのようにそう言って少し目尻を下げた。


「それならいい……」


「はい」


 ――――

 ――


 魔法陣に触れ、転移した部屋は赤黒く質の良い絨毯が敷き詰められた部屋だった。


 中央には透明な鉱物らしい物で造られた四角いテーブルと、それを囲むように同じく透明な鉱物で造られたイスが三つ設置されていた。


 ほかに、これといって珍しいものはなく、光を放つ無数の魔法球がぷかぷかと浮かんでいるだけだった。


 それでも、用心深く探りを入れたところで、壁に意味の分からない紋様のようなものが彫られていることが分かったくらいで、本当に何もない広い部屋だったが、他にも要らない気配を感じ取った。


 ――……ほぅ。


 感じ取った気配に意識を向ければ、中央に設置しているイスの一つに何の種族か分からない、長く真っ赤な髪をした女性型の悪魔が足を組んで座っていた。


 ――……ん?


 その後ろにも、なんとなく見覚えのあるイケメン悪魔執事が背筋をピンと伸ばし待機している。


 ――奴は……たしかセバス、だったよな? ……では、前に澄まし顔で座るあの女がシュラ……ぶふっ!? は、はだか?


 シュラルは、妖艶な雰囲気を身にまとった美女だった。が、なぜか全裸でイスに座っている。


 しかも、気づいた俺の反応を試しているのか、ナナや妻たちにも勝るとも劣らないご立派なおっぱいをわざと揺らしているように見えるが、肝心なところは図ったように長くて真っ赤な髪が覆っている。


 ――ふふふ、いいだろう。


 俺は中央のテーブルに向かうついでに、遠慮なく中央に座るシュラルのおっぱいを眺めさせてもらう。


 ――悪くない。


 悪魔界も捨てたもんじゃないなと思っていると、後ろからセラが小さな声で語りかけてきた。


「さすがはクロー様。もうお気づきですね」


「ああ」


「あのお方が特級悪魔のシュラル様です」


 ――だろうな……しかし、セラはあの姿を見ても何も感じないんだな。


「……そうか」


 ――うーむ。癒しを突き抜けてくるこの感覚はナナ以上だな……気をつけねば。


 何をとは言わないが、俺は自然と伸びそうになる右手を左手で押さえつけた。


「クックックッ。面白い奴だ」


 心地よい凛とした声が部屋の中に響いたかと思うと、俺の全身を舐め回すような遠慮のない視線を感じた。


 ――む……


「お前がクローだな」


 遠慮のない視線に不愉快になりそうになるが、俺もシュラルのおっぱいを眺めていたので何も言えないが……余計なことは言うべきではないと考えていた俺は――


「ああ、俺がクロー……です」


 返事だけをして軽く頭を下げた。が、どうも勝手が違うらしい。


「クロー様は――」


 セラが続けて俺の支配地のことを軽く補足している。そんなこと必要あるのか? とも思ったが、セラの後に、すかさずセバスがシュラルは特級悪魔で南人界を管理する悪魔だと誇らしげに伝えてくる。


 悪魔界でも初対面では自己紹介をするべきだったのだろうか、と判断に迷ってしまったが、俺の学んだ(睡眠学習)記憶の中にそんな常識はない。


 ――律儀に挨拶する珍しいタイプの悪魔なのか? うーん。特級悪魔は違うのかもな。


 そう考えれば納得できるような、気がしないでもないが、支配地を持ったばかりの下級悪魔である俺に、近寄ってきたところで、何のメリットもないだろうに――


 ――俺ではなく、カマンティスに用があるのだろう。


 そう、都合よく考えをまとめ終えた俺は、セラに促されカマンティスと対面するイスに腰掛け、黙って待つことにしたが――


「迷宮を支配下に置いたそうだな」


 甘かったらしい。シュラルが興味深そうにこちらを見ている。


 ――なぜ、それを?


 数日しか経っていない内容に驚きを隠せないが、当然、声をかけられればシュラルの方を向くしかない。


 全裸だから俺の目にはすごく有り難いのだが、漂う空気が張り詰めていくのが分かる。


 ――これは少しでも気を抜くと、奴に呑まれそうだな。


「運が良かっただけ、です」


「そうか……クローは手懐けるのも上手いそうだな」


 迷宮についてもう少し深く問われるかと思っていたが、サラッと流されてしまったが――


 ――手懐ける? いったい誰のことを言ってる? ……ナナのことか?


 思い当たる節がない俺としては戸惑いを隠せない。


 ――……ナナのことではないのか? そうだ、あれだ。


 たしか、ナナは俺の代行を務めてから、馬車で旅をしていた頃のように、また夫婦の営みに紛れ込もうとするようになった。


 まあ、入ってきていたら、本能のまま、仲良くしてしまっていたかもしれないが、俺の部屋の前にはいつの間にか、鉄壁のガードが現れるようになった。


 見習いメイドのニコたち(迷宮での呼び名が案外気に入りニコ、ミコと呼ぶようにした)だ。


 セラの指示だとは思うが、ナナは毎回、ニコたちに阻まれ、人界にポイ捨てされているようだが、人族となんて嫌だ。と目に涙を浮かべながら帰ってくる。


 しかもその時は、みんなが珍しく揃っている時だったが、ナナのそんな涙まじりの声に、強く同調してみんなの視線が一斉に俺に集まったのは記憶に新しい。


 ――……まるで獲物を狙っているような……


 ブルブルッ


「……他の悪魔ではないですか?」


「クックックッ。我の勘違いか……クロー、ちょうどまとめ役が欲しいと思っていたのだが、どうだ? 我の配下になれ」


 笑っていたシュラルから、不意に真剣な眼差しが向けられた。


 ――シュラルの配下……ないな。俺は妻たちと楽しく過ごしたいだけだ。


「……申し訳ないが、遠慮したい」


「気に入らんか……では、我に仇なすつもりはあるか?」


 急に膨らんだ気配にセバスとセラの額からは玉のような汗が浮かび上がり始めた。


「……っ」

「……ぐぅっ」


 悪魔執事は支配地を離れると力が少し落ちてしまう。無理もない。


 その気配は手加減することなく、ぐんぐん強さを増していく。


 ――おいおい……俺は下級悪魔だぞ。


 ここで選択肢を間違うと、とんでもないことになりそうだと感じた俺は、下手な言い訳はせず、正直に話すことにした。


「そんなつもりはない。遠慮したのも今の生活が気に入っているからで他意はない」


 俺の答えがまるで分かっていたかのように、シュラルの気配がぐんぐん小さくなり――


「……ふん。分かっておる冗談だ」


 そう言って、整った顔の口角を僅かに上げた。


「それを聞いて安心した……」


 俺の返答を聞き、足を組み直したシュラルが少し呆れた表情を浮かべた。


「我の悪気をあれだけ受け平気な顔をしていたやつが、面白いことを言うわ」


「……本当のことだ」


 ――仮にも南人界を任されているような相手だ、目をつけられたら気の休まる暇がなくなり、スローライフを目指すどころの話ではなくなるからな。


 シュラルが背もたれに寄りかかり、腕を組みおっぱいを押し上げる。それと同時に張り詰めていた空気が霧散するように晴れていく。


 どうやら峠は越えたらしい。


「クックック、いいだろう今回は諦めてやる。だが、必要な時は手伝え」


 ――……


 峠は一つじゃなかったようだ。


「……内容による」


 だが、今度は先ほどと違いどこか穏やかな雰囲気のままこちらに視線を向けている。


「配下が足りぬと言うのなら我の眷属をやるぞ」


 そう言うとセバスの名を呼び、俺の配下にふさわしい眷属の確認をし始めたので慌てて断りを入れる。


「有り難い申し入れだが遠慮する。俺は今の配下たちで十分満足している」


「可愛げのない奴だ」


「……分相応です」


 ――やっと黒字になったんだ。俺はもっとゆったり構えていたいんだよ。


「ふん。まあいい。ならば、これは我からの忠告だ」


「忠告……」


「クローよ。格を上げろ」


「必要な……」

「必要ないとは言わせぬぞ。よく考えてみろ、お前のためではない。配下のためだ。配下はお主ほど強くない、そうだろう? 分かっているだろうが、配下は主より格を上げることができぬからな」


 ――……そうだ。


 俺はシュラルのもっともな意見に自分の愚かさを悟った。


「忠告感謝する」


「ふん。それと、これくらいは受け取れ」


 そう言ったシュラルは小さな丸い物をこちらに放り投げた。

 その際、豊満なおっぱいが揺れていたが、明らかに加減を間違えているその丸い物体はとんでもないスピードで飛来した。


「うおっ!?」


 お陰で揺れるおっぱいを見損なった。


「これは……使い魔の卵か……」


 普通の卵ならば間違いなく割れていただろうが、この卵は硬いらしく何ともなっていない。


「あと一匹欲しがっていたのだろう?」


 ――なぜ、そんなことまで知っている。


 正直なところ、あとで何を要求してくるか分からないため、この使い魔の卵も受け取りたくないのだが――


「クックック。そんな顔するな、我からの餞別だ。それとナナには認めてやると伝えるがいい」


「認める?」


「クックック、伝えれば分かる」


「伝えるくらいならば。分かった」


 ようやく話が一段落ついたところに――


「ナーバス! なんでアタシがこんなところまで来てやんなきゃいけないの!」


 悪魔執事に不満をぶつけている野太い声が聞こえてきた。


「申し訳ございません。今回から支配地の受渡しは悪魔神殿を利用する決まりとなりましたのです」


「それは、何度も聞いたわ」


 遅れて現れたカマンティスの気配に振り向いた俺は絶句した。


 ――……こ、こいつは!?


 カマンティスは、まるで厚化粧したカマキリのような個性の強い悪魔だった。


 硬そうなワンピースのような緑の甲冑を身に纏っているように見えるが、俺の今の位置からでは、具現化したものなのか、元々なのか判断ができない。


 アゴが細く目がギョロッと見開き、こちらに向かってくる。


 風を切って歩くたびにさらさらのストレートで長い緑髪がなびき独特の雰囲気を撒き散らしている。


 そして特徴的なのが、六本の腕だ。そのうちの二本は太くて長く、残りの二組の腕は邪魔にならないようにだろう、腕組みをしていて動かす気配がない。


「あらん。シュラルちゃん」


 すらっと細長い脚を自慢するような独特の歩き方でこちらに向かっていたカマンティスの表情がシュラルを捉えた途端に不気味な笑みを浮かべ、嬉しそうな猫なで声を上げた。


 ゾクゾクッ


 身の毛もよだつとはこのことを言うのだろう。俺は帰りたい、そう思った瞬間、カマンティスが気になる言葉を発した。


「今日もいい男だわね」


 カマンティスがギョロッとした目を見開き、頬をほのかに染め上げる。


 ――男? ……シュラルは男?


 俺は改めてシュラルのおっぱいを眺める。


 ぷるんとおっぱいを弾ませたシュラルが俺を見て僅かに笑みを浮かべている。


 ――こいつ! どっちだ……


 どう見ても俺には女にしか見えないがカマンティスには男に見えているらしい。


 あのおっぱいも偽物かと疑いの目を向けていると不意に俺に向かって野太い声が聞こえてきた。


「おいコラァ。お前が逃げていたデビルヒューマンだな」


「カマンティス様、なりません」


 その声の方に顔を向ければ、カマンティスが俺のすぐ側で連れていた悪魔執事に取り押さえられている。


 ぎゃーぎゃーと喚き散らすカマンティスの声に、仕掛けられた悪戯の時の、みんなの状況を思い出し、ふつふつと怒りが湧き上がってきた。


「ほぅ。怖くて俺が居ない間に仕掛けてきた腰抜け悪魔がよく吠える」


「テメェ!! 下級悪魔が図に乗ると、どうなるか思い知らせてやろうか?」


 カマンティスの顔や身体が見る見る真っ赤に染まっていく、それに比例してカマンティスの身体から悪気が段々と漏れ始めた。


「ふっ、面白い。大悪戯だっけ? やるならやれよ。何ならこの場でお前のその汚い面、ぶん殴ってやってもいいんだぞ」


「上等ダァ。大悪戯、してやろうじゃねぇか!!」


 俺も段々とその気になり立ち上がったところで――


「カマンティス、お前は何しをしにきた」


 不機嫌になったシュラルのよく通る声が響いてきた。それと同時にシュラルの気配がぐんぐん濃厚になっていく――


「……っ!?」


 カマンティスを始め、セバス、セラバス、ナーバスの額から大粒の汗が浮かび上がった。


「座れ」


 さらにシュラルの感情のない声が室内に響き渡る。


「……すまない」


 怒りに呑まれそうになった自分が少し恥ずかしくなり、俺は大人しくイスに腰掛けてたが、カマンティスは違った。まだ俺の側で微動だにせず、硬直している。


 まあ、それもそのはずで、シュラルの放つ悪気は収まるどころか段々と強くなっていた。


 ――――

 ――


「クロー様。よろしかったのですか?」


 悪魔神殿を出て、隣を歩くセラが少し不服そうな表情を浮かべながら尋ねてきた。


「何のことだ」


「カマンティスから受け取った支配地です」


 カマンティスが用意していた支配地は小さく海に囲まれた小島だった。


 なんでも南の位置にある小島で、暖かい気候ではあるが、よく嵐が吹き荒れるため人族が住みにくい島のようだった。


 そのため人口は少なく支配権を行使するために使用した感情値を回収するだけでも数百年かってしまう。


 下手をすれば人族が居なくなり回収不能の危険すらある小島だ。


 感情値の欲しい悪魔にとっては不要な支配地だった。


「ああ、俺は満足してるぞ」


 カマンティスは俺たちに敗北した後、わざわざ、この小島に支配権を行使し譲渡用として準備したようだ。


 ――ほんと、こんな優良先をよく見つけたものだ。


「明らかにこちらを挑発するために用意した小島を差し出してきたのですよ。人族も数えるほどしか居ないようです」


「クロー様に失礼です」と、セラが珍しく眉を吊り上げ、不満気な表情を浮かべる。


「ふふふ。いいんだよセラ。小島といえば周りは海だ。海だぞ海……

 俺の支配地だからセラやマゼルカナだって一緒に行ける。たまにはみんなでゆっくりしようではないか」


 ――むふふ。みんなの水着を用意せねば。


「それに、あれだけの悪気を浴びせられシュラルに脅されたんだ……残念だが、もう大悪戯は申し込んでこないかもな」


「私は、そんな中、普通にシュラル様と雑談をしていたクロー様に怯えていたと思うのですが……」


 セラ声が小さく聞き取れないと思い隣を見れば、少し後方で立ち止まり何やら考えているようだった。


「セラ! 何そんなところで突っ立っているんだ。早く屋敷に帰るぞ」


「はっ、これは失礼しました」


最後まで読んでいただきありがとうございます^ ^


次から新しい章に入ります。


今回、なかなかしっくりこなくて

何度も書き直しをして

遅くなってしまいましたm(__)m




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