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悪魔に転生してました。  作者: ぐっちょん
なんてこったの支配地編
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68

ブックマーク、評価、誤字脱字報告ありがとうございます。


嬉しいです。


更新が遅くなりすみません。

 トビラを眺めていた俺はハタと気づいた。


 ――このトビラを反対側から破壊すればいいのではないのか……


「ふむ」


 俺は今出たばかりのトビラを軽く小突いてみた。


 ドゴンッ!!


「なんだ、意外と脆いんだな……」


 壁に俺の拳より少し大きい穴が空き、穴の奥にはダンジョン内の空間が見えた。


「次にきた時はここを利用するとよさそうだな……っ!?」


 その言葉を発した瞬間、俺は黒い闇に包まれていた。


『……破壊の意思を感知した。愚かな人間よ……お前に次はない……』


 ――む!


 俺はその闇がどこから現れたのか理解する間もなく浮遊感に包まれた。


 ――転移か!?


 だが、その感覚は一向に収まることがなく、ふわふわと宙を漂っている感覚が抜けない。


 ――もしや、今の声が……ここの主? そう考えれば……次も何か仕掛けてくるか!? それともすでに仕掛けられている?


 別空間に飛ばされたことは間違いないが、次にどのような手段を使ってくるのか予想できないため、感覚を研ぎ澄ませ警戒をしているが、一向にその時は訪れない。


 ――そういえば……


「ニコとミコは無事なのか?」


 俺にまとわりついていたはずの二人がいないし、呼びかけても返事はない。


 ――探るか……


 広範囲の気配を探ってみるが、俺以外、ほかの生き物の気配がまったくしない。


 それに、転生して視力には自信のある俺だったが、この空間は真っ暗闇でまったく何も見えなかった。


 ――長居は無用か……


 ということで、早々にこの闇世界から抜け出すことにした俺は――


『我は所望する』


 所望魔法を使い闇世界の出口を創りだすと、その何もない闇世界から抜け出した。


 ――そうか、迷宮も所望魔法で出口を創り出せばよかったんじゃないか、よっと……ん? なんだこの部屋?


 創った出口から抜け出した先は小さなモニターらしきものがある大きな部屋の中だった。


 広さ以外は、まるで管理室を思わせるようなもので、無数のモニターらしきものが天井や壁一面びっしりと何やら映しだしている。


『愚かな人間じゃ……ワシの迷宮を意図的に破壊するなどと、思い上がりも甚だしい。そんな鼻垂れ小僧など闇雲に呑み込まれるがいいのじゃ。

 呑み込まれてワシの不純物ポイントになってもらうわい。かっかっか……

 もうそろそろいい按配じゃと思うのじゃが……うむ、おかしいのう……まだポイントは増えておらんのぉ……』


 奥の方でモニターを眺め呟いている変な物体がぷかぷか浮かんでいる。


 ――何かいるな……それにポイントと聞こえたが……なんとも意味深い……


 どうやら、俺はそいつの真後ろの位置に抜け出たらしくすぐにバレることはなかったが、どんなヤツなのかまでは今の位置からはでは確認できない。


 ――しかし、この部屋はちかちかして眩しいな……いったいヤツは何を見ている……っ!?


 変な物体が眺めているそのモニターらしきものに目を向けた俺は、その眩しさに思わず目を細めてしまうが、その映し出されていた映像を見て衝撃を受けた。


 ――……ぶはっ!


 無数にあるモニターには女ハンターたちが、四つん這いになっていたり、飛び跳ねたりと活発に動き回る姿が映し出されていた。


 ――……ここは……


 躍動感あふれるおっぱいやお尻、太ももの揺れまでもが鮮明に捉えられ、その映像は色々な角度から映し出されていた。


 ――オアシス……


 男の性なのか、それとも本能なのか、俺はそのモニターらしきものに釘付けになった。


 ――実にすばらしぃ……コホンッ、け、けしからんな……ん!?


 だが、そのすばらしき時間は長く続かず、次の瞬間その映像は一瞬で切り替わると、男ハンターの引き締まり黒く光り輝く筋肉が映しだされた。


 ――ぶはっ! ……目、目が……


 俺の夢心地が一瞬にして崩れ去った。再び癒しを求め視線を漂わせるが、そこに映しだされているものは――


 ぶ厚い胸板、割れた腹筋、引き締まった筋肉の数々更には、追い討ちをかけるように盛り上がったブリーフパンツなど見たくもないブツの鮮明な映像が色々な角度から映しだされていた。


 ――ぐはっ、だ、ダメージが……


 正直すぐに顔を背けたいところであるが――


 ――まだだ、まだ俺は諦めんぞ……


 再びモニターが切り替わることを信じて視線を漂わせていると、あることに気がついた。


 ――もしかして……


 その見上げるような映像の低さや、上空から見下ろす映像、時折、ハンターたちのアップの後の砂嵐、時間とともに晴れる砂嵐、たまに見える迷宮らしき風景……

 俺は地下十階層までにいた一つ目の弱っちい魔物たちを思い出した。


 ――ここは迷宮内に戻ってきたのか?


 気配を探れば、はるか上空にニコとミコの気配を感じた。


 ――間違いない。ではヤツがここの迷宮の主かもしれないな。


 さっさと脱け出すつもりだったが、目の前のヤツが主ならば話は別だ。


 みんなには悪いと思うが、すぐに済ませればそれほど時間もかからないだろうし、二度手間を減らすことができる。


『かっかっか……どれ、もうそろそろ小僧はポイントになったかのぉ?』


 再び聞こえた変な物体からの呟き……


 ――おっと、こうしてはおられないな……


 俺は気配を殺し背後からゆっくりと近づいていく。


『おかしいのぉ……まだポイントになっておらんぞ……あともう少しでランクアップするのじゃが……』


 ――ランクアップ? ……ん? またモニターが切り替わった……ほほう。


 再び女ハンターを映し出したモニターらしきもの。俺自身がモニターに近づいたことで、それは大きくより鮮明に見えた。


『次のランクにはあれが、間違いなくあるはずじゃ……もし、なかったら……いや、ある、あるのじゃ……ワシはそう信じておるのじゃ!』


 ――けしからんな……


 変な物体はぶつぶつうるさいが、俺はモニターの中の女ハンターに目を奪われていた。


 ――む! おっ、もう少し右に……そうそう右だ右……おおっ……


「実にけしからんな……ふむふむ」


 期待に応え癒しをくれた女ハンターに向かってつい声が漏れた。


『ん?』


 その埴輪は右手を下に左手を上げたポーズをとったままぷかぷかとモニターを前に浮かんでいる。


 ――うおっ!


「……は、はにわ?」


 そいつは三十センチくらいの埴輪(はにわ)のようなヤツだった。


 次の瞬間、俺の声に反応した変な物体がこちらを振り向いた。


『人間? なぜ、人間がこんなにところに……』


 ――お前が何かしたからここにいるんだが……気づいてないのか?


「俺は人族じゃない悪魔だ。お前はここの主か?」


 俺は人化を解き悪魔の姿となった。未だにバリバリッと破ける上着には慣れないが――


 ――ん? 破けた俺の上着が迷宮に吸い込まれた……


『……悪魔じゃと……ぐぬぬっ、いつの間に入り込んだのじゃ! ふん! あいにくと主はおらん、ワシは忙しいのじゃ、さっさと出ていけ!!』


 そう言うと埴輪がトビラがあるらしい方向に左手を向けた。と言っても左手だけ動かすことをできないようで身体ごとその方向を向いている。


「おい、俺はちょっと話がしたいだけで……」


『ええい、悪魔め。出ないというなら力ずくで追い出してくれるわ……』


「おいっ、待てって……」


 埴輪は悪魔の存在をよく思っていなかったようで取りつく島もなく臨戦態勢に入った。


『我が声に応えよ……キマイラのペケ!!!!』


「ぬっ!」


 ――キマイラは伝説の生物だったという曖昧な記憶がある。そんなヤツをここに呼び出すというのか!?


 瞬く間に埴輪の目の前に大きな魔法陣が浮かび上がり、中型サイズの魔物が一体だけ飛び出してきた。


 ――くるか!?


 俺は相手の初動に備えるべくとっさに腰を低く構えた。


 出てきた魔物がキマイラらしいが、そのキマイラは埴輪から呼ばれたことがよほど嬉しいのか――


『わふんっ!』


 と、大きく吠えると奇妙なシッポをパタパタ、ペチペチと振り始めた。


「……」


 俺はそのキマイラの姿に絶句する。


 ――こいつがキマイラ……


 そのキマイラは柴犬の頭と身体にアルパカの頭、そしてしっぽにウナギの頭があった。


 ――おかしい……


 俺は思わず目をこすりもう一度見直すが、柴犬が嬉しそうに舌を出し、アルパカがモシャモシャと咀嚼している。

 しっぽのウナギだけが少し苦しそうに見えた。


 ――あのしっぽはウナギだろ? 息はできるのか?


『かーっかっかっか、恐ろしくて声も出ぬか。悪魔であるお主でも恐ろしいのか。そうかそうか、かーっかっかっ……』


 ゆらゆら揺れ動く埴輪から愉快そうな声が聞こえてくる。


 柴犬は、まだ嬉しそうにシッポのウナギをぶんぶん、ペチペチと振り埴輪の前でお座りした。


 座りながらしっぽを振っているせいかウナギが地面にガリガリ擦り付けられどんどん弱体化しているように感じる。


 ――あのウナギは大丈夫なのか?


 ウナギの様子が明らかにおかしい。それなのに埴輪ときたら勝ちを確信したかのように機嫌よく、くるくると自転している。


『よぉし、いけ!! ワシの創り出した最高傑作キマイラのペケよ!!!!』


『あおーん!!』


 嬉しそうに返事をしたキマイラは立ち上がり俺の方を向き――


 ――くるか?


 バタンッと倒れた。


「はあ?」


 しっぽのウナギがすでに生き絶え、どうやらそれが連鎖したようだ。


 だが、柴犬とアルパカのその顔はバタンキューのウナギの顔とは違い、悔いがないかのように安らかな笑みを浮かべて生き絶えている。


 ――何てこった……


『な、なんと!! ワシの最高傑作のキマイラのペケをよくも……よくも……ぐうっ! さすがは悪魔……慈悲はないのだな……』


「おいおい、俺はまだ何も……」


『よかろう……そっちがその気ならばワシも本気を出さねばなるまい』


「だから、俺の話を聞け……」


『我が声に応えよ……ドラゴンのフライ!!!!』


「ぬ!?」


 ――ドラゴンだと! やはりこの世界にはドラゴンがいたのか! 曖昧な記憶として残る伝説の生き物が……最強で最悪の怪物……


 瞬く間に埴輪の目の前に大きな魔法陣が浮かび上がり中型サイズの魔物が一体だけ音もなく飛び上がった。


 俺は相手の初動に備えるべくとっさに腰を低く構えたが――


 ――こない……む……?


 出てきた魔物はドラゴンらしいが、そのドラゴンは上空に飛び上がったまま一向に近づいてこようとしない。


 ――おかしい……


 音もなく飛ぶドラゴンに俺は少し違和感を覚え、その姿を見ようと目を凝らし、またもや絶句した。


「……」


 俺の目にはどう見てもドラゴンと呼ばれたヤツの姿がトンボにしか見えなかった。記憶の片隅にある昆虫のトンボだ。


 目を何度もこすり確かめるが、やはりトンボにしか見えない。


『かーっかっかっか、恐ろしいか? んん? その顔はフェイクだろ? かーっかっかっか、今度はこちらも油断はせぬ。キマイラのペケのようにはいかぬぞ。かーっかっか……』


 ゆらゆら揺れ動く埴輪から愉快そうな声が聞こえてくる。


『最強にして最悪のドラゴンのフライじゃ! さあフライよ、主の命に従い襲い喰らうのだ!!』


 ――ドラゴンのフライ……ドラゴンフライ……なるほど……


 トンボの知能が低いためなのか、そもそも埴輪の言うことなど、はなから聞く気がないのかトンボは上空を気持ちよさそうに飛びつづけ、一向に襲ってくる気配を感じない。


『フライ! どうしたのじゃ! いけ!! 喰らうのだっ!!』


 トンボは気持ちよさげに飛んでいる。


『フライ! いけと言っとろうが!!』


 トンボは気持ちよさげにホバーリングしている。


「ふーむ」


 ――さて、どうしたものか……


『ぐぬぬ、お主……ワシのドラゴンに何かしおったな』


「いや、あれはどう見てもトンボだろ?」


 ギクッ!


 埴輪は真っ黒で丸い目を一回り広げると、俺に背を向けた。


『……あ、悪魔よ。今ならワシの気分も良い。少しばかりなら話を聞こうではないか……』


 埴輪は白々しく遠くのモニターを見つめながらそんなことを言った。


「ほう。では、やはりお前がここの主なのだな?」


『そうじゃ。いかにもワシがこのハの迷宮の主じゃ。おっと話は聞くのじゃ、痛いのはなしじゃぞ。衝撃もなしじゃ、分かっておるよな、な?』


「ああ」


 俺の返事に安心したのか埴輪が忙しく動き回る。


『で、何用じゃ、ほれ言ってみるがよい。ほれほれ』


 埴輪がくるくる回ると、声高らかに胸を張った。


「……」


 埴輪の態度に少しモヤっとしたが、ぐっと我慢して俺はこの迷宮を支配地にしたい旨を簡潔に話した。


『論外じゃ。ワシの望みが潰えるだけで何の益もない』


 確かに埴輪としては面白くないだろう。俺への興味を失ったようにモニターへ視線を戻し体全体からお断りの雰囲気を出しはじめた。俺に転移の罠や魔物が通じなかったっていうのに、大胆なのかもう忘れているのか……いや、それだけ叶えたい願いなんだろうな。


「何を望んでいるのか、聞いてもいいか」


『ふん! ただの悪魔ごときが知ったところで何もできん』


 埴輪は再び俺の方に向き直ると、鼻で笑い格好つけたつもりなのだろう、空気椅子に座るかのように埴輪の身体を斜めに向けた。


「悪魔は願いを叶える存在だぞ。主よ……聞かせみろよ、その望みを」


『悪魔らしい自惚れじゃな』


「ははん。さては恥ずかしいのか? お前の望みは恥ずかしいものなのだな、だから言えないんだろう?」


 斜めに傾いていた埴輪がヒュンと直立するとその場でくるくる自転し始めた。


『ぐぬぬっ……ワシの願いを低俗扱いするとは! いいだろう。望みを叶えることができるのならばこの地を支配地として感情値とやらを持っていくがいい……』


「ほう」


『ただし、ワシの望みを叶えることができなければ、お主は一生ワシの駒として不純物を集め続けるのじゃ』


「いいだろう。というか、その不純物ってのはなんだ?」


『ふん。不純物とはそのままじゃ。この迷宮の外部から入り込んだもの、ホコリや、ゴミ、人間、悪魔ありとあらゆる物をワシは不純物とよんでいる。

 それをワシの迷宮が吸収することで不純物ポイントへと変換されるのじゃ。

 それがワシの力の源であり、迷宮構築に使われるのじゃ……

 まぁ、それ以外にも色々とあるが、企業秘密なのじゃ、これくらいでよかろう』


 ――何らかを迷宮内に持ち込み吸収させてやればいいんだな……


「わかったそれでいい」


『かーっかっかっ、後悔するなよ、ワシの望みは………じゃ』


「すまん。よく聞こえない、もっと聞こえる声で話してくれ」


 埴輪は、よほど恥ずかしいのか、その場でくるくると自転しつづけ話す言葉が聞きとれない。

 もしかしたらわざと聞き取れない声で話しているのでは……と疑いたくもなる。


『だから……じゃ』


「すまん。もう一度だ。よく聞こえん」


『あ〜だから、人間じゃ、人間、人間になりたいのじゃ』


 埴輪が必死にモニターに向かって左手を向けた。


「なるほど。人間……人族にね……」


 聞けばこの埴輪、もともと人間だった頃の記憶が僅かに残っていたらしく、それを思い続けているうちにだんだんと憧れるようになったのだという。


 迷宮内のところどころにあった違和感は人間だった頃の記憶があるために、それが迷宮にも反映されているのだという。


 それで迷宮に入り込んだ人族のモニタリングを始め、どうにもならない心の葛藤を紛らわしていたのだという。


 埴輪は言わないが、部屋の片隅をよく見れば土でできた人型の土人形が綺麗に並んでいたが、どれも同じような顔貌、体型をしている女の子だった。


 おそらく無意識に自分の記憶にある姿を作っていたに違いないと思う。


「ふむ」


 ――埴輪を人族にか……俺にできるのか?


 俺は初めて所望魔法に不安を覚えるも、もう後には引けない。


 俺は今まで以上に集中し土人形の女の子に似た人族のイメージを固めた。


『我は所望する』


『ふん、何が所望じゃ。ほれ分かったじゃろうが、悪魔ごときにどうにかできるものでもあるまいよ……

 かーっかっか、だがな、まだ諦めておらぬのだ、ワシはこう見えてランクが上がればできることが増えていくのじゃ……まだまだやれるのじゃ……

 それゆえにお主にはたっぷり働いてもらうからの……かーかっかっ』


 マリーと同じくらいの背の高さの15、6歳くらい黒髪の女の子がない胸を張って高らかに笑っているが、その表情は寂しげだった。


 ぱっちり黒目の整った顔立ちで、腰まである黒髪をツインテールにしているためか、少し幼く見え可愛らしい感じがする。


「よし」


 俺が見た限り土人形と変わりなく人化できているように感じるが――


 ――やはり、おっぱいはもう少し大きい方がいいかな……


 胸を張ってもツルペタの女の子の姿に少し残念さがこみ上げてくる。


『では、さっそくワシのために今から迷宮の外に行って大きな……』


 埴輪が俺に向け右手の人差し指を向けたことで違和感に気づいたらしい。


「どうだ……人族になった気分は……と言っても見た目だけだ。お前はここの主に変わりないからな。望めば埴輪の姿にもなれるはずだぞ」


『……』


 埴輪が自分の両手を眺め、その後は頭や顔、身体中をペタペタと触りぷるぷると震えだしたかと思うと急に俯いた。


「おい、主?」


『……じゃない……』


「は?」


『ワシの名前……主ではないのじゃ、ニワじゃ』


 ――ニワ? ……埴輪から取ったんじないのか……


「そっか……ニワ。これでいいんだよな?」


『かーっかっか。よかろう、この迷宮をお主の支配地にするがよい……感情値とやらはくれてやるわい。かーっかっか……』


 ニワが俺に顔を見られないように天井に向き高らかに笑っているが、目の端に涙の跡が少し見えた。


「助かるよ、ニワ」


『かーっかっか……』


 ニワはこちらを向かないが、その言葉を受け止めるとすぐ、俺の頭に悪魔の囁きが聞こえてきた。


【ハの迷宮の意思を受理し、ハの迷宮は悪魔クローの支配地となった】


最後まで読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

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