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悪魔に転生してました。  作者: ぐっちょん
悪役っぽい令嬢編
7/114

 新たに現れた騎士40人の気配を探っていると、急にパシッと鞭を打つ音と、共に俺たちの乗っていてる馬車のスピードが上がった。


 その時、馬車を追従するように走っていたローエル騎士の1人の気配が離れていく。


 ――これは……落馬したのか?


『エリザ、何か外の様子がおかしいぞ!』


「どういうことですの?」


『ローエル騎士の1人が落馬した。それに近寄ってくる集団の気配に対して、ローエル騎士たちが焦っている』


 エリザが、俺を抱き抱えたまま、中腰に立ち上がると、そっと外を覗き後方を確認した。


「……土埃でローエル騎士たちしか見えないわね」


『ああ』


 ――先程の落馬は矢でも射たれたか……

 

 この馬車の御者をしている騎士は優秀だったらしく、先ほど馬車のスピードを上げたことで、包囲しつつ迫っていた、何者かを上手く潜り抜けていた。


 ――包囲される事態は免れたようだが……しかしこれは……


 そのせいか、追従するローエル騎士の後方に40人の黒い騎士の集団が纏まり迫ってきている気配を感じる。


『どうやらこれは、ローエル騎士たちにも予想外の集団みたいだぞ』


「クロー。私はどうしたらいいの?」


 エリザが不安そうに俺に尋ねてきた。


『今は様子見だな。なあに心配するな、何があっても俺が護ってやる』

 

「うん、分かったわ」


 後方を見ていると、ローエル騎士がどんどん矢に射たれているのか1人、また1人と落馬していく。


 とうとう残りローエル騎士も4人となると、ローエル騎士の1人が、俺たちの乗る馬車の御者をしていた騎士と馬を斬りつけた。


 ――くっ、まずい!


『エリザ!!』


 当然御者をしていた騎士と馬を失った、馬車は俺たちを乗せたままバランスを崩し横転した。


 4人のローエル騎士たちはそのまま馬車を追い越し逃げていった。


――――

―――


 俺はというと馬車が横転すると分かった瞬間に、猫型から人型に戻りエリザを軽く抱き抱え衝撃に備え内側に障壁を展開した。


「クロぉ……」


「エリザ黙ってろ! 舌を噛む」


 激しい音を立てて横転した馬車は勢いがあり、横転しながらも横に滑り、激しい音を立て地を削った。


 ――ふぅ。エリザも無事だな。咄嗟に馬車の内側に障壁を展開したが、正解だったな。

 横転して外側が無傷だと後々おかしいからな。


「エリザ、ローエル騎士の一人が御者と馬を斬り捨てたんだ。俺たちを囮にして逃げたぞ」


「……え、ええ」


「だから馬車が横転したんだが、まあ、俺に掛かれば大したことではない。だからエリザは心配するな」


「ええ」


 俺は次にカモフラージュのために魔法でローエル騎士のアーマーを真似て纏った。


「ん、エリザどこかケガでもしたのか?」


「ち、違うわ」


 エリザは顔を真っ赤にして俯いている。


 ――強く言ったから怖がらせたか?


「悪かったな、急だったから教えることができなかった」


 そう言って、抱き抱えたエリザを下ろそうとしたが、やはり恐ろしかったのだろう。エリザは俺に抱きついたまま離そうとしなかった。


「まだ、怖いか?」


 エリザから返事はない。俺は仕方なくエリザの頭を軽く撫でてやると、エリザを抱いたまま馬車のドアを蹴り壊し、馬車の外に出た。

 

「ほう」


 馬車の外に出ると俺たちは40人の黒騎士団に取り囲まれていた。


 ――まあ、気配で分かってたんだがな。


 俺がその場に留まっていると、1人、派手なマントをつけた黒騎士が1歩前に踏み出し、騎士ヘルムを脱いだ。


 そして露になった、そいつの顔は金髪イケメンの美少年だが、ニヤニヤ、ニタニタ嫌な笑みを浮かべている。


「やぁ、エリザベス。この僕がわざわざ悪女のお前を迎えに来てやったぞ」


 その美少年はニヤニヤしながら肩を少し上げおどけた。


「王太子……殿下? ……何故ここに?」


 エリザは目を見開き驚愕の意を露にした。 


「何って、エリザベスを迎えに来たっていったろ? ふははは、エリザべス、君は平民になったのだろう。僕はそんな君を哀れに思ってね。この僕の性奴として側に置いてやろうと思ったのだよ。ふふふ、光栄だろ?」


「せいど?」


「そうだ性奴だ。お前の身分はすでに平民だ。十分じゃないか性奴として大好きな僕の側に居れるんだよ。

 この僕のために腰を振るんだ……ずっとずーっとだ。

ぷっははは、お前は身体だけの女になるんだ。

いいざまだよな。お前は僕がその身体に触れようとしても、いつも拒み、ハグらかし、顔を顰めた――」


「それは正式に……」


「うるさい! 黙れ! そうやっていつもいつも僕の好意を無にしやがった。だから僕はその身体を壊すまで犯すんだ、その身体を……その身体を………んんっ? あれ?」


 どうやら、認識阻害で王太子はエリザの身体を認識できてないのか、しきりに首を傾げている。


「ふん、まあいいさ。……おい、そこの騎士。命が欲しくば早くエリザベスをこっちに連れてこい」


 エリザは俺の首に回す両手に力が入っていた。


「ば……」


「ば? ……なんだエリザベス。早く言ってみろ?」


「バカにしないで! 誰が貴方なんかの性奴になんかなるもんですか!!」


「お、お前何を……この僕に何を言ったか分かっているか!」


「ふん! 当たり前よ、親が決めたことだから義務として我慢してただけですわ。勘違いなさらないでくださる?

 そうじゃあなければ誰がおバカな王太子に嫁ぐものですか」


「……バカな王太子だと……ふふ、そうか、そうか。なるほど。あいにくお前の強がりなど……僕には意味はない。お前は誰がなんと言おうと悪女となり身分は平民だ。俺がそう仕向けたからな。ふふふ、平民は大人しく王族の命令を聞いとけばいいんだよ」


「最低、ほんと最低だわ!!」


「ほらな、お前など、横に肩を並べても煩いだけ、身体だけ差し出せば良いんだよ。

 どうせ、このまま働こうとしたところで、お前のできる仕事などない、行きつく先など娼婦だ。目に見えてる。

 だから優しいこの僕が手を差し伸べているのだよ。ほら、早く。僕の性奴にしてやると言ってるだろ」


 エリザは大きくため息を吐き大袈裟に首を振った。


「はぁ、残念ですが、私はこの方の妻になったのです。契りも交わしました。だから諦めてください」


 ――へっ? 俺の妻? 確かに契約はしたが、その言い方だと……勘違い……するように言ったのか? ふむ、なるほど。


 エリザは俺の騎士ヘルムを両手で取ると俺の唇にキスをしてきた。


 ――ぬお?


 エリザは、その顔を真っ赤にしながらゆっくり唇を離すと――


「私はこの人を愛してます」


 ――エリザが俺を……


 きっぱりと王太子に向け言い切ったエリザだったが、慣れないのか恥ずかしいそうに耳まで真っ赤になっている。


 ――その顔は反則だろ……

 

「こ、この、やはりお前は悪女だ……人が優しくしていれば調子にのりやがって……いいだろう後悔させてやる。

 お前を罪人として手足を斬り捨て……僕に犯されるだけの女にしてやるよ……」


「……な、なんて恐ろしいことを……これが次期国王の言うことなの……」


 エリザは自身にその姿を重ねたのか、小刻みに震え顔を青ざめた。俺の首に回していた手にも力が入っている。


 それでもエリザは負けまいと、頭をふるふる振り感情のない視線を王太子に向けた。

 

「うるさい、うるさい、うるさい、うるさい! その目だ! その目で僕を見るな!! お前はいつも生意気なんだ、その目も抉り取ってやる。そうだ、それがいい。

 お前は僕の性奴なんだ……性奴なんだよ……ふははは、そうだ、お前は僕の性奴だ

 おい! お前たち、あの悪女エリザベスを残し、あの騎士を先に殺れ!! ……いや、まて。……どうせ悪女エリザベスの手足は全て削ぎ落とすんだ。……お前たち! 悪女エリザベスの手足も1本くらいなら切り落としてもかまわん」


 「「「はっ!」」」


 王太子直属の騎士である40人の黒騎士達が王太子の命令を受け、抜剣した状態でジリジリと包囲網を狭め詰め寄ってくる。

 逃げ道はない、が――


 ――俺には意味ないな。


「さて、エリザ。あんなこと言ってる。どうして欲しい? 奴らを殺すか?」


 正直、俺はエリザを性奴にと言ったふざけた奴を即効で殺したい衝動に襲われていた。

 だが、俺の腕に抱かれるエリザを見て思い止まり、エリザの判断に任せることにした。


 エリザは首を横に振る。


「あんな男が、私の元婚約者だったなんて……冷静になって考えてみると恥ずかしいことだわね。婚約破棄されて良かったわ。

 ほんとにクローが私の復讐を止めてくれてよかった。だから……最後はクローに任せてもいい?」


 ――なんだ? エリザがどんどん素直……というより俺の言うことを聞くようになっているけどどうしたんだ? ふむ……

 だがまぁ……任されたからといって、復讐を止めさせた俺がバッサリ殺ったら……エリザの教育上よろしくないよな……


「わかった。じゃあ黒騎士たちには抜剣して迫ってくることを反省してもらうな。

 そうだな……ふむ。これから先、戦意を持つだけで我慢できないほどの凄い便意が襲ってくる悪因を与えてやろう。

 そして、エリザを性奴にと言ったふざけた王太子は……よし! 少しでも欲情するとイチモツに失禁するほどの激痛が起こり、暫く尿が止まらなくなる悪因を与えることにしてやる。

 ふんっ、どちらにしても今後まともな生活はできなくなる」


 ――しかも、お前たちは解呪魔法の効かないレベルMAXのおまけを付けてやる。


 この世界で魔法を使える人はエリートだ。必ずその身に魔力があればクルセイド教団か、王国の魔法騎士団に所属することになる。例外は悪魔や魔物くらいだろう。


 魔法が使えるのを悟られたくない俺は、エリザを抱き直し、右手が相手から見えないように悪魔法を使った。


『これから先ずっと味わい続けるがいい、お前たちに与えるっ! 悪魔法:悪因レベルMAX!!』

 

 日中で見えない光が空へと舞い上がり黒騎士たちと王太子の頭に素早く吸い込まれていく。

 するとジリジリと包囲網を狭め詰め寄っていた黒騎士たちが、ピタリとその歩みを止めた。

 次の瞬間には抜いたその剣を杖代わりにお腹を押さえ悶えだした。


「お、お前たち、何立ち止まってる。早くあのローエル騎士を殺れ!!」


 王太子だけはまだ、何ともないみたいで、エリザの身体を見ても認識阻害の影響を受け欲情していないようだ。


「ははは、お前たち、急に腹部を押さえてるが毒でも盛られたんじゃないのか?」


 俺は、わざとそれらしい言葉を選び王太子に向けた。

 現に39人の黒騎士は悶えだし歩くことをもままならない。王太子は、何やら思い当たる節でもあったのか、みるみる青ざめていった。


 ――まあ、王族なら心当たりの1つや2つあるだろうよ。


「くっくっくっ王太子よ、運がなかったようだな」


 俺はエリザを抱き抱え堂々と歩いていく。黒騎士団の間をゆっくりと。


「おっと、すまないな、通してもらうぜ」


「き、貴様!」


 そんな中、数名の勇士がいた。その黒騎士の勇士は腹痛を我慢して無理に剣を振ってきたのだ。

 俺は軽く身体を捻るだけで躱すと、思いっきり腹部を蹴りつけてやった。ドフッと内臓に響くような音がした。だってエリザを抱っこしてるので手が使えないんだ。


「ぐぁぁぁ……」


 俺に蹴られた黒騎士は周りの黒騎士たちを巻き込み吹き飛んだ。お尻からう○こを解放する盛大な音を立てながら――


 更にその異臭は連鎖した。強烈な臭いが辺りに漂い始め、鼻が曲がりそうなほど臭う。黒騎士たちも泣き叫びまさに阿鼻叫喚の地獄絵図のようだ。

ん? ちょっと違う? まあ、それだけ酷い有様だった。


 俺は早足でその場を離れる。


「……ふははは、黒騎士たちは調子が悪そうだぞ、王太子よ?」


「くっ、役立たず共め……いいだろう、たかだかローエル騎士1人、僕が斬り伏せてやる。

 こう見えても僕は剣術の才能に恵まれていてな、こうやって黒騎士団長も務めているくらい……剣術は得意なんだよ。

 だがまあ僕は寛大だ、今ここにエリザを置いていけば、お前の命だけは助けてやってもいいぞ、どうだ……ほら、エリザを今すぐ離せ!」


 自信満々に言い放つ王太子の両手にはすでに抜剣したゴテゴテに飾り付けされた長剣が構えられている。

 だが俺に向けるその剣先は小刻みに震え虚勢だとすぐにわかる。


「ふっ、話にならんな……帰れよ」


 俺は王太子をわざと無視して歩みを進めた。本当はぶん殴りたいがエリザを抱えているのでぐっと我慢する。


「たかだか騎士の分際で……この僕を愚弄するのか!!」


「知るか!」


 ぎゃあぎゃあ喚く王太子を無視し続け、俺はそのまま止まらず歩く。

 エリザからは王太子が見えないように気をつけてやり、小刻みに震えている王太子の近くもわざと通る。


「ふふ、ふふっバカめ……敵に背中を向けるとは……死ねばいい、死ねぇ!」


 殺気立った王太子が背後から俺を斬りつけてきた、なかなか鋭いが、それは学生レベルだ。

 先程腹痛を我慢して斬りつけてきた黒騎士の方がまだましだ。


 俺は迫る剣先をあっさり避け、ニヤニヤしている口目掛けて蹴りを突きだした。

 挨拶の時に格好つけて騎士ヘルムを脱いだのが悪い。


 バキッバキッバキッ!!


 騎士ブーツの底がまともに王太子の顔面に入った。

 王太子の鼻はへし折れ、歯も数本はやった感触がある。

 蹴られた王太子はギュンと宙を高速回転しながら吹き飛び、何度か地面にバウンドしてやっと止まった。


 王太子はピクリとも動かない。


 ――手加減してやったんだ、感謝しろ。


 黒騎士たちは悔しげにしながらも、動けずにこちらを睨んでいるだけなので……抱いてるエリザに少し格好をつけてみることにした。


「ほらよ……釣りは要らんよ」

 

 俺は銅貨1枚を適当な地面に置いて黒騎士が乗っていた中でも一番良さそうな馬を1頭拝借する。もちろん無期限だ。


 俺の心遣い?(銅貨1枚) を睨むように見ていた、黒騎士たちは感極まったのかフルフルと拳を震わせていた。

 でも、あまり力むと――


 ――ふむ、ここでも異臭の連鎖が始まったか……


 俺は再びピッチをあげることにした。


――――

―――


「よしエリザ。決めたぞ、この馬がいい。この馬にしよう。よっと」


 俺が先にローエル騎士のアーマーを脱ぎ、旅装束の姿で馬に股がり、次にエリザの腰を抱き馬上に引き上げた。


「ふふふ、クローと一緒に乗るのね。そうよねクローは私の悪魔ですものね」

 

「ん? ああ、そうだな」


 エリザが落ちないように、俺の前に、横向きに座らせると、手綱を握る俺の両腕の中にすっぽりと収まった。


「ふふふ」


 エリザは恥ずかしいのか顔を紅潮させながらも俺の腰に右腕を回し、俺の胸に身体を寄せ抱きついてきた。

 

「……ふふふ」


 エリザがさっきからずっと微笑んでいる。ちょっとおかしい気もするが、おっぱいが当たって気持ちがいいので何事もないようにゆっくりと馬を走らせた。


 ――ふむ、まぁいい。


 俺は嬉しそうなエリザの頭を撫でると、国境を目指し少しずつスピードを上げた。




――――デビルスキャン――――――――

 所属 悪魔大事典第29号 

  格 ランク第10位

 悪魔 ナンバー960

 名前 クロー

 性別 男性型

 年齢 23歳 

 種族 デビルヒューマン族


 固有魔法 所望魔法 

 所持魔法 悪魔法

      攻撃魔法 防御魔法 補助魔法

      回復魔法 移動魔法 生活魔法

 固有スキル 不老 変身 威圧 体術 信用

       攻撃無効 魔法無効

 所持スキル デビルシリーズ

 契約者 エリザ

 所持値 1300カナ

 ――――――――――――――――――

 名前 エリザ

 性別 女性

 年齢 17歳

 体形 ボボンッ、キュッ、ボン

 装備品と能力

 クローの小剣     防御不可、

 クローのガントレット 金剛力、収納

 クローのベルト    認識阻害、身体強化、回復

 クローのブーツ    俊足、回避

 保護ネックレス    防護、障壁、位置情報

 質素なワンピース   サイズが合ってない。

 クローへの依存度   140%↑

 ――――――――――――――――――

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