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悪魔に転生してました。  作者: ぐっちょん
なんてこったの支配地編
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ブックマーク、評価、誤字脱字報告ありがとうございます。


少し短くめです。

すみません。

「ここなら安全そうだ。エリザ殿、マリー殿そろそろどうだろう?」


 辺りを確認したセリスがそう言った。


 セリスが安全そうだと言った場所はダンジョン内でも少し開けた場所だった。


 北側、南側、東側と通路が抜けているのでいざという時には逃げ道もあるが、このダンジョンの魔物はツノの生えたウサギと牙の大きなヘビのみで脅威となる魔物は存在していないようだった。


 念のため、周囲を警戒し脅威となる気配を探ってみたセリスだったが、特別気にするべき気配を感じなかった。


「うん。セリスさんがそう言うならここにしよう。きり良く薬草も集まったもんね」


 元気に返事したマリーはガントレットの収納から、クローに貰ったレジャーシートを広げた。


 そのレジャーシートにはかわいいネコのイラストが入っている。マリーはそのイラストを眺め思わず笑みを浮かべた。


「うん。かわいい」


「あら、マリーもネコの絵にしたのね」


 エリザは色違いのレジャーシートを少しだけ広げてみせた。二人は身近な猫を思い出し笑みを浮かべると視線は自然とセリスに移った。


「私か?」


 セリスは待ってました、とばかりに目を輝かせると――


「ふふふ、私はこれだ……討伐戦隊!! アースレンジャー!!」


 セリスは勢いよくそのレジャーシートをばさっと広げた。


 マリーが広げたレジャーシートだけで十分に広く事足りているので、セリスは別にレジャーシートを広げる必要はないのだが、それでもセリスはレジャーシートを広げた。


 セリスはどうしても見せたくて仕方なかったらしい。セリスが目を輝かせ胸を張りおっぱいを揺らした。


「あはは。セリスさんはクローに、でぃーぶぃでぃーぷれいやぁ? 出してもらって観てましたもんね……へぇ〜きれいな五色で変わった姿をしてますね」


 格好よくポーズを決めたキャラクターが描かれたレジャーシートをマリーが眺めていると――


「ほう。マリー殿はそのファイターブルーがいいのか? なかなか渋いな」


 セリスは何やら勝手に納得して頷いていた。


「あはは……そんなつもりはないんだけどな……」


「私は主殿がいた世界というのはこのアースレンジャーによって守られた世界だと思うのだ。

 この後ろに描かれた悪の組織ウェル団は憎々しい奴でな……ああ、こっちのセージブラックも実はなかなかのくせ者なんだぞ……ん? エリザ殿ももっと近くにこないと見えないぞ?」


「え! わ、私は大丈夫です」


 エリザが両手を振って必死に断るが、スイッチの入ったセリスに通用するはずもなく。


「まあまあ、エリザ殿……」


「は、はあ……」


 頬を染めやや興奮気味のセリスが、エリザに向き手招きをするので、エリザは仕方なくレジャーシートに近寄った。


「このブレイブレッドのブレイブスラッシュが強くてな……私にも使えないか今練習をしているのだ……」


 討伐戦隊のレンジャーシートを広げポーズを決めているキャラクターを指差しエリザに熱く語り出した。


「ま、マリー……」


 エリザは逃げようにも肩を抱かれて、セリスから逃げることができずマリーに助けを求めるも……


「セリスさーん。それって作り話だってクローが言ってたよ……セリスさーん……」


 マリーの声はセリスの耳に届かなかった。


「エリザ……ごめん……」


 ――――

 ――


「おっと、私としたことが少々熱くなりすぎたようだ。エリザ殿、マリー殿この続きはまた帰ってから、戦闘記録の確認(でぃぶぃでぃ鑑賞)をしながら語ろうではないか。ははは……」


「ふふふふ……」


「ははは……」


 愉快に笑うセリスと違い疲れ果てたエリザとマリーは乾いた笑みを浮かべた。


「さて、これは私が聖騎士時代に、魔力のある者は救えると信じ希望に燃えていた頃に買い込んでいたマジックシート(魔力確認紙)だ」


 急に真剣な表情になったセリスは二枚の折りたたんである紙を収納から取り出した。


「へぇ……これで分かるんだ……」


「うむ。今、この魔力紙を購入しようとすれば届出が必要になり国や教会に誰が購入したか知られてしまうが、これは私が使わずに所持していたものだからな、旧式タイプだが魔力確認ならば問題はあるまい」


「そっか……魔力持ちは基本的に国か教会に所属するんでしたね」


「うむ。知られると厄介だからな」


「でも、大きな紙ですね……まあ、魔法陣が描かれているわ」


 セリスが丁寧に広げていくマジックシートをエリザが興味津々といった様子で眺めていた。


「うむ。この描かれた魔法陣に両手をのせると魔力確認の法術が展開される。

 魔力が無ければ黒く染まり、魔力があればこの魔法陣の中心に適性のある魔法が浮かび上がる仕組みになってる……魔力が多ければ多いほどその浮かび上がる魔力文字が太くて濃くなる……エリザ殿、マリー殿では……」


 セリスがレジャーシートに座るエリザとマリーの目の前に広げ終えたマジックシートを一枚ずつ置き使い方を教えた。


 エリザとマリーは、セリスに習った通りそのシートに両手をつけた。


「これでいいのかしら?」


「どうですか? セリスさん」


「うむ。それで問題ない。すまぬがそのままじっとしておいてくれ」


「分かったわ」


「うん」


 エリザと、マリーが手をついてすぐにマジックシートにその反応が現れうっすらと青白い光を放ち始めた。


「……!?」


「セリスさん! これって……」


 いつものクセで腕を組みおっぱいを押し上げて見守っていたセリスは、思わず声を上げたマリーに向かって、静かにするよう口元に人差し指を当てしーっと仕草で示した。


 青白い光が少しずつ弱くなり始めると――


「そろそろかしら?」


 エリザとマリーは結果が気になるらしくそわそわとし始めた。


 セリスが首振り「もうしばらく、そのままに」と二人が最後までマジックシートから手を離さないように注意した。


「はい……」


 しばらくすると青白い光がおさまった。セリスに確認したエリザとマリーが恐る恐る手を退けると、マジックシートにその結果が浮かび上がっていた。


「うむ、やはりな。私も少しずつ魔力が増えているのを感じていたから……もしやと思ったが……」


 一人で納得し頷くセリスだが、その浮かび上がった魔力文字は独特でエリザとマリーが見てもよく分からない。


「セリスさん……お願い」


 結果が早く知りたい、エリザは申し訳なさそうに眉尻を下げながら両手を合わせた。


「ああ、すまぬエリザ殿。二人とも間違いなく魔力を保有している」


「ほんと!」


「すごいわ!!」


「うむ。二人は魔力保持者で間違いないだろう。使える魔法は……無とだけ浮かび上がっているから、固有魔法のみだな……ほら、この文字がそうだ……」


 セリスは二人が使用したマジックシートに一つだけ太く浮かび上がる魔力文字を指差した。


「これは、一般的な攻撃魔法や防御魔法などとは違い、何らかの特殊な魔法を示す文字なのだ。これを国や教会では固有魔法と呼んでいる」


「固有魔法ですか……」


「うむ。固有魔法は珍しい魔法が多く、基本的に唯一無二のものになるだろう……うーむ。これは一度、主殿に診てもらった方が早いな……魔法名だけでも知れば使用方法もすぐに理解できるだろうからな」


「私が魔法なんて……信じられないわ」


「うん……これってやっぱり……クローのおかげ、だよね……?」


 マリーは急にしおらしくなり、もじもじとしながら二人をちらちらと見た。


「……うむ。それは間違いないだろう。主殿のあれは魔力の塊のようなものだからな……」


 セリスの放った一言でエリザとマリーの顔が一瞬で真っ赤に染まり、そう言ったセリス自身も耳まで真っ赤になった。


「……」

「……」

「……」


 三人は互いに照れてしまい顔のほてりが冷めるまで、しばらく沈黙が続いた。


「……で、でも、これで私たちも少しは役に立てるかもしれないわね!」


 やっと口を開いたエリザは、俯いていた顔を勢いよく上げると二人に視線を向けた。


「え! あ、うん。ずっとラットちゃんとズックちゃんに迷惑かけていたもんね…………いつもありがとうね」


「そっか。ラットちゃん、ありがとう」


 エリザとマリーが肩に乗るラットとズックの頭を優しく撫でるとやっと元の空気に戻った。


「ねぇ、ねぇ、クローは驚くかな?」


 マリーはよほど嬉しいらしくにまにまと緩む口元を両手で隠した。


「ふふ、驚くんじゃないかしら……」


 エリザも同じらしく左手で少し上品に口元を隠した。


「うむ、主殿もこれには驚くのではないか? 普通ならば後天的に魔力を宿すことはない。私も今まで聞いたことがないからな」


「えへへ、エリザ。やったね……」


「うん。あ、そうだわ」


 マリーとともに喜んでいたエリザはふと思い出したかのように人差し指を頬に当てた。


「あの〜セリスさん、魔法ってどうやれば使えるのかしら?」


 首を傾げるエリザの言葉にマリーもハッとした表情を浮かべた。


「うむ。それは心配するでない、私がうまくコントロールできるように使い方を教えてやろう……無論、魔力があるのだから魔力をコントロールできるようになれば、このような魔法剣なども扱えるようになるはずだぞ」


 セリスが剣身を発現させていない魔法剣をエリザとマリーに見せた。


「うわぁ」


「まあ」


 二人が魔法剣に目を輝かせたその時――


「……え!?」


「……これって!?」


 エリザとマリーは慣れ親しんだ悪気ではなく、嫌悪感を抱く悪気を感じた。


 不安になった二人がすぐにセリスに顔を向けるとセリスはいつになく真剣な表情でゆっくりと立ち上がり。


「うむ、悪魔だな。悪魔がこのダンジョンに入ってきた」


 そう言って丁寧にレジャーシートをたたみ始めた。

最後までお付き合いいただきありがとうございます。


キリの良いところまでになりました。


今回少し短くなってしまったので、次回は早めに更新したいと思いますm(__)m

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