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悪魔に転生してました。  作者: ぐっちょん
悪役っぽい令嬢編
6/114

 【契約者エリザから感情値200カナ獲得した】


 翌朝、俺は、頭の中に鳴り響いく無機質な音声でまたもや目が覚めた。鉄格子越しに見える空は、段々と白くなりつつある。もうすぐ夜が明けそうだ。


 ――おっ、感情値が昨日より増えてる。


 感情値が増えて、上機嫌な俺は、エリザのおっぱいを枕にして頭を左右に倒して遊んでいた。


 ぽにょん


 ぽにょん


 起きると思ったのだが……残念ながらエリザはまだおやすみ中だ。

 すやすやと気持ち良さそうな寝息が聞こえてくる。


 ――質の悪い馬車での長距離移動、無理もないか。

 よほど疲れていたんだな。……ん?


 何やら外が騒がしくなった。


 ――あぁ〜。あれだ、忘れてたわ。


 ――――

 ―――



「……更に隊列がみだれましたわね」


『うむ、そうだな、皆から距離を置いて、後方を進む騎士が3人に増えたな』


「どうしてかしら、3人とも鞍に座らないのね。よくあの姿勢のまま、馬に乗ってられるわね」


『……訓練なんだろう』


 ――間違いなく、一人は大きい方の出しすぎで悪化? 二人はヤりすぎなのだろう。


 ――エリザはこの手の話に疎いんだな。まあ、知ったところで眉をひそめるだけか。


 俺は馬車の中から憐れな騎士3人を見て朝の出来事を思い出していた。


 ――いやぁ、あれは、面白かったな。彼奴ら顔がみるみる真っ青になっていったもんな。


――――

―――


 そう、早朝のことだが、馬車の見回りに来た騎士たちが、その馬車の後ろで倒れていた騎士2人に気づいて「大丈夫か!!」と慌てて駆け寄ってきたまでは良かった――


 当の本人たちも、さすがは鍛えられた騎士。駆け寄ってくる騎士の叫び声で直ぐに飛び起きた。

 だが、直ぐに自分たちの体の違和感に気づいたのだろう。


 自分たち二人が全裸であること、その身体全体からは鼻に突く独特の異臭を放ち、ベタベタ。そしてお互いのお尻に違和感があることに……


 それは駆け寄ってきた騎士たちも同じで、裸の騎士2人が体に何かを付着させ、異臭を放っていることに気がついた。

 そして、さすがはローエル騎士、直ぐに状況を理解した。


 駆け寄ってきていた騎士たちは途中で立ち止まると、無言で首を振ったかと思うと、自身の鼻を摘まみ、お尻を隠しながらゆっくりと後ろ足でその場から離れていこうとしたのだ。決して背中を見せないように。


 当の本人たちは真っ青になりながらも、弁解をしようと駆け寄ってきた騎士たちに必死の形相で詰め寄った。


 だが、追いかけるその行為が却って悪い方向へと運んだ。


 身の危険を感じた騎士たちは「襲われる!」と叫びながら逃げだしたものだから、瞬く間に護衛騎士、全てが知ることとなった。


 男色騎士の称号を得た騎士が、ここに2人誕生した瞬間だった。


 ――――

 ―――


 ――もう過ぎたことだ、忘れよう。


 俺は頭から離れなくなりそうな思考を払うべく首を振った。


「クローどうしたの? 今ローエル領を抜けましたわ」


 物思いに耽ってると、いつの間にやらローエル領を抜け、トーナル領に入っていた。


『ほう。ここがトーナル領なのか』


 俺も鉄格子から外を眺めたが、何もない平野が続くばかりで興味が失せた。


――――

―――


 途中、何度か休憩を挟んでいたが、やはり今日もエリザの朝食と昼食は無かった。


 エリザは「クローが怒ることじゃないわよ」と苦笑いしていた。

 俺が魔法で出して食べればいいだけなのだが、やはり気分が悪い。と言うか無性に腹が立った。


 更に何度か休憩を挟み、やっと俺たちはゲスガス小国への国境に向かっていることが分かった。


 どちらにしても国境を越えたら、エリザの為に準備してる装備品を渡し、ハンター登録して身元の証明証を作るつもりだったんだ。それがゲスガス小国で登録すると決まっただけだ。


 やることもないので、エリザに抱かれ二人ウトウトしてると、本日の野営地についたらしい。


 ――今日も要警戒だな。


 騎士たちは野営のための準備を始めた。

 そして、今日もエリザの分の夕食は届いたが、昨日と同じカビの生えた黒パンと腐りかけの具なしスープだった。


『また、黒パンとスープだな……これも、食べたらダメなやつだ。俺が代わりの食事を出すから、今日も昨日と同じ様に後で横になってくれな』


「ええ、分かったわ」


『じゃあ、今日はこれを食べよう。ハンバーグというんだ。皆が大好きハンバーグだ。

 もうすぐ国境だからな、力が出そうな物で、さらに美味い食べ物と言ったらこれだ。しかも、とろ〜りチーズがのってる奴にしたぞ』


「まあ、良い匂いだわ」


エリザはその匂いにごくりと生唾を飲んでいた。ハンバーグに釘付けになるエリザはまるで子供みたいで可愛い。


「でも……クローが出した食べ物は、太りそうで怖いわね。美味しいからつい食べ過ぎちゃうのよ」


『ん? そうか? エリザは、どちらかというと痩せすぎてると思うが……

 それに、これから先はもっと動くことが多くなるから、逆に痩せるかもしれない。だが、それは俺の望むことではない。痩せてもらったら困るんだ。

 だ、か、ら、少しくらい食べ過ぎるぐらいで丁度いいんだ』


「太りたくはないけど、あなたの言うことももっともだわね。分かったわ、有り難く頂くわね」


『うむ』


 そして、エリザは俺が出した食事を完食した後、直ぐに横になった。

 これもまた、皿を取りに来た騎士に横になってる姿を見せるためだ。


――――

―――


 深夜になり、性懲りもなく奴らは来た。

 ゲスの笑みを浮かべながら。


 馬車の周りには既に魔法の障壁が張ってある。


 ――来ると分かってたからな。ほほう。今回は3人で来たんだな。はい、御愁傷様。


 もう、面倒臭いので、エリザは寝かせたままだ。俺も抱っこされてたまま悪魔法を使う。


 ――今日は、これで十分だろ。


『さぁ、お前たちにも悪魔法:悪望を与える!!』


 俺の両手の肉球が光ると右手と左手、また右手と、順に妖しい紫色の光が放たれ騎士たちの頭に向かって飛んでいき、溶ける様に吸い込まれていった。


 静かだった馬車の外から、ガサガサ、ガタガタ激しい音が聞こえ出した。

 どうやら男たちが動き出したらしい。


 ――今日は3人……凄いことになりそうだ。


 雄叫びや、奇声が聞こえてくる。昨日より激しい気がする。


 ――ぬ! 夢に出そうだ。遮断だ、遮断。


 俺が快適空間を重ねがけると、その奇声は聞こえなくなった。


 ――これでいい。


 俺はエリザの胸を枕にゆっくり眠りについた。


【契約者エリザから感情値1000カナ獲得した】


 翌朝、俺は、いつもの頭の中に鳴り響く無機質な音声で目が覚めた。


 ――おぉっ、何でだ、かなり増えたぞ?


 感情値が増えて上機嫌な俺は、エリザを枕代わりにだらだらと過ごす。


 ぽよん、ぽよん


 エリザのおっぱいにちょっかいを出してみるが、残念ながら今日のエリザの、まだ熟睡おやすみ中。


 時折色っぽい声を上げるのは俺のせいなのだが、すやすやと気持ち良さそうな寝息が聞こえる。

 しかも、俺をガッチリ抱き締めて離そうとしない。


 しかし、このワンピース、丈が短いから、よく捲れてパンツが見える。今はおへそまで見えている。


 ――きわどいの履いてるんだよね。


 これは意外も意外、何度も見てるがエリザのパンツはきわどい、明らかに生地が少ない。エリザの部屋でも見たが、こんな身近で見たわけじゃない。


 ――貴族令嬢って皆こんなの履いてるのか? 色仕掛け?


 そんなことを考えつつも、暇なのでエリザと馬車内での出来事を思い出す。


――――

―――


 エリザは始めこそ「はしたない女と思います?」と、いきなり俺の反応を心配そうに見ていたけど、俺には全く何のことを言っているのか意味が分からなかったが、ふと、その前の会話を思い出した。


 『際どいパンツが見えてるぞ!』っと俺がからかったからだと。


 俺的には嬉しい限りなので『眼福だぞ』と答えてやった。

 それからか、俺の視線がおっぱいやパンツにいくと満更でもない表情や、嬉しそうにするようになった。


 変な性癖に目覚めたんじゃないかと心配になる。


 因みに、エリザには毎日クリーン魔法で清潔にしているからいい匂いがするんだ。


 こんな監禁状態と変わらない環境。衛生面から病気になってもらったら困るからな。


 俺は毎日お風呂に入りたい派だから、シャワーを浴びたような爽快、スッキリ感付きのクリーン魔法で、体から衣類についた汗や汚れまで、ついでに猫の毛を落としてやっている。


 ――ん?


 何やら外が騒がしくなった。


 ――見回りの騎士が来たみたいだな。



 ――――

 ―――




「クロー、何故かしら。昨日より酷い隊列になってるわ?」


『うむ、そうだな。もう、キチンと隊列が組めてる騎士は4人しかいないな』


「あら、やっぱりクローもそう思うのね。後ろの6人は、足腰の訓練をしているのね。また、鞍に座ってないわよ。

 本当毎日感心するわ、よくあの姿勢のまま、馬に乗れるわよね。やっぱりローエル領の騎士は凄いのかしら?」


『……うむ。そうだな』


「でも、仕掛けてくるなら、今日……ですわよ……ね?」


エリザの腕に力が入ったのが分かった。


 ――怖いか……17歳の少女だもんな。


『恐らくそうなるだろう。今日の昼頃には国境に着くと騎士たちが言って‥‥‥おっと、どうやら朝からお出でなすったみたいだ』


 俺の気配察知にかかった、40人規模の集団が馬車を取り囲むように距離を詰めてきていた。

 このまま何もしなければ30分程で囲まれそうだ。


『40人の集団が来た。後四半刻ほどだな、この場にいる騎士たちを合わせると……50人か』


「……」


『そんな不安な顔するな……たかだか50人、俺にとっては大した数じゃない』


「……それでも訓練された騎士なのよ。その騎士が50人もいるの。クローごめんなさい、私が依頼したばかりに」


エリザが震えながら俺をぎゅっと抱きしめた。


『あはは、エリザは俺が騎士50人程度に殺られると思っているのか?』


「……でも」


『そうだな……まあ、強いて言うなら、エリザが人質に捕らわれると、ほんの少しだが不味いかも知れないが……ん~と、言うことでそうならないために、ほらこれ』


 俺はそう言うとエリザの前にベルト、ブーツ、ガントレットをそして、小剣を出した。


「えっ? ……これは何かしら?」


 エリザが意味が分からないと小首を傾げた。


『エリザの装備品だ。俺がエリザのために創った悪魔装備になる。あ~でも勘違いするなよ。悪魔装備と言っても呪われたりしないからな? 俺が創ったから悪魔装備と言っただけだぞ』


「クローが私のために?」


『そうだ。それはもうエリザ専用の物だぞ。他に誰もそれは装備できない仕様にしてる、どうだ凄いだろ』


「クロー嬉しいわ」


 エリザはベルトやブーツを手に取り大事そうに眺め出した。


「でも不思議ね。これほんとに悪魔装備なの? シンプルだけど清楚な感じがするわ」


『ふはは、そうだろ、そうだろ。エリザに似合いそうなデザインにした。それに見かけだじゃなく、それぞれ補助能力も付与してるんだ』


「付与?」


『ああ……付与ってのは、エリザを手助けするしてくれる能力を其々の装備品に与えたのだ。

 ブーツには俊足、回避、ベルトには認識阻害、身体強化、回復、小手には金剛力、収納、だな。

 後は、前にやった保護ネックレスが、防護、障壁、位置情報。だったな。さあ、俺に着けて見せてくれ』


「ええ、分かったわ」


 エリザは先ほどの不安そうな顔ではなく、嬉しそうに俺の反応をちらちら見ながら、床に出した装備品を身に着けていった。


『おお、似合ってる……特に腰に巻いたベルトがいいな。質素なワンピースでも全体的に可愛くなったし、おっぱいが強調されたのもいいな。ふむ。これは眼福だな』


「眼福なのね?」


 何故か、昨日から俺が眼福と言うと嬉しそうにするんだよな。


 ――なにかしたか?


『ああ、凄くいい。やはり認識阻害つけて正解だった。

 そのベルトに付けた認識阻害は、エリザが認識してほしくないところを阻害するんだ』


 俺が納得の出来にうんうんと、頷きエリザの姿を眺めていると――


「えっ、認識阻害? ……それはクローにも?」


 と、みるみる眉をハの字にさせしょんぼりと肩を落としていく。


 ――ん? どうしたんだ?


『いや、残念だが。俺には効かないんだ』


「まぁ!! そうなの? それはいいわね」


 ――あれ? また嬉しそうに……その言い方だと、俺から見られたいって風に感じるが……まさかね?出会って4日目だし。


『そして最後が、これ小剣だ。これには防御不可を付与してある。そのベルトに帯剣出来る様にしてある』


「クローありがとう。嬉しいわ」


 素直にお礼を言うエリザは小剣を手に取り嬉しそうに腰に下げた。


 俺の言葉や行動1つで、昨日よりも明るく嬉しそうな表情が増えたエリザ。

 目元は柔らしくとても悪役っぽくない、清楚な美人さんにしか見えなくなっていた。


 ――ふむ。女とはこんなにも変わるものなんだな。


 これは、同じ空間で過ごすうちに、クローへの信用がMAXになったしまったことから、安心できる存在としてクローへの依存度が急激に増えていってしまった結果なのだが、当然ながらクローはまだ、知るはずもない。



 ――――デビルスキャン――――――――

 所属 悪魔大事典第29号 

 格 ランク第10位

 悪魔 ナンバー960

 名前 クロー

 性別 男性型

 年齢 23歳 

 種族 デビルヒューマン族


 固有魔法 所望魔法 

 所持魔法 悪魔法

 攻撃魔法 防御魔法 補助魔法

 回復魔法 移動魔法 生活魔法

 固有スキル 不老 変身 威圧 体術 信用

 攻撃無効 魔法無効

 所持スキル デビルシリーズ

 契約者 エリザ

 所持値 1300カナ

 ――――――――――――――――――

 名前 エリザ

 性別 女性

 年齢 17歳

 体形 ボボンッ、キュッ、ボン

 装備品と能力

 クローの小剣     防御不可、

 クローのガントレット 金剛力、収納

 クローのベルト    認識阻害、身体強化、回復

 クローのブーツ    俊足、回避

 保護ネックレス    防護、障壁、位置情報

 質素なワンピース   サイズが合ってない。

 クローへの依存度   120%

 ――――――――――――――――――

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