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悪魔に転生してました。  作者: ぐっちょん
何となくハンター編〜悪魔争乱〜
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ブックマーク、評価、ご感想、誤字脱字報告ありがとうございますm(_ _)m


嬉しいです。

【廃棄悪魔ディディス討伐により支配地を獲た】


 ――え?


【*エラー*格不足】

【*強制*クローはランク8位に昇格した】

【第8位、昇格により新たなスキル、魔力同調を取得した】


 ――っ!?


【*エラー*格不足】

【*強制*クローはランク7位に昇格した】

【第7位、昇格により新たなスキル、悪魔の囁きを取得した】


 ――ぬっ!?


【*強制*昇格に必要感情値は、ディディス討伐報酬として免除された】


【*報酬*悪魔界に第7位屋敷を得た】

【*強制*配属悪魔の派遣が決定された】


 ――なぬっ!?


【*報酬*第10位配下ナナを第9位に昇格】


【第10位イオナがクローの配下になった】

【第10位ライコがクローの配下になった】

【第10位ティアがクローの配下になった】


【*強制*今後の納値は配属悪魔が管理するものとする、詳しくは配属悪魔に意見を求めよ】


 ――ぐぬぬっ!?


「なぜだ!? なぜ俺が支配地を……ディディスを倒してしまったのは……偶然だ……拒否はできないのか?」


【これは報酬である。拒否は認められない】


 ――うぐっ。速攻でいやな返答がきた……


 これは第7位昇格により、取得したスキル《悪魔の囁き》によるものらしい……

 今まで聞こえていた声も《悪魔の囁き》だったらしい。


 今後はこのスキルによる、質疑応答が可能なようだ……


 ――これも、俺があの時、ナナたちが死んだと勝手に勘違いして、湧き起こる黒い衝動を受け入れたのがいけなかったんだ……俺には待っている者(エリザたち)もいるってのに……ほんとあの時の俺を殴ってやりたい……


「はぁ」


 ――しかしなんで、俺は、あの時この世の終わりみたいに感じたんだ……今は感じないが、重苦しかった空間のせいなのか……? 


「ふむ」


 ――分からん……分からんが……今思えば、あそこは相当ヤバイ…………真っ暗だった……底なし沼のような感覚にどんどん引きずりこまれた……二度と味わいたくない…………俺、精神鍛えようかな……


「はぁ」


『やったぜ、クローっ!! 俺、第10位悪魔に戻れた。Dが消えたんだよっ!!』


 意気消沈し自己嫌悪に陥っていたところに、明るく元気な念話が届きイラっとした。


『ああ、そうかよ』


 グラッドのせいではないが、つい、素っ気なく返してしまった。


『私たちもですクロー様』

『クロー様よろしくな』

『がんばりますからね〜』


『お、おう』


 ――三人も魔力が戻ったからわざわざ念話してきたのだな……


『なあ、ほんとうにこのまま俺の配下になるのか? 今ならまだ……』


『もちろんです』

『これでやっと恩を返せるんだ、あたいは一生ついていくからな』

『クロー様についていったら面白そ〜ですもん』


『……そうか』


 ――好きでディディスを殺ったわけじゃないんだが…………ん? そういえば、ナナの念話が急にこなくなったな……


『ナナ?』


『ぁ!? クローさま、あたし……なんと格が上がっちゃいました。第9位ですよ』


 心のどこかで、まだナナを心配していたようだ。


『そうか……それは』


『それにあたし、新しいスキルまで取得しちゃったんですよ!!』


『おおっ、それはよかったな』


『はい……でも、今回だけですからね』


 ――はて? ナナは何のことを言ってるのだ?


『聞いてますか?』


『ああ』


『ふぅ……クロー、ようやく収まったよ。俺、代わりに殴られてやったんだぞ……これで貸し借りなしな……』


『はあ? それはどういう……』

『いいって、気にするな……今回は、ほんとお前のお陰なんだよ、サンキューな……お前がディディスを倒してくれたから……俺は帰れる……やっと……やっと俺は……あいつらの所に……帰れるんだぁ……ぅぅぅぅ……』


 話が全く見えなくて、聞き返そうと思ったが、グラッドが泣き出してしまったので、何も聞けなくなった。


「はぁ」


 ――……しかし、配下が三人も増え、俺も勝手に昇格、ナナも何故か報酬として昇格した……俺はいったいいくら納値をせねばならんのだ……

 肝心な所が、配属悪魔が管理するって……いったいどうなるんだ……俺のスローライフは……どこにある……


 俺が一人悶々として唸っていると――


「あなた様がディディスを滅ぼしてくださったのですね」


 ――ん?


「お前は……!?」


 俺を呼ぶ声に振り返れば、以前に見たことのある風貌をした裸の悪魔がいた。

 羊のようなツノに黒髪を後ろに流し、整った顔立ちなのにどこか冷たい感じのする細く吊り上がった目。


 ナナをお嬢様呼びしていたあの悪魔にもなんとなく似ているが、こいつには小さなおっぱいがついている。


「私は成り行きでディディスに仕えていた悪魔執事族の、セラバスと申します」


「あ、ああ、俺はクローだ」


「クロー様ですね……」


 そう言ったセラバスが俺に頭を下げた。


 小さなおっぱいは揺れない……


「この度のことは、私が分不相応の望みを抱いた結果招いてしまったことでした――」


 セラバスがゲーゲスに仕えていた時からの出来事を掻い摘んで説明してくれた。


「なるほど、それでセラバスは召喚門の一部にされていたのだな……よく分かった……だが、そろそろ、服を着た方がいいと思うが……」


 セラバスが僅かみ笑みを浮かべると――


「これはお目汚し失礼いたしました」


 頭を下げた後、申し訳なさそうに眉尻を下げた。でもおっぱいは揺れない。


「いや、まあ、俺的にはそのままでも良かったんだけどな……」


 ――揺れはないが、おっぱいだ。不思議とそれだけで悶々モヤモヤしていた俺の気持ちが晴れていく……

 これはこれで癒やされてる……いや、むしろ癒しだけならこっちの方が……


「執事の心……このスキルも意味があったのですね……」


「ん? 何か言ったか?」


「いえ、申し訳ございません……私にはもう魔力具現化できるほど余剰魔力がないのです」


「そう……なのか?」


 ――魔力具現化するほどは……保有しているように感じるが……


 俺が不思議そうに見ていたのを察したのかセラバスが再び笑みを浮かべると――


「残りの魔力はこの空間の後始末と、ディディスの死と共に消滅した、ゲートの代わりにクロー様方を空間転移せねばなりません……クロー様は転移可能なようですが……これだけは私の責務として全う致します」


「そうなのか? ゲート、消滅していたのか……」


「はい、本来ならクロー様にその権利が移るのですが……この空間は歪み過ぎました。一度消滅してクロー様の使用空間として生まれ変わります」


「それって……」


 セラバスが優しく笑みを浮かべ首を振った。


「その権限は私にありません」


「そうか……」


「はい」


「なぁ、その空間転移なんだが、俺以外にも五人いるんだが大丈夫なのか? その……魔力的にってことだが……」


「七人です、問題ありません」


「七人?」


「はい、七人です」


 ――なるほど、俺たち以外にも悪魔が攻めてきていたのだな……にしては少なくないか? おいっ、その辺はどうなんだ悪魔の囁きよ?


【……】


 ――……ノーコメントかよ!? 


「どうかされましたか?」


「いや、何でもない。そうか、まあ、とりあえずこれを着とくといい」


 俺は収納していた上着を取り出しセラバスにやった。


「これを私に……」


「ああ」


 戸惑いつつも受け取ったセラバスの瞳が揺らめいていたように感じたが目が細いし、見間違いだろう。


「ありがとうございます」


 セラバスが俺の上着を羽織る……が、なぜかボタンをかけない……


 ――やばい、裸よりこっちのほうがエロく感じる。


「あ、ああ、気にするな」


 セラバスが少し口角を上げ微笑むも、すぐに眉尻を下げた。


「では、そろそろ時間もありませんので、皆様を空間転移させます」


「そうか……すまんな」


「いえ、私の方こそ……あなた様には感謝の言葉もありません」


 笑みを浮かべるセラバスから魔力を感じると、ナナたちの気配が順に遠くなっていく。

 そして、俺も空間転移の魔法がかかり、空間が歪み始めた。


「クロー様、呑まれたり避けるのではなく、引き込むのです」


「何のことだ……」


 セラバスにその意味を尋ねようと思った時には……


「あっ、クローさまだ」


 王都の郊外へ空間転移が完了していた。転移先も人族の気配が全くない場所、まさに神対応だった。


「おっ!! 思った通り無傷じゃん」


「クロー様!!」

「クロー様」

「クロー様〜」


 先に転移が完了していた五人が、俺を見つけて駆けてきた。


「あ、ああ。あれ、あと二人……別の悪魔がいるはずなんだが……」


「ああ、そいつならここに……って!? いねぇ!!」


「さっきまでいたのですが……」


「ああ、ここに居たんだがな……」


「どこに行ったのかな〜」


「あたしたちを助けてくれたんだけど、いなくなっちゃったね」


「そうなのか……」


 ――気配がない悪魔だった。俺もどんな悪魔か確認したかったんだけどな……


 しんみりとなりそうな雰囲気を吹き飛ばすようにグラッドが元気な声を張り上げた。


「よしっ!!」


「グラッド、急にどうした?」


「クロー、お前の顔も見れたし、俺はそろそろ行くわ」


「行くって……ああ、そういえば誰かの所に帰るって言ってたな」


「ああ、前の契約者の所だ」


 グラッドが照れくさそうに頭を掻いた。


「それって廃棄悪魔になる前の?」


「そうさ、あそこは小さな島国で、色々と問題を抱えていたんだよ。早く行ってやらないと心配なんだわ」


「ふーん。グラッド。あんた悪魔なのに変な奴だよね」


「いいだろ別に……」


 ――おそらく、グラッドも転生者なのだろうな……


「気をつけて帰れよ」


「ああ、クローも……それにみんなも元気でな」


 居ても立っても居られないのか、そう言ったグラッドは俺たちに片手を挙げると、羽を広げ空に飛び上がった。

 一度だけ俺たちの頭上で旋回すると南の方に飛び立っていった。


「いったか……ん?」


『クロー、言い忘れてたわ』


 飛び立ったはずのグラッドから念話がきた。


『なんだ?』


『メイドにお約束はないからな』


『はあ? メイドってなんだよ?』


『ははは、手を出してみんなを悲しませるなよ、じゃあ今度こそ、元気でな』


『お、おい!!』


 グラッドの念話は笑い声と共にぷつりと切れた。


「クローさま、急にボーッとしちゃってどうしたの? 寂しいの?」


 ぷにゅん。


 後ろから右肩にナナの右腕が回されたかと思うと、背中に柔らかな感触があった。


「違う違う、よし、ナナ。俺たちも一度宿に戻ろう。イオナ、ライコ、ティアもついてきてくれ。その時に皆に言うことがある」


「へぇ、クローさまがみんなに……なんだろうね」


「「「はい」」」


 ナナを含め、イオナ、ライコ、ティアは俺が何を言いたいのか察しているのだろう、口元を緩めにやにやしていた。



 ――――

 ――



「セリスさん、悪魔たちの様子が……」


 悪魔たちの残骸の山を増やしていた三人は急に頭を押さえ踠き苦しみ出した悪魔たちを前に戸惑っていた。


「ああ、様子がおかしい。こんな光景、私も初めてだ。危険かもしれん、少し離れて様子を見よう」


「はい」


 セリスの指示に従い、エリザとマリーは踠き苦しむ悪魔たちから距離を取った。


「きゃ」


 距離を取ってすぐ、悪魔の一体の頭が膨れ上がりパーンッと破裂しすると、次から次へ連鎖するように膨れ上がり破裂し事切れていく。


「なんだ!! いったい何が起こったというのだ」


 王城からこちらに向かってきていた悪魔も、途中で破裂し落下していく。


「あ〜!! もしかして、ディディスって悪魔が倒されたんじゃない?」


「ふふふ、クローがアッサリ倒しちゃったのかしら……」


 エリザが冗談っぽく笑いながら言うと――


「いや、でも……ふむ、主殿なら……そうかもしれんな」


 なぜか、セリスはエリザとマリーの言葉をすんなりと受け入れ納得することができたセリスは、念のため、周りに動いている悪魔が居ないか再確認すると、教会の方を眺めた。


「……もう大丈夫だろう、一度宿に戻ろう」


 聖騎士たちが近寄ってこないか警戒しつつ、セリスは魔法剣をしまいエリザとマリーに振り向きそう言った。


「はい……では、マリーも、セリスさんも、汗と悪魔の返り血ですごいからシャワーを浴びましょうね」


「うん、それがいいね。言っとくけどエリザもすごいからね」


「もう、マリー。分かってるから言わないで……」


 エリザは元々綺麗好きで汚れたところをクローに見られるのが恥ずかしいと感じていた。もちろんマリーはそのことを知っている。


「ほらほら、セリスさん。自分は関係ないような顔をしてますけど拭いて、『はいっ終わり』はダメですよ」


「ぬっ!? なぜ、それを!?」


 セリスは聖騎士生活が長く、少しの汚れくらいなら拭けばいい、と思っていた。その感覚はハンターに近い。

 それはマリーも同じだったが今は違う。クローに毎日クリーン魔法をかけてもらっていれば自然と綺麗好きになる。


「ふふふ、セリスさん。教えてあげるわ。クローって悪魔だけど綺麗好きなんですよ」


「何!? 主殿が!? そ、それはいかんな。よし、急いで帰ろう!!」


 三人が、常人では目で追うことすら困難なほどの、すごい速さで宿に戻ったのは言うまでもない。


 ――――

 ――


「セイル様!!」


「はぁ、はぁ、ラグナ!! どうしたのです?」


 魔力回復のために、横になっていたセイルはふらふらする身体に力を入れ上体だけを起こした。


 ラグナが横目に見れば、聖域魔法陣の維持にはBランク聖騎士があたっていた。


「まさか、もう教会門が破られましたか!?」


 教会の門には悪魔弾きの結界が張ってあった。その門が破られればセイルにも分かるようになっているのだが、それがない。


 だが、アーク悪魔のようなものまで現れている現在、何が起こっても不思議ではないとセイルは物事を軽視することができなくなっていた。


「いえ、信じられませんが、悪魔たちが、全て自滅してしまいました」


「……ラグナ……私は耳がおかしくなったようです。もう一度聞いてもいいですか?」


「はい、悪魔たちが、全て自滅しました」


 ラグナは事の顛末を語った。


「そうですか……分かりました。ラグナの考えは恐らく正しいでしょう……ですが、今回のケースは初めてのことです、確証がない今、聖域魔法陣は維持しましょう……

 そうですね……5日、5日間、続けて何事もなければ、自滅したと判断しましょう……ですが――」


「はい」


「ラグナたちはその間になんとしてもゲートの存在を確認をしてほしいのです。

 自滅したのであればゲートは消滅しているはずですが……どうしても、その確認と証言がほしいところです。それさえあれば聖域魔法陣は5日間を待たずして解除できます……

 こういうのは弁舌巧みなゴーカツィ司祭が得意なのですが、ラグナ、私の書状を持っていくといいです」


「はい」


――――

――



「――様。よろしかったのですか?」


「ふふ。あの様子では大丈夫だよ。それに、完璧を求める悪魔執事族は、それだけでも屈辱を感じると思わない?」


「そうでしたな、悪魔執事族は忠誠を誓った主にはなんでも、その要望に応えられないと我慢できませんでしたな、ほんと難儀ですな」


「そうだよね、でも僕は期待してるんだよ。違った刺激を与えると……さて……楽しくなりそうだよ」



後日談を少し挟み次の章に入ります^ ^

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