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悪魔に転生してました。  作者: ぐっちょん
何となくハンター編〜悪魔争乱〜
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ブックマーク、評価、誤字脱字報告ありがとうございます。

嬉しいです。


今回も少し短めです

すみません

 ークルセイド教会ゲスガス支部ー



 教会の入り口を阻むようにSランク聖騎士ラグナを中心にAランク聖騎士四人が戦闘隊形を整えていた。


「ラーズ、アクス、避難状況はどうだ?」


「はっ! この区域住人のみですが緊急避難完了致しました。これもセイル様の書状のお陰です」


「残る区域につきましても、この都市の守衛が先導し、すでに住人の避難を始めている頃だと思われます」


「よしっ! ……ソート、ガラルド、お前たちの方はどうだった?」


「はっ! ラグナ様の読み通り王宮魔法騎士団からの協力は望みが薄いかと思われます。

 こちらに知られないよう取り繕ってはいましたが、明らかにゲスガス城内は混乱している模様でした。おそらくセイル様の書状は……」


「ケッ! あいつら思い出すだけでもムカつくぜ!!」


「そうか……」


 ラグナとセイルは、セリスからの情報でこの都市に根付く悪魔がレイド悪魔だと知ることができた。だが悪いことにゲートは玉座の間にあるという。


 もし、この事が事実であれば悪魔と契約した者が王族関係者であることは、まず間違いない。最悪、高位貴族たちも含まれている可能性すらある。


 つい数時間前には都市全体に強力なソウルシーズが起こった。これは未曾有の事態だった。


 ラグナはこの都市に根付くレイド悪魔は考えている以上に凶悪な悪魔で、もしかしたらすでに契約者は殺されている可能性があると語ったセイルの言葉を思い返していた。


「ゲートのある王城はこれから荒れる、だろう……

 恐らく、王宮魔法騎士団はこちらにまで手が回らなくなるだろうよ」


 ――魔法騎士団には悪いが、こちらも人手不足なんだ。一体でも多くの悪魔を道連れにしてくれよ……


 とても聖職者でもある聖騎士の考えとは、ほど遠いラグナ。必要ならば綺麗事はいらないとさえ思っている。


「なぁ、ラグナ様よ。ゲートが玉座の間にあるって誰の情報なんだよ」


「今は関係ないことだ」


「チッ! ……まあいいさ、俺はこの手で悪魔さえ殺れればな……」


「ガラルド、今回はかなり条件が悪いと思うが」


「へへへ、構わねぇ、ゾクゾクするぜ」


 ガラルドが歪んだ笑みを浮かべ手に持つ聖剣の柄をペロリと舐めた。


「ラグナ様!! 城の方から煙が上がってます」


「……この気配、間違いない……よしっ!! 聖剣を展開し悪魔に備えるぞ」


 ラグナは聖剣の柄を手に取ると、身の丈ほどの巨大な刃と、左手に大きな聖盾を具現化させた。


「「「はっ!!」」」


 その後にソート、ラーズ、アクスも続くが手に持つ聖剣は標準サイズのものだ。左手には小さな聖盾を展開している。

 ラグナほどの莫大な魔力を保有していない3人は長期戦を考え無難なサイズをとったのだ。


「へへへ、きたきた。くっくっく、嬉しいねぇ」


 ガラルドのみがブロードソードっぽい聖剣を展開し、聖盾は必要ないとばかりに、それを両手に構えた。



 ーーーーー

 ーーーー


「うらぁぁぁぁぁ!!」


 ラグナの巨大な聖剣が数体の悪魔の胴体を薙ぎ払った。


「ぐっ!! トドメを刺そうにも数が多過ぎる。そのせいで時間が経つと……再生しやがる」


 教会の周りには数十体の悪魔が押し寄せていた。


 王城の方からは消えていく悪魔の気配があるため、魔法騎士団も交戦しその数を減らしていると思われるが、やはり数の力には敵わない。


 ――せめて、後Aランク聖騎士五人は欲しいところだ、これだと消耗が激しい……


 さすがに五人で数十体を相手ではキツイものがあった。明らかに人手不足である。どの悪魔も血走った目をして違和感があるが、幸い連携がほとんど取れていない10位、9位程度の悪魔のみだった。


『ガァァァ!!』


「ソートッ!! 下がれ、前に出過ぎだ!!」


 鋭い刃を突き出し突貫してきて悪魔に聖剣を突き刺したラグナが叫んだ。


「はい!! すみません」


 そう、数さえ揃えば一気に押し返せる相手なのだ、ラグナは思わず唇を噛んだ。


「おいアクス!! どうした、もうバテたのかっ!?」


「はぁ、はぁ、ラグナ様、バカ言わないでください、俺はまだまだやれます!!」


 アクスはAランク聖騎士に成り立て、この中でも最年少の聖騎士だった。やはり他のメンバーに比べると経験の差からか、無駄な動きが目立つ。


「無理はするな!! ラーズ! 少し早いがアクスと代われ!!」


「はっ!!」


 一人を後衛に回しうまく体力温存を図り長期戦に備えるラグナだったが――


「ガラルドはもう少し連携を……」


「ひぃはははは、いいねぇ! いいねぇ!!」


 一人のバカは聖騎士の鎧からむき出しになった生身が擦り傷だらけなのに、嬉しそうに一体の悪魔を切り刻んでは雄叫びを上げていた。いつも以上に興奮してとても連携などできそうにない。


 ――今はこのままの方が……悪魔達をうまく翻弄し若手の負担は減っている、か……


「はぁ、ガラルドはそのまま一体ずつ確実に仕留めろ!!」


「ヒィヒヒヒヒィィィ!!」


 ガラルドが自身の受けるキズを顧みず次から次へと悪魔に襲いかかっていく。


「うらぁぁぁぁぁ!!」


 ラグナも負けじと巨大な聖剣を振り回し数体の悪魔の胴体を薙ぎ払った。


 ――しかし、近隣からの増援はいつになるのか……


 未だに王城からこちらに飛んでくる悪魔を目視できる。その姿が目に入るだけで気が滅入る。


「ぐぁっ!」


「ソートッ!! アクス、すまんソートと代わってくれ」


「は、はい!!」


 自爆覚悟で突進してきた悪魔のツノがソートの腹部に突き刺さっていた。すぐにラグナが斬り捨てソートを後方へ突き飛ばした……


「ソートッ!! どうだ!? 回復魔法はできそうか!?」


「う、うぐぐっ、だ、大丈夫です、やれます」


 ソートから魔力の動く気配を感じホッとしたラグナは空いたソートの分を埋めようと必死になって交戦するアクスのフォローをしつつ前線を押し返す。


「だらぁぁぁぁ!!」


 ――くっ、いよいよ、やべぇぞ……さて、どうする……考えろ…………ん!?


 ラグナはこの状況を打破しようと周りを探った結果、悪魔の後方の一角に違和感を覚えた。


 ――なんだ? 悪魔の数が減っているのか?


 その位置の悪魔が確実にその数を減らしている。


 ――援軍がもう? いや……それは、おかしい。


「だあぁぁっ鬱陶しい!!」


 ラグナの巨大な聖剣が飛び出てきた一体の悪魔の胴体を切断した。


 ――もしや、王宮魔法騎士団か?


 だがそれをすぐに否定する。未だに王城では争う気配がある。こちらに増援など、とても期待できない。


 ――では、誰だ……


 元々悪魔相手に戦える者など限られている。

 だが、その存在は凄い勢いで悪魔を狩っていく、その勢いならば、こちらとの合流も容易だろう。


 それなのに教会からは一定の距離を保ちこちらへ合流する気配が全く感じられない。


 ――まさかっ!?


 そこでラグナは一つの可能性を導き出した。


 ――セリスか!?


 そう、仲間のために自らを犠牲にした元同僚……


 ――間違いない!


 己の導き出した答えに納得がいったのも束の間、ラグナはまたすぐに違和感を覚える。


 ――しかし、なぜ気配が探れん?


 何度か強力なサーチを展開しているが、全く引っかからないのだ。


 ――あ〜……やめだ、やめだ。


 ラグナはすぐにセリスが契約交渉したとんでもないバケモノ(悪魔)の存在を思い出し、考えるのをやめた。


 ――何が誅殺だ……


「綺麗事ばかり言ってんじゃねぇよぉぉぉぉ!!」


 誰に向けて放った言葉なのか、だが、ラグナは叫ばずにはいられなかった。

 絶望的な表情を浮かべ始めていた若手の聖騎士たちを前に、この増援はそれほど有り難かったのだ。


 心の中でセリスに感謝し、少し力を取り戻した気になったラグナは巨大な聖剣を振り回し数体の悪魔を切断した。


「はぁ、はぁ、ラグナ様、急にどうしたんですか?」


「何でもねぇ、気合いを入れ直したのさ。それより俺はまだまだ殺れるがラーズはもうバテてのか?」


「はぁ、はぁ、何を!! 俺もまだまだですよ」


「俺だってぇぇ!! ラグナ様お待たせしてすみません!!」


 回復を終え聖剣を構え直したソートがアクスへと迫る悪魔を一体斬り捨てた。


「気にするな、よし!! アクス、よく頑張った、ソートと交代だ!!」


「はぁ、はぁ、はい……」


「ヒャアハハハハハァァァァ!!」



 ――――

 ――



「エリザ殿もマリー殿もなかなかやるではないか」


 セリスがとんでもない速度で魔法剣を横へと振り抜き悪魔を両断した。

 

「そんなこと……セリスさんの指示がいいんのですよ」


 照れたエリザの小剣が悪魔の身体を容易く貫き、ラットに張ってもらった魔力によって無理やり両断しその命を絶つ。


「うん、すごく的確で分かりやすいです」


 マリーの低い姿勢から切り上げ悪魔を三等分にする。こちらもズックに張ってもらった魔力によって斬殺を可能にしていく。


「悪魔がこちらを認識できてないのも大きいが……」


 認識されずたまたまぶつかってきた悪魔を吹き飛ばした三人は、常に己の周りを覆う障壁に苦笑いを浮かべた。


「主殿の障壁はまた規格外だな……」


「ほら、クローって何だかんだ好き勝手しているようで、私たちのこと気にかけているのよね」


「ふふふ、そうね」


「それは……私も含まれているのだろうか?」


「もちろんですよ。最近は特にセリスさんのこと気にかけていましたよ?」


「うん、契約が無事履行されるまでは気が抜けんって言ってたし……わたしにはよく分からなかったけど……」


 マリーはお面の内側でイタズラっぽい笑顔を浮かべる。


「そ、そうなのか……」


 気づけばセリスは、口元が緩み笑みを浮かべていた。もちろんお面を被っているのでその顔を見ることはできない。


「あぁ、セリスさん!? そっち行き過ぎると教会に近づき過ぎになりますよ」


「あ、う、うむ。すまぬ」


 何気ない会話を広げ和みムードの白猫のお面を被った三人。

 だが、その周りには悪魔の屍を山のように築き上げていた。

 


最後までお付き合い頂きありがとうございます。

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