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悪魔に転生してました。  作者: ぐっちょん
何となくハンター編〜悪魔争乱〜
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ブックマーク、評価、ご感想ありがとうございます。

誤字脱字報告有難いですm(__)m


今回も少し短めです。

すみません。



「むぅ、もう……いいですよ〜」


 ナナが口を尖らせ不貞腐れたようにそっぽを向いた。


「う、うむ。すまん」


 つい条件反射で謝ってしまったが、そっぽ向いたはずのナナがジト目を向けている……ナナも本気で怒っているわけではない……ないよな? 


「はぁ……それよりもいいんですか? 彼女たち丸腰ですよ?」


「丸腰……」


 俺はナナの指摘に彼女たちに目を向けた。


 イオナはショートボブの黒髪の美女。整った顔立ちのせいで冷たい印象を受ける。額にある二本のツノは貧相で昔の自分を思い出し少し親近感が湧く。

 丈の短いボディコンを着込み、引き締りくびれた腰にすらっとした長い脚が色っぽい。


 ライコはショートカットの金髪だ。吊り目気味の大きい瞳に、口を開く度に見える鋭い犬歯が人懐っこい感じにも見える美女だ。珍しくこいつのツノは額に一本しかない。

 そして、まるで全身タイツのようにトラ柄の体毛に包まれて、スレンダーな体のラインがハッキリわかる。これまた色っぽい。


 ティアは肩までのふわふわパーマのピンク髪だ。見方によっては寝起きの寝ぐせにも見える。眠そうな瞳がなおそう感じさせる。

 格好は夢魔族だけあってビキニ水着にパラオを巻いているような格好だ。これもまたまた色っぽい。


 ――ふむ。


 ナナを含めやはり女性型の悪魔はちょっとした仕草が妙に色っぽい。これは人族の男を籠絡して、その目的を成すためなのだろうと勝手に解釈してみる。


 ――彼女たちのおっぱいはさほど大きくはないが……


 たゆん


 ――元気そ……


「クロ〜・さ・まっ? ……どこを見てるのかな〜?」


 ナナの顔が急に飛び出し俺の視界を遮った。


「あっ!? ふ、ふむ……な、何を言ってるのだナナ……彼女たちは魔力量が少なくなっているから武器が具現化できんのだろ? もちろんそれぐらい分かってたさ……」


「ふ〜ん、そうですか……」


 ナナが訝しげな視線を送ってくるが、彼女たち3人が申し訳なさそうに俯き出したので、そろそろ勘弁してやってほしい。俺を含めて……


「よしっ! そこまで魔力がなければ、反発も小さいだろう……お前たちの得意な武器はなんだ?」


「おいクローっ! お前何を言ってるん……ひぃっ!?」


 グラッドが横から呆れた様子で小バカにしてくるも、ナナが威嚇したので敢えて無視をする。


「魔力具現化した物は本人の手から離れると消えるはずじゃ……」


 彼女達も訳が分からずしどろもどろ返答してくる。


「いいから、早く言え……」


「は、はいっ! 私は身の丈以上の長い槍を使っていました」


「あたいは大戦斧だ。先端を槍のように尖らせていた」


「わたしは〜、あら、何でしょう? 大鎌?」


 ティアは頭に?が無数に浮かんでいるように見えるが、時間もないのでとっとと確認する。


「イオナは長槍、ライコが大戦斧、ティアが大鎌がいいんだな? ……よし、分かった」


 俺は彼女たちが頷くのを確認すると、武器を具現化した振りをして所望魔法を使った。


 ――グラッドは配下ではない、手の内は見せられん……それに彼女たちも配下といっても仮契約だ。


 仮契約はただ優先して配下にできるってだけで、それ以外の効力はない。まだ信用するわけにはいかない。


「ふん(我は所望する)」


 俺は一つずつ所望し彼女たちに、その武器を手渡していく。もちろん防御不可くらいは付与してやる。


 グラッドは信じられないのか、何度も自分の目を擦り、彼女たちの武器に実際に触れていた。


 ナナは何故か、笑顔が戻り少し機嫌が良くなっていた。


「本当はナナにもやりたいところなのだがな……」


 そう、普通の武器ならナナにも渡せたのだが、付与魔法を施すと俺の魔力と、ナナの魔力が反発しあって付与効果が無くなってしまうのだ。

 それならば自分の魔力で具現化した武器の方が自由がきき勝手が良いに決まっている。

 これはどんな悪魔同士でもそうなるらしく、仕方ないよと、その時ナナは笑っていた。


「もう、良いですよ〜」


 ナナは笑みを浮かべ俺の肩を軽くぽんぽんと叩いてくる。ほんと何故、急に機嫌が良くなったのやら。


 ――むっ!?


「これで、ようやく動けると思ったんだが……」


「キケケッケッ!! こんな所に隠れやがっていやがったケケッ」


 前傾姿勢のイタチの姿をした悪魔が城砦の壁の上に立ちこちらを見下ろしていた。


 ――迂闊だ。こんな近くまで接近を許すとは……でも、まあ……


「クローやべぇ、逃げるぞっ!!」


 グラッドと、彼女たち3人は知っている顔なのか、青い顔を浮かべている。


「お、おいグラッド!?」


「むっ! おやおやもう薄汚いネズミまで紛れ込んでいたキケッ!!」


「何をしている!! 奴は元第5位悪魔なんだよ、気配で分かるだろっ! ほら逃げるぞっ!!」


 グラッドは焦った様に両手を突き出し練りきれていない魔力で魔法を放った。


「ちょ、グラッド!! お前、待てっ!!」


「爆撃魔法:炎爆っ!!」


 俺が止める間もなくグラッドが放った魔法は炎のミサイルの様だが魔力が練りきれてなく歪な形をして飛んでいく。


 ゴォォォッ!!


 それでも激しい音を立て凄いスピードでイタチ悪魔の立っていた城砦の壁にぶつかって爆発を起こした。


 ボォォンッ!!!


「さぁ!! 今のうちだ……っ!?」


 走り出したグラッドは直ぐに立ち止まった。


「キケッ! 遅い、遅いキケッ!!」


 イタチ悪魔が城砦の壁から降り、その先に回り込んでいた。


「おいおいグラッド、もっと慎重に行動しろ、今の爆発で他の悪魔にも気づかれたじゃねぇか!!」


 グラッドは冷や汗を浮かべ、嘲笑しているイタチ悪魔を見据えたまま後退し距離を取った。


「バカ、クロー。今はそんなことを言ってる場合じゃ……」


「はぁ、グラッド。元第5位ってだけで焦りすぎだ……」


 逆に俺は一瞬にしてイタチ悪魔に詰め寄ると、ムカつく顔で笑みを浮かべているイタチ悪魔の横っ面に拳を叩き込んだ。


 バコンッ!!

「ブヘッ!!」


 イタチ悪魔が城砦の壁まで吹き飛びドーンッ!! と音を立て壁に埋まった。


「ほら、今は全然大したことないじゃないか?」


「いいぃっ!? どうなって、る、んだ……っ?」


「あははっ! さすがクローさま」


 ナナだけが嬉しそうにはしゃぎ、グラッドと彼女たち3人は状況を理解できないのか唖然として立ち尽くしている。


「しかし、混戦になるとまずいな……」


 ――この数、庇いきれるか……


 俺は無数に集まる嫌な気配にそう呟いていた。


 ――かと言って俺の目の届かないところには……


 聖騎士にやられぐったりとしていたナナの姿が脳裏に過ぎる。


 ――ダメだ!!


 だが、そんな俺を見ていたらしいナナは、明るく陽気な声で口を開いた。


「クローさま、あたしゲート付近の様子を見てきますね」


「ば、バカっ!! ナナ何を言うんだ!」


「ほら、ここに向かってくる気配よりもあっちは弱そうな奴ばかりだし、グラッドと彼女たちと組めばそうそう簡単にはやられたりしないよ? ね」


「それでもダメだ!!」


「ん〜、でも、ここで混戦になるとクローさまが動けなくなる…………そんなの……だから」


 ナナは話の途中で背を向けるとグラッドたちの背中を叩いていった。


「ほらっ!! 貴方たち、ボーッとしてないで行くわよ」


「ダメだって言ってるだろ!! 俺から離れるな!!」


「クローさま、さっさと片付けて迎えに来てね」


 ナナは満面の笑みを浮かべると小さく手を振り4人を連れて離れていく、ご丁寧に幻術魔法で視覚できないように施している。


 ――でも、それだけじゃダメだ。


「キケッ! よ、よぐもやっでぐれだなぁ!!」


 ――バカが、涙なんか浮かべやがって……


 崩れた城砦の壁の中からイタチ悪魔が這うように姿を現した。

 顎の骨が折れているのか、口からダラダラと唾液を垂れ流していた。


「ギゲッ、ゴロじでやる、ゴロじでやるゔ!!」


 城砦の壁の上にもチラホラ他の悪魔が姿を見せ始めた。


「いいだろう!! 派手に殺ってやるよ!!」


 俺は両手に魔力を練り纏った。


 ―――――

 ――――


「おっと、エリザ殿、マリー殿待つのだ」


 セリスは急に部屋に引き返すと自分の荷物をごそごそと漁り出した。


「急に戻ってどうしたのセリスさん? 早く行かないと変な模様を浮かべた悪魔たちがどんどん増えているわよ?」


「うん、ラットちゃんと、ズックちゃんのお陰でわたしとエリザも悪魔討伐できるようになったんだよ?」


 マリーが肩に乗ったズックの頭を撫でながらセリスに向かって首を傾げた。


「教団支部が落とされたら、町の人もだけど、クローたちが危なくなるわ」


 エリザも肩に乗るラットに「だからお願いね」と呟き頭を撫でている。


「そうなのだ、分かっておるのだが……おおっ!! あったあった」


「それは……お面? ですか?」


 セリスが笑みを浮かべ荷物から取り出したのはデフォルメされた白猫のお面だった。


「そうだ! お面だ」


 少し興奮し紅潮したセリスは嬉しそうにそれを三つ取り出した。


「あっ! かわいい」


「そうね、でもこれは……」


 エリザは状況が理解できず小首を傾げた。


「ふふふ、かわいいだろう? これは以前ある祭りで見つけたお面でな、一度だけ正体を隠し侵入捜査をする際に使用したことがあるのだ」


「まあ!!」


 エリザはセリスが言わんとすることをすぐに察した。


「私たちは今、聖騎士に見つかってもマズイ、住人に見られて魔力持ちが悪魔と戦ったと国の関係者に知られてもマズイ」


「そうですね……ああ」


 マリーも状況が理解できたのかポンッと両手を軽く叩いた。


「うむ、主殿が認識阻害を施してくれてはいるが、念には念を入れて顔を隠した方が無難だと思ってな」


「さすがセリスさんです」


「ええ、私も気づきませんでした」


 三人は白い猫のお面を被った。


「まあ、セリスさんも、マリーもかわいいわ」


「エリザ殿も、よく似合う」


「うん、かわいいね」


 白猫隊誕生の瞬間であった。


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