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悪魔に転生してました。  作者: ぐっちょん
何となくハンター編〜悪魔争乱〜
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39

ブックマークありがとうございます。

嬉しいです。



【契約者エリザから感情値1000カナ獲得した】

【契約者マリーから感情値1000カナ獲得した】

【契約者セリスから感情値1000カナ獲得した】


 翌朝、俺は無機質な声で目を覚ました。


 目が覚めるのが早かったのか、まだ、外は夜明け前で少し薄暗い。


 シュッ!!


 ーーん?


 シュッ!!! シュッ!!!!


 ――何の音だ?


 身体を起こそうと思ったができなかった。


 ――こんな事、前にも……たしか、隣に……


 むにゅん。


 ――おっ!!


 隣にはすやすや寝息をたてるエリザがいた。が、俺の右腕をがっちりと抱き枕にしている。おっぱいと両腕に挟まれた右腕が癒されている。


 ――あれ、俺、昨夜は……チビスケとチビコロと寝た……はず……


 涙で枕を濡らしながら寝た昨夜の事を思い出し嬉しくなる。


 ――そうか、そうか。俺の傍がいいんだよな。うんうん。


 エリザの寝顔は年相当に見えて可愛かった。思わず左手で頭を撫でようとしたが、これまたできなかった。


 ――ん?


 代わりに左腕にも柔らかい感触があった。


 むにゅん。


 左隣にはエリザを見倣うかのように俺の左腕をおっぱいと両腕、さらに両膝までも使って挟んだマリーが寝ていた。


 ーーおお! マリーもか……うんうん。


 マリーはにまにましながら言葉になってない寝言を言っている。何を言ってるのだろうか……マリーの寝顔はより幼さが際立ち子供っぽい……


 ――まあ、おっぱいは違うけどな……しかし、俺、悪魔なのに……癒されてるわ……何かしようと思っていたがはずだが……どうでもよくなった……このまま二度寝でも……


 ふわふわ気持ちいい感触に再びうとうと眠りに落ちようとしていたところに、頭から顔にかけて何か柔らかいものを押し当てられた。


 むににぃぃ。


 ――ななな、なんだ!!


 むにゅゅゅゅぅっ。


 それは俺の顔全体を覆いかぶさってきた。


 ――く、苦しいっ!!


 ガバッ!! と勢い良く上体を起こすと俺の顔を覆い被さった正体がわかった。


 ――ナナ!! ……のおっぱい。


 ナナが俺の顔を抱き枕代わりにしようとしていたのだ。危うく癒しのおっぱいで圧死するところだった。


「ほんと、お前のおっぱいは加減を知らん……俺を殺す気か……」


 ナナのおっぱいのお陰で、うとうとほんわか気分が台無しだ。

 眠気もぶっ飛んだ俺はベッドから抜け出した。


 抜け出す際、わざとらしく三人の身体をペタペタ触れてみたがウンともスンともしない。


 ――ふむ。反応がない……つまらんな……しかし、こいつら何時に寝たのだ?


 ベッドから抜け出すと銀色の小さなもふもふの塊が二つ目に入った。


 ――お、お前たち……


 昨夜は俺の心の友になってくれたチビスケとチビコロはベットから転げ落ちたのか、落とされたのか床下で二匹丸まって寝ていた。


「大丈夫か……」


 二匹の身体にあまっていた布団を被せてやったところで背後からセリスの声がした。


「おおっ!! 主殿。主殿も起きたのだな」


「ん!? セリスか、早いな。もう起きてぇえっ? ……ぶほっ!!」


 俺はセリスの声に振り向き、思わず吹き出した。


「どうした? 私は目が醒めてしまって素振りをしていたのだ。

 他の三人はまだ起きれぬ、か。うむ。まあ、無理もないな……今朝方までついつい、四人で話し込んでしまったからな……」


「そうなのか……そ、それでセリスは平気なのか?」


「私は聖騎士時代の習慣で、何時に寝ようが、この時間になると自然と目が醒めてしまうのだ。

 目が醒めてしまうと……どうも、身体を動かさないと落ち着かぬ……主殿、習慣とは恐ろしいな……」


 セリスは俺と話している間もずっと素振りをしていた。


 シュッ!! たゆ〜ん。たゆん。

 シュッ!! たゆ〜ん。たゆん。

 シュッ!! たゆ〜ん。たゆん。


 セリスが木刀を振り下ろす度におっぱいがものすごく揺れる。


 ――揺れてるなぁ……


 俺はセリスの露出の多い、その姿に釘付けになっていた。


「なあ。セリス?」


「なんだ主殿」


「…………主?」


「ん? そうか。私は君を主と呼ぶことにしたのだ」


「そうか……別に、どう呼ぼうが。俺は構わないが……何にか理由でもあるのか?」


 ――俺、セリスに主と呼ばれるようなことしたか?


 セリスは素振りをやめると、俺の方を見て少し照れたように頬を掻き、視線を逸らす……そして何も言わない。


 ――はて?


 そうなるとセリスを正面にまともに捉え、露出の多いその姿と、身につけているものが気になりだした。


 ――地味めのシャツにストレートパンツから……どうすれば……このような俺の願望に忠実な姿に進化するのだ……


 どうしたものか、と考えあぐねいているとセリスがようやく口を開いた。


「エリザ殿と、マリー殿から主殿の契約者になった経緯を聞いた」


「ああ」


「今までの行いも全て……」


「ああ」


「だから、主殿と呼ぶ事にしたのだ」


「ああ……ん? ……ちょっと待て」


「どうした主殿?」


 セリスが不思議そうに首を傾げた。


「だから何故そうなるのか、と……」


「……まあ……いいではないか主殿」


 セリスは、言葉を濁すと俺から顔を背け再び素振りを始めた。照れているのかセリスの耳は少し赤かった。


 ――ふむ。


 そうなると、よけいに聞きづらくなってしまったのでセリスの素振りを眺める。


 ――おおっ!!


 これが実に眺めがいい。


 白に銀縁の金属のブラだろうか、その重量と重力に張りのあるセリスの豊満なおっぱいが抗い、大きく小さく揺れている。

 たゆみ、揺れ具合が絶妙で見ていて非常に心地よい。癒される。

 この感覚は――


 ――おっ! そうだ! あれだ。ほら、あれ。光りに反応して気持ち良さげに揺ら揺ら揺れている置物。あれを見て癒される感じ? ずっと眺めていても不思議と飽きがこないすごい置物だ。


 シュッ!! たゆ〜ん。たゆん。

 シュッ!! たゆ〜ん。たゆん。


 ――やはり気になる……


 シュッ!! たゆ〜ん。たゆん。


「……なあ、セリス。一つ気になったんだが……」


 シュッ!! たゆ〜ん。たゆん。


「何だ主殿?」


「その格好は何なんだ? セリスにすごく似合っていると思うが……一応聞きたい」


 ――床下には、セリスの身につけている金属ブラと同じような、白に銀縁の籠手、ブーツ、ショルダーの金属パーツが置いているから外しているのだろう。

 今、唯一身につけているのが胸と股のパーツだけ、その胸の金属ブラ面積がおかしく少し小さい。ひょっとした拍子におっぱいが溢れそうで俺の方が気が気じゃない。


 それにパンツもだ、ローライズタイプで布生地っぽく見えるが同じ金属みたいだ。裏に布が当てられているのだろうか? 金属だったら動く度に痛いはずだし、ローライズで浅く前は見えそうで見えないギリギリを攻めているが、お尻は半分見えている。

 ずり落ちないのが不思議に思うが……露出とはほど遠そうなセリスに一体、何があったのか非常に気になる。


「ああ、これか。これはな――」


 セリスは素振りをしながら、昨夜の事を語り出した。


 ――――

 ――


 クローが眠りに入った後の女子会。



「なんと、エリザ殿と、マリー殿にはそんな経緯があったのか!!」


 セリスはクローを崇拝するかのように、寝ているその姿に熱い眼差しを向けた。


「クローさま。変わってると思ったけど……やっぱり変わってた。ぷっふふ、クローさま……猫になったんだ……楽しそう」


 エリザとマリーはケラケラ笑う悪魔と、胸の前で両手を組み、祈りを捧げている元聖騎士が、肩を並べる不思議な光景を感銘深く眺めていた。


「ねぇねぇ、セリスの話も何か聞かせてよ。聖騎士ってどうだったの? あっ、聖騎士じゃなくてもいいや、教えてよ」


 ナナは聖騎士について少し興味があったのか、急にセリスに方を見てそう言った。



「ん? 聖騎士か……聖騎士の話は……話せぬようになってるから、まあ私個人のことなら……」


 セリスはそう言って左腕に小さく刻まれた守秘の紋様を見せてくれた。これは聖騎士が不利になる情報は言葉にできなくなるというものだった。

 そこでセリスは初めてクローに出会った頃の話を語り始めた。


 不思議な人。いや悪魔、それがセリスが初めて会いクローに抱いた印象だったらしい。


 そんな不思議だと感じる人に出会ったことのなかったセリスは、気になってつい縁結のスキルを使ってしまったらしい。


「縁結スキルって何?」


「ああ。それは――」


 相手に触れると一度だけその縁を作ってくれるセリスの所持する不思議スキル。

 それは一度再会するとその効果は消えてしまうので、また相手に触れスキルを使う必要があるのだとか、セリスはそれをクローに二度、使ったらしい。


「そうだったのね」


「だから、握手してたんだ!」


「う、うむ。すまん」


 セリスは照れくさそうに頭を掻いた。


 その二度目の縁結スキルの結果、クローが強力な悪魔だったと知ってしまった事や、契約したが後悔はない事を淡々と語り、最後は他の聖騎士たちに契約されなくてホッとした、自分で良かったと照れながらセリスは語った。


「良かったわ、私とマリーは心配したのよ。ね、マリー」


「う、うん。聖騎士って……ほら、クローの天敵だったしね」


「さきほどはクローが居たから深く聞けなかったもんね」とマリーはエリザを見て苦笑いした。エリザも同じく苦笑いをしている。


「ふーん。あたしも聖騎士とまともな契約する悪魔って初めて聞いたなぁ……クローさまってほんと変な悪魔なんだよね……あ〜、でも……もうダメだと思った時に助けに来てくれるって……反則だよね……」


 ナナが、何やら思い出したらしく赤くなった顔を両手で覆い一人でジタバタ、きゃーきゃー言いながら悶えだした。


 ナナも十分、変な悪魔なんだけど、と思う三人だったが、あえて口にはしなかった。


「主殿は私ではなく、他の聖騎士でも契約を締結していただろうな。エリザ殿とマリー殿の話を聞いて余計にそう思える」


「うんうん。クローって元々人間だっ……あっ!」


「……そうなのか!?」


 マリーが気まずそうにエリザを見た。エリザは眉尻を下げ仕方ないよねって顔をした後、マリーに頷いて見せた。


「ごめんねエリザ。セリスさん。クローは何だかんだで優しいんだよ」


「ええ、ただ暴走は、困りますけどね」


「うんうん。もたないもんね」


「なるほど……私は色々な悪魔と対峙してきたが……やはり私の目に狂いはなかった……しかし、暴走? 持たない? とはどう言う事だ?」


「あ、いえ。セリスさんは……その内に……分かる?」


「どうでしょうか、セリスさんは体力があるようですし……」


「体力は鍛えているから自信があるが……よく分からないが……今は分かったことにしとく方が良さそうだな」


「あはは、はい。それで、あの〜。少し気になったのですが、セリスさんには、聖騎士の中で親しい人は居なかったのですか? 言いにくいのですが、ほら……クローは悪魔ですし、契約期間は交流は難しいかな〜と、思ったので……」


 マリーが少し申し訳ないようにセリスの顔色を窺った。


「ああ、マリー殿。それは気にしなくていいぞ。私にはそんな繋がりはない。親しい人もいないのだ」


 セリスは何処か遠くを眺めポツリポツリと語り出した。


 セリスは孤児だった。運良く魔力があったために教会に引き取られ、聖騎士となった。

 その時は、これで飢えなくて済む。食べていけると、魔力があったことに感謝した。周りの皆も優しかった。


 ただ虚実眼スキル発現した15歳からは皆の態度が一変した。皆がセリスと接する時だけ何処かヨソヨソしくなったのだ。


 それどんどんエスカレートしていき、ついには周りから同行を嫌がられるようになり、セリスは単独行動の任務が増えていったそうだ。


 それは、明らかに単独では難しい任務が多かった。そのせいで何度も死にかけることがあった。

 そして、その難しい任務を完遂しても何かが変わることはなかったそうだ。


 それでも振られる任務が多く気づけばSランク聖騎士を名乗っていた。


 だが周りは孤児であったセリスが、出世する事が面白くなく、よけいに孤立してしまった。


 別に出世して権力や、力が欲しいと望んでいたわけではない。食べていければいい。そう思っていただけ……


 セリスには死んで困る親族が居ない孤児だから……便利なコマとして利用できると判断されていた。


 セリスを道具のように扱う上層部とのやりとりを、周りは勝手に気に入られていると判断していた。


「もはや笑うしかない」


「それは……」


 エリザとマリーは一度向き合ったが何も言えなかった。


「うん」


 そんな二人にもセリスは気にせず話をつづけた。


「私はそんな毎日に疲れていたのだろう。だが、救える命は救いたいとも思う自分もいた。それが聖騎士としての義務だから……人が困っているとつい足を突っ込んでしまうのだ」


「習慣とは恐ろしいものだ」と語った後、「この習慣のお陰で主殿と出会えたんだ」とセリスは苦笑いする。


「そんな時、私を正面から受け止めてくれたのが、主殿だ」


 セリスは先程のやり取りを思い出しているのか、照れくさそうに頬を掻いた。


「そう、なのですね。それを聞いて安心しました」


「ああ、正直、契約という縛りではあるが、この胸の奥に感じる繋がりが嬉しい……私は……思ってる以上に孤独を感じ、繋がりを求め飢えていたようだ」


「今が一番心地いい」とセリスは胸に手を当てゆっくりと瞳を閉じた。


「ああ、それ分かります」


「ええ、セリスさんも私たちと似てますね」


「ああ、だから、私はこの繋がりをずっと――」


 エリザとマリーはセリスの最後の言葉を嬉しそうに受け止めていた。

 ただ一人だけは、床下をゴロゴロ転がり悶えていた。


「くろーさま〜」


「「「……」」」


「……それはそうと、皆の話を聞いている時から思っていたのだが、私も皆と一緒のハンターになりたいと思うのだ。それならば私も力になれるし……装備も!? 装備……そうだ……確かこの袋に入れあったはず……だが……」


 セリスが何やら思い出したらしくズタ袋の一つをゴソゴソと漁りだした。


「おお! あったあった。これだ。これ!」


 セリスが袋から取り出したモノに反応したのは、意外にもマリーだった。


「ええ!? セリスさん!! セリスさんがどうしてそれを……」


 マリーが驚き、セリスが手に持っているモノを食い入るように見た。


「ん? これは昔、迷宮に逃げ込んだ悪魔が持っていたのだ。

 聖騎士の鎧を着ていた私としては必要ない代物だと思い、いままでその存在をすっかり忘れていたのだ」


「セリスさん! セリスさんっ!! それって美姫シリーズの一つ“美姫の鎧・美綺弍型”ですよね!?」


 マリーが興奮し前のめりになるものだから、セリスは仰け反るように説明する。


「そ、そうなのか? それはよく知らんが……そういえば、ちょうど手に入れた時に、その近くにいた男性ハンターが親切な奴で、これはレア装備で、性能が良いから是非身につけてくれ、と言っていたな……」


「そうなのですセリスさん!! このシリーズは意中の異性に癒しを与える効果と、自分自身にも魅力アップ、更に物魔障壁が付与されているはずなのです!!

 美姫シリーズの証は確か……ほら、ここに! 左肩に小さく美姫って文字が刻まれています」


「ん? ……ほう、確かにあるな」


「はい。それが美姫シリーズの証ですから」


「そんなに凄い物だったのか……」


「はい! 凄いです。かなり凄いのです!! これはハンター業界でも有名な偉人、装飾鍛治職人ビッキーさんが手がけた物の一つなのです。

 その性能の凄さを巡って女性たちの争いが絶えなかったと言い伝えられているほどに……

 ある女性はそれを身につけたことで王族に見初められ王妃にまでなった者までいたとか、いないとか……

 そのせいでとんでもない値段がつけられ、末端のハンターでも気軽に買えていた代物が、とても手が出せない代物へとなったいったそうなのです」


 マリーが興奮して、拳を作って力説する。


 その姿はとても珍しいが、幼さが際立って微笑ましく感じる。が、それ向けられているセリスはマリーの勢いに押されたじたじである。


「は、はあ」


「ですが……」


 マリーはピシッと右手の人差し指を立てて「良く聞いてくださいね」と話を続けた。


「このビッキーさん!! すごくできた方で、さすが偉人と呼ばれただけある方なんですよ……さあ、セリスさん、なぜだと思います?」


「さ、さあ、何でだろな」


「ふふふ、なんと、びっくり!! ビッキーさんは末端のハンターでもその装備を手にする機会を与えるために、世界有数、各地にある迷宮に自分の作品を隠していったのです……はぁ、夢がありますよね〜。

 この行いは、ビッキーさんが生きてる間、ずっと続けられ亡くなった今でも迷宮でまだ見つかってない美姫シリーズが数多く存在すると言われています」


「ほ、ほう。ビッキー殿は生涯を賭けて成されたのだな」


「はい!! セリスさん分かってくれましたか。わたし嬉しいです。

 そして、セリスのそれが伝えられていた美綺シリーズの一つなのですよ。凄い事です!! ……ささ! どうぞセリスさん着てみせてください」


「あ、ああ。わかった……」


「ああ感動です。実際にこの目で美綺の鎧を拝める日がくるなんて……素敵です」


 うっとりと頬を紅潮させるマリーをよそにセリスはごそごそ、もぞもぞ、とその美姫の鎧・美綺弍型を身につけた。


「ど、どうだろう?」


「うわぁ!! セリスさんスラーと背が高いのに女性らしいから凄く似合います。これならクローも大喜びですよ。

 あぅ……羨ましい……ですね」


「ほ、本当か?」


「ねぇねぇ、エリザ、似合うよね?」


「ええ。良く似合ってるわ。これなら間違いなくクローは癒しだと大喜びするはずだわ……

 はあ、私知らなかったわ。ハンター業界も奥が深いのね。身を守る装備でも美しさを兼ね揃えた装備があるなんて……羨ましいですね」


「そうなのですよ。業界でも美姫シリーズの美しさは最高峰なのです」


「そうね、白に銀縁がまた神秘的で美しいわ」


「あっ!! エリザも分かってくれるんだ。良かった。

 エリザ、安心して!! まだまだ美姫シリーズは数多く迷宮に残ったままなのです」


「そうなの?」


「そうなのです。わたしもハンターとして活動をしていた身です。憧れはありました。だからそこそこ美姫シリーズの情報は耳にしているのです」


「ほう」


「わたしも、セリスさんの美姫シリーズを目の当たりにするまでは、夢物語と思って探すことなく終わってました……

 でも、今は違いますよ!! これは機会があれば探すべきです。これでもわたしは美姫シリーズの一つ美姫の鎧・灰暮型の情報は持っているのです。……と言っても情報源は前のパーティーのアルマですけど……あははは」


 マリーは途中から恥ずかしいそうに頭を掻いた。


「そうね、機会があったら探してみたいわね」


「はい!! みんなで探しましょう」


「ええ。でも、こうしてセリスさんを見てると、私とマリーもハンターらしく、しっかりとした鎧を身につけた方が良いのかしら? 私たち、ずっと布の服ですものね……」


「うん……そうだね」


 二人はお互いの服装を見比べた。


 これはクローの好みを優先して取り入れた布の服だが、今のセリスの姿を見ると、布以外でも十分クローの好みに応える、二人はそう思った。


「これは、またの機会に考えましょうか?」


「はい」


「なあ、考えるのも良いが、そろそろ寝た方が良いのではないか?」


「うわぁ!! ほんとだ大変」


 ――――

 ――


「……と、まあこんな感じだったんだ」


 セリスは美姫シリーズについて話してくれた。


 全て装備すれば薄い透明な障壁が展開されるので防御面も問題なく、そして何より、エリザとマリーが俺の癒しためにもいいと言ってくれたのだと……セリスは俺の反応を確認するかのようにチラチラ見ている。


 ――ふむ。やはり、これはビキニアーマーなるモノか……しかしTシャツ、ストレートパンツだったセリスが、いくら俺の癒しのためとはいえ、ここまでのモノを装備してくれるとは……エリザとマリーにも感謝だが、セリスにも何かしてやりたくなったな……ふむふむ。これは……たゆみ具合が抜群に良いな。


「よく分かった。よし、あまりゆっくりはできないがセリスのハンター登録は今日しよう」


「おお!! 主殿。それは有難い……して、こ、これはどうだろうか?」


 セリスは急にしおらしくなり、チラチラと俺の反応を気にしている。


 セリスの金属面積の少ないおっぱいが両腕に挟まり形を変えている。

 ビキニタイプだから全体的に露出面積が多い。


「ああ。いいと思うが……」


 ――うむ、これを他の男に……見せるわけには行かないな。


 俺はセリスのこの姿を他の男には見せたくないと思った。そして、それは契約者だし当然だよなと勝手に自己完結した。


「に、似合わなかったか!?」


 セリスの顔色がみるみる青くなっていく。


「違うぞ、セリス違う!! 違うから。よく似合ってる。ただよく似合い過ぎて注目を浴びそうだと思っただけなんだ……

 そこで、俺は考えていたのだ……セリスお前にこれをやる」


 俺はエリザと、マリーにやった装備品と同じタイプをセリス専用として所望してやった。

 ただ、ベルトはこの装備に合いそうにないので、マントにした。


「あ、武器はこれな」


「これは魔法剣!?」


「ああ。魔法剣だ。聖剣の代わりになればと思ってな。魔力がないと発動できんからエリザとマリーには無理だが、セリスにはそれが丁度いいだろ。有事の際、悪魔にも効く、使ってくれ」


「これを私に!! 良いのか!!」


 所望し右手に持っていたその魔法剣をセリスに手渡した。


「おお!! なんて素晴らしいんだ」


 セリスは感極まり、何度か魔法剣に魔力を注ぎ、剣身を何度か発現させては消していた。


「す、少し振ってみても……」


「もう、セリスのものだ、好きにしたらいいぞ」


「主殿……では!!」


 その魔法剣の扱いに慣れたセリスは、素振りをしたくてうずうずしていたのだろう。

 俺のその言葉を聞き、顔に喜色を浮かべたセリスは再び素振りを始めた。


 シュッ!! たゆ〜ん。たゆん。

 シュッ!! たゆ〜ん。たゆん。


 俺は、そんなセリスの姿をベッドに腰掛け、皆が起きるまで眺めた。



 ーーーーーデビルスキャンーーーーーーーーーー

 所属 悪魔大事典第29号 

 格 ランク第9位 納値30万カナ

 悪魔 ナンバー960

 名前 クロー

 性別 男性型

 年齢 23歳 

 種族 デビルヒューマン族

 固有魔法 所望魔法 

 所持魔法 悪魔法

 攻撃魔法 防御魔法 補助魔法

 回復魔法 移動魔法 生活魔法

 固有スキル 不老 変身 威圧 体術 信用

 攻撃無効 魔法無効 状態無効


 所持スキル デビルシリーズ

 契約者 エリザ マリー  セリス

 所持値 1,200,300カナ↑

 使い魔 ラット(ネズミ) ズック(フクロウ)

 配下  第10位悪魔ナナ(禄10万カナ)

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

最後までお付き合い頂きありがとうございます。


美綺の鎧・弐型なんかごめんなさい、とりあえず謝っとこうかと思いますm(_ _)m


美綺の鎧・灰暮型って何でしょうね。(¬_¬)

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