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ブックマーク、評価ありがとうございます。
嬉しくてはりきったものの……m(_ _)m
少し長くなりました。
すみません。
そして俺の目に入ったのは、Tシャツっぽい上着にカジュアルなストレートパンツ姿のセリスが、そして何より……
ぼよ〜ん。ぼよ〜ん。
聖騎士の鎧によって押さえつけられていたおっぱいが……
たゆ〜ん。たゆ〜ん。
エリザやマリー、ナナにも勝るとも劣らない豊満なおっぱいが顔を出していた。
――――
――
「どうだろう? 私を君の女にしてくれ」
端整で美しい顔立をしたセリスが笑み浮かべ俺を見ている。その瞳は少し妖しく魅力的にさえ感じてしまう。
――あの、けしからんおっぱいが……俺の……癒しに……ふむ、悪くない……悪くな……い、んん? いやいや、違う……違うぞ……どうしてそうなる!! 記憶が……思い出せ!! 思い出すんだ。
――――
――
「こ、これはっ!!」
ぼよ〜ん。ぼよ〜ん。
たゆ〜ん。たゆ〜ん。
「なんてことだ……」
――鎧を着てるとは言え、ツルペタからボンッ!! だとっ!!
「ありえん。ありえんぞ……」
――ぐぬぬっ、はっ!? そうか、分かったぞ。これは聖騎士団のトラップだな。
鎧下から予想外のボリュームを見せつけ、悪魔の動揺を誘う。
あわよくば籠絡させ契約交渉のイニシアチブを取る……なるほど……なるほど、さすがは聖騎士。侮れん……
ふふふ、はははっ、だが俺には効かんぞ、この……聖騎士のびっくりトラップ? とでもいうのか……俺はすでにその目的を見破ってたのだからな……
そうだ、あの時は確か……あり得ない状況を理解しようと必死に考えたんだ……まあ、必死に考えすぎて、セリスとの契約がすでに締結してしまっていることを失念してしまっていたが……その後の扱いを心配しての行動だったと考えれば……問題ないはずだ……
まあ、そのびっくりトラップを見破ってしまったのは申し訳なかったがな……
「ん? ……どうかし……ああ、これか」
俺がセリスのけしからんおっぱいを眺めていると、申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「すまんな……女性聖騎士でも皆、鎧の下はこんなモノだ。見えないのをいいことにな……見たらびっくりしただろ? らしさが足りなくて」
――な、なんだと!!
俺はここで全身に電撃が走った。正に青天の霹靂とはこの時のことを言うのだろう。
まあ、そのセリスがこの時、なぜ自嘲気味に言ったのか、俺には今でも理解できないが……
たゆ〜ん。たゆ〜ん。
――こんなモノ……こんな……モノ……しかも……これで足りない……だと、このけしからんボリュームを女性聖騎士は皆、標準装備し、なおかつ、まだ足りないと……言うのか!? ぐぬぬっ! 認めん……おれは認めんぞ!!
俺は認めたくなかった。
宿敵であるクルセイド教団に所属する女性聖騎士たちが、まさか己の癒し団体だったことを……だが、ここで俺は思い直す……
――俺はまだ直接手をかけたわけではない。そうだ、まだ損失はない。ならば何も問題はない、認めよう。認めようではないか……
俺は寛大だ、だから認めてやった。聖騎士のおっぱい事情を知った俺は広い心で認めてやったのだ。
ふむ。ここも問題なかったはずだ……
そして、聖騎士の事情を知った俺は思案中ずっとセリスのけしからんおっぱいを凝視していたんだよな。
それを不思議に思ったのか、セリスは俺に構わず脱いでいた鎧の手を止め不意に俺の方を見た。
「まあ、なんだ……」
表情は浮かなく申し訳なさそうに眉尻を下げていた。
「すまない」
「……ん? いきなり……ああ……なるほど。それくらいでどうこう言う俺ではない。気にするな」
セリスがトラップのことを詫びてきたんだ。まあ、すぐに許してやったが……
――そんな簡単に引っかかる俺ではないからな……トラップと分かってしまえばどうってことないのだよ……
「そうか……」
――インパクトはあったが、相手が悪い。まぁ、せっかくだからな、俺の癒しとなってもらおうではないか……ふむふむ、このようなトラップなら何度で受けてやるさ……ふふふ……そうさ。
「むしろ好ましいぞ」
セリスは目を見開き驚いていた。
――ほう……意外だったか? まあ、俺は寛大だからな……このようなトラップ……何度仕掛けてこようが俺の癒しにしてやるだけさ……
「こっ、こ、これが好ましいのか!!」
セリスはよほど動揺しているらしく、地味なTシャツっぽい上着の胸元あたりを手で、何度もぐいぐい見せつけるように引っ張って聞き返してきた。
――ふふ、このようなトラップなら何度でも受けてや……
俺が鼻で笑い返そうかと思っていると、セリスが引っ張った上着の胸元から豊満な谷間が顔を出していた。
――ぶはっ!! こ、これは……す、すごい破壊力ではないか!? だが、この程度では……何のために俺は妻たちと……平常心だ、平常心で返すんだ……
「……ぁあ……好ましいな」
俺のは昂ぶる心を落ち着かせようと、わざと不敵な笑みを浮かべ、セリスのおっぱいを堂々と眺め迎え撃った。
目を逸らしたら負けだと思ったのだ……
――……ぉ、落ち着け俺。多少声が裏返ったが問題ないはずだ。
セリスが、俺から視線を逸らし何やら腕を組み考え始めた。
これにはさすがの俺も驚いた。
けしからんおっぱいが組んだ両腕によって押し上げられ、俺に見てくれ、と言わんばかりに主張しているのだ。
――ぶほっ!! ……け、けしからん……けしからんぞ……だが……その程度では……
「……そうか君には、これでも好ましいのか……私は……女性としては全然足りないと思っていたのだが……」
セリスは笑みを浮かべ嬉しそうに、そう言葉にした。
――なぬ!! 足りないとな……それ以上はいかんぞ……それ以上はおっぱいではない、それは乳だ。理解しろ……大きくても限度を超えるとダメなのだよ。
「気にしすぎだ……それで十分だ……」
俺は優しく諭すようにセリスに伝えた。
「ふっ、正面からそう堂々と言われると……悪くないな。いや、これは……私は……嬉しい……のか?」
――その反応……セリスはあのけしからんおっぱいをして……自信がなかったのか!? むむ、よし、ここは自信を持たせるべきだなっ!! 間違ってもそれ以上大きなおっぱいを望むべきじゃない。
「ふん。そんなことで……何度でも言ってやるさ、お前はもっと自分に自信を持つべきだぞ」
セリスが胸に手を当て、またもや目を見開いている。
――よし、その目なら……理解できたようだな。
「君だけだよ。そう言ってくれるのは。……私は今まで聖騎士としてその役目を果たすためだけに生きてきたからな……
だから女として足りないと自覚していたのだよ」
――ふぅ、やはりな……しかし、聖騎士として活動するのは普通だろうに、周りはなぜ理解してやれなかった……
「お前は十分やった。ただ、相手が悪かったのだ」
――そうとしか考えられん。あの、けしからんおっぱいに何が足りないというのだ。
「そう……かもしれんな。君も知っていると思うが、私にはこの虚実眼がある……
そのせいで、私は避けられ、正面からまともに会話すらしたことがない、ましてや堂々と見つめられることもなかったのだ。
だから、私も相手に期待し求めることを諦めていたのだ」
――虚実眼……はて? 何故に急に? おっぱいと……関係あるのか?
「それは今の俺たちに関係ないはずだが?」
セリスの瞳が僅かに揺らいだ。
「ふっ、君はそういう奴なのだな」
――必要ないからな。それに、悪魔とバレてしまった俺に虚実眼など無意味……
「そうだ、お前なら分かるだろ。虚実眼くらいで俺は変わらない」
――そう、俺はおっぱいに癒しを求める。その事実は変わらないのだよ。
「ふふ、やはり君と契約できて良かったと思うよ。私はこれを機に……そうだな……もっと君に、いや、君のための女となろう」
――……へあっ!? 契約? おあっ!? そういえば締結してたよな……危ねぇ、おっぱいの話に全部持っていかれてたわ、ってあれ? セリスは今何を言ったんだ?
セリスの契約と言った言葉をきっかけに俺の頭は一気にクリーンになった。周りも鮮明になっていく。
――――
――
――ふむ。思い出したが、やっぱり分からん。ただ俺がおっぱいに夢中になっていただけじゃねぇか……ほんと意味分からんぞ……
おっぱいの話をして、なぜセリスがエリザやマリーのような表情をしてるんだ……
「ま、まて早まるな。よく考えろ。契約も履行されてないんだ。時間はあるからゆっくりいこうではないか」
――あの表情は危ねぇ、胸の奥から熱い何かがこみ上がる、俺は契約履行前に手を出したら違反になるんだよ……あっ、でも相手の同意があれば……大丈夫……いやいや、歯止めが利かなくなる、やっぱりダメだ。
「そうか、少し残念であるが、君にそう言われてしまっては仕方ない。履行されるまでは我慢しよう」
「あ、ああ……そうしてくれ。ところで、お前、ああもう契約したんだセリスでいいな。セリスはまだ何かしなくてはいけないんじゃないのか?」
俺が地に散らばっている聖騎の鎧を見渡した。
「ふふ、それで構わない。済まない。君との会話があまりにも楽しかったのだ。
言ったろ……正面向いてまともな会話をしたのは久し振りなのだと。だが少し夢中になって話し過ぎてしまったな……」
聖騎士の鎧を脱ぎ終わっていたセリスは、着ていた鎧の左の腕部分、籠手だけを拾いあげた。
何をするのかと興味本意で眺めているとセリスは刻印のある部分に触れ“取出し”と呟いた。
「ほう。なるほどな」
「聖騎士は有事に備え、左の籠手に身近な荷物を収納させてるのだ」
聖騎士の左腕には収納魔法が付与されていたらしい。
確かに、今回のようなことがあれば、その聖騎士は二度と教会に戻ることはできない。
それが、いつ如何なる時に起こるかなど誰にも予想できない。
だからこそ、聖騎士は私物を常時携帯できるような装備品が支給されているのだろう。
「ふむ」
俺の目の前には、セリスが取り出した洒落っ気のないズダ袋が5つ現れた。
その中の1つからセリスは使い慣れているように見える黒っぽいブーツを取り出し履き直した。
「これで、後は……」
セリスはそう言うと、最後に今まで身に着けていた聖騎士の鎧と聖剣の柄を左の籠手に全て収納させた。
「これで終いだ。済まないが、これを司祭であるセイル様にお返ししなければならない、それに契約内容も……いいだろうか?」
セリスは俺と契約した手前勝手な振る舞いを避けたのだろう、俺にわざわざ確認してきた。
――ふむ。
「いいぞ。だが俺も行く」
「君も……いいのか? 私も信用されるか不安があったからな」
「ふむ。大丈夫だと思うが……反故になれば互いに不利益を被る。それだと意味が無い、そのために念を押すのだけだ」
――気をつけろよ、一番不利益を被るのはセリス、お前なんだぜ。
「有難い」
「後、セリス。この荷物はお前一人では持てんだろ。一時的だが俺が収納しといてやる」
「すまない」
「いい。気にするな」
何気にセリスの方が気になり横目に見れば、豊満な胸に手を当て笑みを浮かべいた。
――聖騎士というだけで警戒ばかりしていたんだが……こいつ……意外によく笑うんだな……っと、そうだった。
「セリス、済まない。俺の配下のナナを連れていく。こいつも当事者だからな」
「確かに、その方が都合がいいな」
「おいナナ!! ……ナナ?」
ナナを呼びつつ視線を向けると、ナナは器用に正座をしたままカクンカクン、と船を漕いでいた。
その顔はだらしなくにやにやしている。
――おいおい、こいつ、こんな所で寝てやがる……信じられねぇ。しかも、だらしねぇ……
「あぁ多分、いや確実にその悪魔は魔力切れ起こして寝てしまったのだと思うぞ」
「魔力切れ?」
「ああ。セイル様は教団屈指の実力者で、その展開する聖域結界は非常に強力なのさ。並みの悪魔ならものの数秒で弱体化し、魔力切れを起こす。
まだ、昏睡状態にはなっていないようだから、君の配下も第10位にしてはかなりの実力を秘めていたようだね。
たださすがにこの結界の中では、先に魔力が切れて、長時間耐え続けることができなかったようだが……」
「なるほど……よく分かった。セリス助かったよ。そうか魔力切れになったか……悪いことしたな……これは仕方ない、背負うか……よっと」
セリスの不思議そうに俺に視線をむけているが、気づかない振りをしつつ俺は背負うのに邪魔な翼をしまい、ナナの両手を肩に回し、身体を滑り込ませるように素早く背負った。
ぷにゅん。ぷにゅん。
背中に予想通りの弾力を感じ、思わず笑みが溢れそうになるが、セリスの視線に気づき、何とか平静を装った。
「ふむ」
――いかんいかん。
「むにゃ、むにゃ、くろーしゃま〜……の〜……いい匂いら〜。する〜ら〜。むにゃむにゃ」
だが、これが諸刃の剣となり俺の理性を切り刻む。
耳元を掠め聞こえてくるナナの甘い寝息と寝言、背中に押し付けられたおっぱいの弾力、首に絡みつく柔らかい腕、仄かに香るナナ自身の甘い匂い……
俺の理性は限界に達しようとしていた。
――むぉぉぉ……こいつは、思った以上に……
「おい、大丈夫か? 辛そうだぞ?」
「……ああ」
セリスの透き通った声で我に返った俺は、理性を取り戻し「大丈夫だ」と手を挙げて答えた。
そして俺たちはセイルたちの方へ歩いた。
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「くっ、ここまでの力の差を見せつけられたら、今の私たちだけではどうにもなりません。
生き残るすべはセリスに委ねるしかありません」
セイルはセリスがアーク悪魔のクローに向かい歩いていくその背中を眺め、己の無力さを嘆いた。
「セイル様。
高位司祭で在られるセイル様と、その聖域結界、Sランク者2、Aランク者4、Bランク者6、Cランク者4のD、Eランク者の居ないこの編成。
やりようによっては、この少人数は第2位悪魔にすら勝てたやもしれないほどの強力な布陣だったのです。
それが第9位悪魔一人に手も足も出ないなど……通常ならあり得ませんよ。正直、相手が悪かったとしか……」
「確かにそうですね。こんな計り知れないアークと遭遇したのは初めてです。奴は他の悪魔より理性があるように見えますが、果たして……」
「交渉に上手く持込みさえすれば大丈夫ですよ。セリスはあれでもSランクまで上り詰めた聖騎士です。
それにセリスには虚実眼もあります。悪魔にいいように丸め込まれる事態にはならないはずです」
「そうだな。セリスを信じよう」
「…………」
「…………」
セイルとラグナ、それに残りの聖騎士たちも顔色悪く、辛そうにしながらもセリスとクローのやり取りを眺めていた。
暫くすると――
「セイル様。見てください」
セリスの頭上に契約書のような書面が浮かび上がり弾けると、淡い光となった何かがセリスの手の甲に入っていった。
「恐らく契約が締結されたようです」
「そうです……か」
「「「……!」」」
セイルとラグナは目を閉じ右手を胸当てるとセリスに向かって一度、祈りを捧げた。
せめて我々の窮地を救ってくれた、勇気あるこの女性が不幸にならないようにと……
後方の聖騎士たちも二人に倣い同じように祈る。
その祈りは、一刻も早くここから……あの悪魔から解放されますようにという自身のための祈りだったが、傍から見ればそうは見えない。
セリスには悪いとは思うも、これで助かったと思う聖騎士たちの方が多かったのだ。
これはセリスが虚実眼を所持し、教団内でも孤立していたこともその一因であった。
特に女性聖騎士たちに至っては、四人とも祈り終わると腰の力が抜けたのか、地面にペタンとへたり込んでいた。
まあ、それも無理のない話だった。もしセリスの契約が上手くいかなければ、次は、自分たちにその役目が回ってくる。内心、ビクビクと怯え気の休まる暇がなかったのだ。
一人でも多くこの場から生還するための贄として……
後方にいる聖騎士たちは年が若く経験が浅い。そのせいもあり、悪魔に対する恐怖を完全に克服できていなかった。
「今回は、あの悪魔の配下の命を奪っていなかったことが幸いでした」
「では、やはり我々が討伐してきた第8位悪魔の二体には、別に主がいると考えてもよろしいのですか?」
「そうなりますね。あのアークも言ってました。この都市を根城にしている悪魔がまだ居ると……」
「セイル様、どういたしますか?」
「我々としては、ここで叩いておきたいところではありますが、一先ずセリスから契約内容を確認してからにしましょう。まだ、油断なりませんからね」
「確かに、早急でした、すみません」
「…………」
暫く沈黙がつづき、セリスの動向を眺めていたラグナが口を開いた。
「セイル様……セリスが聖騎士の鎧を外し始めました。恐らく教団に鎧返還するためでしょう。
これでもう、間違いありませんね」
「そうでしょうね……セリスに感謝しなければなりませんね」
「しかしセイル様。どういうことでしょうか? 普段は皆を避け、口を閉ざしているあのセリスが……
今回はセリスの方からあの悪魔に話しかけているようにも見受けられたのですが……」
「ラグナ……私の目にもそう見えました。あの悪魔も落ち着いてますので、悪いようにはなってないと思うのですが、こればかりは待つしかありませんね」
「…………」
「…………」
「セリスが籠手だけを手に持ちこちらに向かってきます。いよいよ……ですね」
セイルとラグナは、依然としてアークから放たれ向けられている悪気に思わず生唾を呑んだ。
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ーーーー
「分かりました。では、最後にもう一度だけ契約内容を確認させてください」
「ああ良いだろう」
俺が倒した聖騎士たちも治療が済み、今は大人しくセイルの後ろに控えていた。その顔色は悪い。
一名だけ回復すると共に騒ぎだしラグナの一撃によって再び眠ることになったが……
ナナを含めると二人ほど眠っているが、これで今回の当事者は全て揃ったことになる。
「では、先ず1に、契約者になったセリス以外は解放される。
2に、この都市から離れるまで、若しくは10日間、お互い手を出さない。
3に、これはクロー殿の配下や身内にも適用される。
4に、本日より10日間は、互いに増援を呼び相手を襲うような行動、行為、を行ってはならない。
……この内容に間違いありませんか?」
「ああ、その辺りが限界だろう?」
――その間に、俺たちはこの都市を離れればいい。10日程度では増援追撃は無理だろうしな。
「はい。寛大な処置ありがとうございます」
セイルは俺に向かって深々と頭を下げた。
「ふん。それは契約者となったセリスに言え」
「勿論セリスもです。ありがとうございます」
セイルはセリスにも頭を下げた。
――もっとプライドが高いと思ったが……意外だな……
「私も聖騎士の務めとして当然の行いをしたまでです。セイル様これをお返しいたします」
セリスは両手で大事そうに抱えていた籠手をセイルに差し出した。
「はい。確かに受け取りました。ではセリス」
「はっ!!」
「助けられた身のうえとしては大変申し訳なく、又、不本意ですが、これも規則です」
「はい。分かっております」
「規約に則り聖騎士セリスを今この時を以って除名と致します」
「はい」
セリスは除名を素直に受け入れ、聖騎士たちは複雑な表情を浮かべるもセリスに視線を向けることは無かった。
「クロー殿少々お聞きしてもよろしいですか?」
セイルがおずおずといった感じで俺に発言の許可を求めた。
「何だ」
「はい。我々は、この都市を根城にしている悪魔を討伐したいのですが……」
「ああ、そんなことか。好きにしたらいい」
「それはつまり……」
「前にも言ったが、俺たちはここの悪魔とは関係ない。早い話がどうなろうと知ったこっちゃない」
セイルがホッとしたのか安堵の息を吐いた。
「そうですか。ありがとうございます」
「では、俺たちはもう行くぞ」
「はい、ありがとうございます。では今すぐ私の聖域結界を解除しましょう」
「必要ない。こいつも俺もこんな姿だ。結界を解除したら騒ぎになる。このまま出ていく。
ほら、セリスは手を出せ」
――こいつらに人化した姿は見せたくないからな。
「ああ、こうでいいのか? これで何をするのだ?」
セリスが首を傾けながら俺に手を差し出した。
「こうするんだよ」
俺はセリスの手を握ると同時に幌馬車の中に転移した。
「へっ?」
「おいおい、ウソだろ。あの悪魔。セイル様の結界から普通に転移しやがった。どんだけ規格外なんだよ!!」
聖騎士たちもその後、クルセイド教団ゲスガス支部へと引き上げた。
最後までお付き合いありがとうございます。
残念思考のクローはおっぱいについて。
言葉足らずのセリスは服装から自分自身の事を話していました。
ちょっと書いてみたかったのですが、分かりづらくなりました、すみません。m(_ _)m
そのうち修正するかもです。




