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悪魔に転生してました。  作者: ぐっちょん
何となくハンター編~悪魔争乱序章~
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ブックマークありがとうございます。

「クロー何見てるの……地図?」


 エリザが、俺が手に持つ紙を横から覗き込んできた。


「ん……エリザか」


 ――ふぉ!?


 その声に視線を横に向ければ、エリザが俺の方へ身を乗り出している。

 見下ろした角度がこれまた絶妙で開けた胸元からは、豊満なおっぱいの全貌が見える。


 思わず手が伸びそうになるが、後からナナの視線を感じたのであわてて堪える……のだが……


「え~なになになに? 何か面白いものでもあったの~?」


 ぽよん


 後からナナの元気な声と共に頭の上に柔らかい感触がした。


 ――ぐっ、こいつは……また。


 振り返らなくても分かる。ナナが幌馬車の荷台の方から俺の頭におっぱいを乗せてきたのだ。


 ――からかいやがって……


「見せて、見せて~」


 俺が手に待つ紙へとナナが手を伸ばしてくる。


「そこからでも見えてるだろ?」


「よく見えないんだもん、いいじゃない~」


 ――――

 ――


 ナナは今、俺の指示で人化している。ホットパンツにタンクトップみたいな服を魔力具現化して着ている。


 この魔力具現化とはデビルシリーズに含まれるスキルで悪魔なら誰でも使える。通常は魔力で武具を創るためのスキルなのだ。


 そして、このタンクトップにホットパンツスタイルは女ハンターが活動するうえでオーソドックスなスタイルらしく「これが無難だよ」とマリーが教えてくれた。


 だが、ナナのタンクトップ姿はピチピチで今にもはちきれんばかり。びっちりしておっぱいの形がわかり色々と主張しているだ……けしからん奴め。


 さて、話を戻すと俺たちはいつものように王都を目指し幌馬車を進めているのだが、人数が増えたせいで誰か一人は後ろの荷台の方に乗らないといけない。


 まあ、これは別段話し合う必要などないのだが……


 御者席(俺)の左右には妻たちを乗せる。これは当然のことで今後も変える予定はない。


 というわけで必然的に荷台に乗るのはナナだ。


 俺も鬼じゃない、ちゃんと後ろの荷台にも座れるようにソファーを設置してやった。

 ちょっとした小部屋の感覚で快適空間をつくってやったのだ。


 ナナも細かいことは気にしないのか、あっさりとそのソファーに横になった。


 しばらくはごろごろ楽しそうに転がっていたのだが、暇で、飽きたのだろう。

 念仏のように後から「つまらない、つまらない……」と聞こえてくるが、ずっと無視していたのだ。


「こら、いい加減、そのおっぱいを退けろ」


「またまた~嬉しいくせに~。あたし分かってるんだよ~。今エリザのおっぱいを触ろうとしてたでしょ~。ほれほれ白状しなさい……うりうり~」


 ナナが嬉しそうにおっぱいをぐりぐり後頭部に押し当ててくる。


 むにゅん

 むにゅん


 こいつは隙があれば、何かと絡んでくる。


 移動中、無視していたから余計にしつこい。


「うぐっ……ああぁぁもうっ!! うっとおしい~。おっぱいを押し付けるな」


 ――おっぱいは癒しで気持ちがいいが、ナナのはダメだ。何故だか、本能が手を出すなと訴えてくるのだ。気持ちがいいのに本能が拒否をする。癒されそうなのに拒否をする。俺は訳の分からん衝動に襲われるのだ。多分この衝動の先は……やめよう。


「もう、あっちに……い……」


 むにゅ


 俺は手の甲でナナ自身を払いのけようとしたのだが……俺の手の甲が柔らかい感触と共に埋まった。


「あっ」


 ナナのマシュマロみたいなおっぱいが俺の手を優しく包み込んだのだ。


「いや~ん。クローさまは。やっぱり触りたいんだ〜」


 ナナが両手でおっぱいを隠しイヤイヤとわざとらしい仕草をして見せているのだが、その顔はイタズラが成功した子供のように喜色を浮かべていた。


「ぐぬっ」


 ――やり難い……


 そこで満足したのか、ナナはにやにや鼻歌まじりで俺を見ながら再びソファーに戻り……寝転がった。


「はあ」


「賑やかになりましたね」


 隣でくすくす笑いながらエリザが言った。


「ほんとだな」


 ――おっぱいたゆん率は……上がったのにな……そういえばマリーがやけに大人しいが……


 マリーは隣で黒フクロウのズックを膝の上で抱きこくりこくりと船をこいでいた。


「なんだ寝てるのか……」


 エリザは再び俺の手元の紙に目を向けていた。


「ねぇねぇ、クロー?」


「ん? ああ、そうだったな。これはゲスガス小国の地図なんだ」


 俺は再びタゴスケから買い取った地図を見る。

 もちろんこの地図はクリーン魔法でキレイして復元したものだ。


 御者? そんなもんラットが俺の膝の上で器用に手綱を引いている。優秀ラット様様なんだ。


「ゲスガス小国ってのは山脈に囲まれた国だったんだな。なるほど盆地か。ほれ、エリザも見てみるか?」


「はい」


 エリザに地図を渡した。


「私たちが通ってきたテイサイ王国側がここ、西にあるのですね」


「ああ、俺たちが向かうクルーリ帝国がここ、東か……遠いな、他に国境関所はないんだな……」


「そうですね。でも、こうして見るとゲスガス小国も広いですね」


「そうだな、今は王都に向かってるから、帝国まではまだ半分も来てないな……んっ、これは?」


「さあ? 何でしょうね?」


 地図には☆印が何ヵ所か手書きで付け加えてある。


 ――なんだ?


「ここから近い所にもあるな……」


 ――もしかして、これって迷宮か? 田舎村から近いな……なるほどここがダゴスケが、話していた迷宮かもな。


「これは多分……迷宮の位置だな……」


「迷宮ですか……」


「ああ。今は別に用事もないし、いく必要はないけどな……」


「そうですね。今は……」


 エリザが歯切れ悪くそう言った。


「何だエリザは行ってみたいのか?」


「いえ、今はまだ。でも興味はあります」


「ふーん……今、剣術頑張ってるもんな」


 ――エリザは自分が何をしたいとか言わなかったもんな。帝国に向かっているのも、ただ住みやすそうだと思ったからであってエリザがそれを強く望んだわけじゃないんだよな……そう考えると、これはこれで良い傾向か?


「そのうち行ってみるか?」


「えっ? いいんですか?」


「いいに決まってるだろ」


「じゃあ、はい!! お願いします、みんなで迷宮に潜ったら楽しそうだと思ったの、ふふ」


 エリザが、機嫌よく身を寄せてきた。ナナから視線を感じるが今は無視だ。これは夫婦の大事なコミニュケーションだからな。



 ――――――

 ―――――


 田舎村を出て3日目の朝。


「やった。王都だよ。王都が見えてきたよ」


 マリーがうっすらと見え始めた街を見て元気よく指差した。


「ほんとだわ~。大きいですね」


 エリザも元気よくマリーに応えていた。そう、妻たちは元気一杯だ。


「むぅ」


 だが、俺は非常に不機嫌だった。


「おい、チビスケ、チビコロ、お前たちは何で俺の邪魔をする?」


 御者をラットに任せ、幌馬車の後ろでチビスケたちを前にしゃがみこんでいた。


「聞いてるのか?」


 俺はチビスケの口を横に引っ張った。


「アウ、アウ……」


 その手をカチカチと、チビスケは俺の手を咬もうとするが指を奥に挟め咬めないように邪魔をしている。


 子狼(チビスケとはニコ、チビコロとはミコ)を俺が勝手にそう呼んでいる。


「ふははは。どうしたチビスケ、チビコロ」


 チビスケは前足の肉球で俺の片手を挟み、後ろ足で猫キックじゃない、子狼キックで応戦してくる。


 一方チビコロの方は俺の隙をついたつもりなのだろう、左腕に爪を立てようとしている。


「ほほお。なかなかやるようになってきたな?」


 と、言いつつもそれをあっさりと払い除けてやる。


「野生の本能って奴か?」


 この子狼たち、もふもふ可愛らしい姿をしてなかなか面倒な奴だったのだ。


 俺が夫婦の営みに励んでいると、ナナが面白半分で乱入してくる。本能は拒否をしてるのだが、身体は暴走手前、止まることはできない。


 ナナ共々まとめてヤってやると気合い十分のところで、この子狼たちが乱入してくるのだ。それも一度や二度ではない。度々だ。

 ナナが来なくてもこいつらは来る。何故だ。


「もう、次は邪魔するなよ、分かったか?」


 お陰で、この二日間のハッスルは両手で数えるほどしかできていない。不満だ。大いに不満なのだ。


 ただ妻たちはいつも以上に元気なのが……解せん。


「ったく、ほら肉……」


 俺は最高級肉を両手に一枚ずつ取り出した。エサで釣る作戦を決行するのだ。


「分かったなら食っていいぞ。ほら返事は?」


 子狼たちはプイッと俺から顔を背けた。でも視線は肉を捉えて離さない。


「そうか……ふーん、いいのかな~。肉あげないぞ~」


 子狼たちの口からは滝のようにヨダレが滴れている。ふさふさもふもふの尻尾はパタパタぶんぶんと忙しなく動いている。


「いらないのか、いらないんだな~。ほれほれ、ほーれ、俺が食っちまぅ……うおっ!!」


「ねぇねぇ。クローさま。プリン頂戴~」


 むにゅ


 ナナが背中にピタッと張り付いてきた。もちろんこいつはおっぱいをわざと押し付けている。


「あれは絶品よね。甘くて冷たくて、プルプルして~。思い出したらまた食べたくなっちゃったの、ねえねぇ」


 二日前、食後のデザートとして妻たちに出したプリンをこいつは大層気に入ってしまった。


 ナナのために出したわけじゃないのだが、自分のために出されたモノだと思っている節がある。


「ナナは悪魔なんだし、別に食べなくてもいいだろ?」


「ええ、いいじゃないの」


「いやいや、一度ならまあ、可愛いもんだが、もう二十回だぞ。そう何度も欲しがるなよ……そのうち太るぞ」


「あれれ。もしかしてクローさま。あたしのこと心配してくれてるんですか~。あっ! でも大丈夫ですよ。あたしはずっとクローさまの理想の身体でいますから……主思いの良い配下でしょ。えへへ。褒めていいですよ」


 そう言って後から更に体重を預けてくる。むにゅんとおっぱいが押しつぶされ形を崩している。


「何でだよ。いいから離れ……うあっ!?」


 隙をつかれ俺はチビスケと、チビコロにあっという間に肉を盗られ……凄い勢いで食べられた。ご丁寧に俺に威嚇までしてきやがる。


「ぐぬぬっ」


「ねぇねぇ。クロー来て~。もうすぐ街だよ。ラットちゃんと代わってあげないと、他の人に見られちゃうよ?」


 御者席からマリーがこちらを覗き込んでいた。


「ふむ、分かった。すぐに行く」


「クロー来るって、ラットちゃんお疲れだったね」


 マリーは再び前に向き直ると隣のラットの頭を撫でていた。


「……と、言うわけだから……ってその手は何だ?」


「プリン?」


 ――おかしい、どうも調子が狂う、ナナが来てから俺の心のゆとりが……削られてないか?


 俺は可愛らしく笑みを浮かべて手を差し出しているナナを見て不安になった。


【契約者エリザとマリーから感情値4000カナ獲得した】



 ――――ーデビルスキャン――――――――――

 所属 悪魔大事典第01号 

 格 ランク第10位 クローの配下

 悪魔 ナンバー07

 名前 ナナ

 性別 女性型

 年齢 不明 

 種族 悪魔女妖艶族=デビルリーリス

 血統魔法 権力 ※※※ ※※※

 固有魔法 幻術魔法 

 所持魔法 悪魔法(誘惑・昏睡)

 攻撃魔法 防御魔法 補助魔法

 回復魔法 移動魔法 

 固有スキル 不老 変身 超直感 理想

 所持スキル デビルシリーズ


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